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リンク:前編

262 :名無し 2011/12/19(月) 09:12:16.34 ID:q2sV+ZRh0
北原「すみませーん」

当麻達が振り返ると、駆け寄ってくる北原の姿があった。

北原「待ってください、これ忘れ物じゃないですか?」



北原の手には当麻の箸とエコバッグが握られていた。

当麻「すみません」

北原はそれぞれに忘れ物を返すと、笑顔を浮かべる。

北原「事件のことであたし達、自分のことばかり考えていたけど、大変なのは捜査してくれている警察の方々も一緒なんですよね。お疲れでしょう?」

瀬文は北原の気遣いに心が痛んだ。

――まだ若い彼女にまで心配をかけてしまった…。

瀬文は自分達警察の不甲斐なさを恥じる。

当麻「それより心配なのは事件のことでメンバーの方々がお互い疑心暗鬼になってしまうことです。皆さん本当に仲がよろしいみたいですから…」

当麻はどさくさに紛れて北原に探りを入れた。



263 :名無し 2011/12/19(月) 09:14:09.66 ID:q2sV+ZRh0
北原「え?まぁはい…そうですね…」

意外なことに北原からは歯切れの悪い返事が返ってきた。

当麻「何か気になることでも?」

すかさず当麻が突っ込む。

北原「いえ、事件とは何も関係ないことですから…」

当麻「どんな小さなことでも、心配事があるなら人に話したほうがいいですよ。話すだけでも気持ちが楽になりますから」

当麻はしゃあしゃあと知ったような口をきく。
そうやって北原の言葉を引き出そうとする魂胆なのは、傍から見ている瀬文にも容易に判断できた。
北原はそんな当麻に乗せられたのか、少しの間迷う仕草を見せていたが、結局口を開いた。

北原「実は萌乃ちゃんと篠田さんが、少し前から気まずいんです…」



264 :名無し 2011/12/19(月) 09:16:01.79 ID:q2sV+ZRh0
瀬文は篠田の顔を思い浮かべる。
高橋のように前に立ってみんなをまとめるというタイプではないが、年上として気を遣う言動が目立つ女性であったはずである。
そんな篠田がメンバーと問題など起こすのであろうか。

北原「前に番組の収録中、喧嘩みたいな雰囲気になって以来、萌乃ちゃんが篠田さんを怖がってるんです。何とかしてあげたいんですけど、あたしどうしたらいいか…」

北原の話は事件とは関係ないことのように思われた。
それでも当麻は、念のため2人の関係を観察してみることを決める。

北原「ね?事件とは関係ないですよね。すみません個人的な相談で」

北原はそう言うと、ばつの悪そうな表情を浮かべた。

横山「北原さーん、たかみなさん達が探してはりましたよー」

ちょうど横山が姿を現したので、北原は頭を下げると、当麻達のもとを離れていった。
しかし途中で振り返り、瀬文の持つエコバッグを見た。

北原「瀬文さんのバッグ、ピンク色でかわいいですね」

北原はいたずらっぽい視線を送ると、横山を追いかけ立ち去っていく。
一瞬遅れて、瀬文は背中のあたりにむず痒さを感じた。




266 :名無し 2011/12/19(月) 09:22:52.87 ID:q2sV+ZRh0
数時間後、彼女達の仕事が無事終わったのを見届けた当麻達が、未詳に戻って来た。

野々村「ややや、2人ともご苦労だったね。じゃあ僕はこれから雅ちゃんとデートだから、お先に失礼するよ」

入れ違いに野々村が浮き浮きとした足取りで出て行く。

当麻「おつかれやまです」

野々村「おつかれさまんさたーばさーはともちんがイメージガールっと~♪」

野々村がいなくなると、当麻はどさりとソファに腰を下ろし、テーブルの上にストックしてある蜂蜜を1本飲み干した。
瀬文は何かいいたげにその様子を見ている。

当麻「さてと」

一息ついた当麻が、テレビ画面に向かう。

瀬文「何するんだ?」



267 :名無し 2011/12/19(月) 09:25:17.45 ID:q2sV+ZRh0
当麻「実は以前ちょっと気になったことがありましてなぁ、これからそれを確かめてみるつもりです」

瀬文は無言で当麻の隣に腰を下ろした。

瀬文「何なんだ?」

当麻はプレイヤーを操作しながら答える。

当麻「ほら、ちょっと前にバラエティの収録でメンバーの方が愛犬を連れてお仕事してたことあったでしょう?あの時現場で見ていて、なんかこう、大事なことを忘れているようなもやっとした気持ちになったんですよ」

当麻「オンエア前だけどスタッフに無理言って、今日ようやくその映像を入手したんです」

当麻が再生ボタンを押すと、編集前の映像が流れはじめた。
画面の中で、彼女達は楽しげに愛犬と戯れている。

瀬文「あ、ハチ…」

瀬文は平嶋の愛犬が映ると、身を乗り出した。



268 :名無し 2011/12/19(月) 09:26:42.48 ID:q2sV+ZRh0
当麻「そういえば瀬文さんは平嶋さんの愛犬がお気に入りでしたね。散歩させてもらったけど、ハチに引きづられたんでしたっけ」

映像は進み、ハチが飼い主の呼び声を無視して餌を食べるシーンになる。

当麻「この時、何か引っかかったんですけどねぇ…」

瀬文「あれ、やらないのか?」

瀬文が試すような視線を当麻へと送る。

当麻「まだやりませんよ」

当麻は即答した。

当麻「あれをやるのは、犯人の背中が見えた時です」

瀬文の聞いたあれとは、当麻が考えを整理する時に行う儀式のようなものである。
当麻は墨と筆で事件についてのキーワードを書きながら、推理をまとめるという妙な癖を持っていた。
さらに妙なことに、当麻は書いた半紙をすべてまとめて破り投げることにより、事件の真相を突き止めるのだ。

当麻「大丈夫です。この映像の中に必ずヒントがある…」

当麻は睨むようにして画面を見つめた。



269 :名無し 2011/12/19(月) 09:29:46.05 ID:q2sV+ZRh0
数日後、都内某レッススタジオにはチームBメンバーが集められた。
しかし小森はまだ混乱が激しく、仕事ができる状態ではない。
またメンバーのほうでも、まだ小森と顔を合わせる心の準備が出来ていなかった。
よって1人足りない状態で、レッスンははじまった。
今日は初めての新曲の振り付け練習である。

柏木「亜美菜ちゃん、大丈夫?」

キャプテンである柏木は、復帰したばかりの亜美菜を気遣う。
河西、佐藤すみれの2人も今日から仕事復帰である。

増田「今日はあんま無理せんほうがいいで」

増田が声をかけると、河西はゆっくりと、しかし笑顔で頷いた。

河西「ううん、もう大丈夫だよ」

佐藤す「早く振り付け覚えたいし」

すみれも事件前と変わらぬ元気な笑顔を見せてる。
しかしふとした拍子に、疲れたようにため息をつく姿もみられた。
柏木はそんな3人を見て、キャプテンとしてどう接したらいいか頭を悩ませていた。



270 :名無し 2011/12/19(月) 09:31:09.34 ID:q2sV+ZRh0
講師「じゃあもう一度、頭のところから通しでやってみて」

ダンス講師の言葉に、メンバーが決められた立ち位置につく。
イントロが流れる。
メンバーが瞬時に笑顔を浮かべ、動き出した。
そこでトラブルが発生する。

講師「一旦止まってー」

講師がおかしな顔をして、機材を操作する。

渡辺「調子悪いのかな?音飛びしちゃったね」

レッスンスタジオの中に流れていた彼女達の歌声の音源が、途切れ途切れになってしまった。
練習は中断され、集中力の切れたメンバーの何人かは笑いをこらえている。

講師「スピーカーかな?ちょっと裏見てくるかみんな自主練してて」

柏木「あ、じゃああたしも手伝います」

北原「あたしも」

講師「ありがとう2人とも」

講師は柏木と北原を連れて出て行った。



271 :名無し 2011/12/19(月) 09:32:51.18 ID:q2sV+ZRh0
宮崎「なんかみんなの歌声がさー、テレビでモザイクかけられている人の音声みたいになっちゃってない?」

音源はなぜか今度、倍速になって再生され、それに気付いた宮崎がものまねをはじめる。
周りにいたメンバーが宮崎の物真似を見て笑う。

宮崎「なんか亜美菜ちゃんの声真似してる時みたいになっちゃった」

佐藤亜「やめてよー。亜美菜そんな声じゃないよー」

近野「めっちゃ似てるー。うまーい。アハハハ…あれ?」

その瞬間、近野の表情が変わる。

近野「何これ…やだ…」



272 :名無し 2011/12/19(月) 09:35:11.64 ID:q2sV+ZRh0
音源は次にスロー再生になり、彼女達の歌声は別人のようにくぐもった声でスタジオに流れている。
そして1つの歌詞を繰り返し再生するようになった。

終わり終わり終わり終わり終わり……。

河西「ねぇ何これ気味悪いよ」

河西が眉を寄せ、隣にいた平嶋にしがみつこうとする。
河西に袖を掴まれた平嶋は微動だにしない。

河西「なっちゃん…?」

平嶋は焦点の定まらない目で、ぼんやりと遠くを見ていた。

河西「どうしたの?具合悪い?」

河西がそう問いかけたその時だった。



273 :名無し 2011/12/19(月) 09:36:44.05 ID:q2sV+ZRh0
鈴木ま「キャッ!」

鈴木まりやの真上にあった蛍光灯が破裂する。
まりやは反射的に頭を抱え、後ろに飛びのいた。
しゃがみこんだ彼女の腕に、蛍光灯の破片によってできた傷が無数に浮かぶ。
メンバーは急いで彼女の元へ駆け寄ろうとした。
だがその瞬間、頭上ですさまじい破裂音を聞き、足がすくむ。



274 :名無し 2011/12/19(月) 09:38:29.77 ID:q2sV+ZRh0
一方当麻達は、チームBのレッスンが行われているスタジオに向かうため、タクシーの車内にいた。

当麻「タクシーいいなー。楽だなー」

当麻は座席の背もたれによりかかり、窓の外を見ながら1人呟いている。

瀬文「おまえがあちこちで話しこむからこんなに遅れを取ったんだ。本来だったらとっくに彼女達のレッスンスタジオに着いている時間だぞ」

当麻の左隣で、瀬文はイライラと腕時計に目をやった。

当麻「だってしょうがないじゃないっすか。犯人を特定するためには彼女達の人間関係が重要な鍵になるんです。少しでも多くのメンバーから話を聞かないと」

言い返す当麻の頭を、瀬文が殴りつける。

当麻「痛ぁぁぁ…あれ?瀬文さん腕治ったんですね?」

当麻はそこで初めて、瀬文のギプスが取れていることに気付く。

瀬文「なぜ今気付く…昨日からギプス外れてるんだよ」

当麻「え?マジっすか?もう骨折治ったんすか?早くないっすか?」

当麻は目を丸くした。



275 :名無し 2011/12/19(月) 09:39:47.75 ID:q2sV+ZRh0
瀬文「おまえと違って俺は日頃から鍛えてるからな。体の作りが違うんだ」

当麻「脳みそまで筋肉で出来てるんですよねー?…って痛いっ!またぶったぁぁ」

そうこうしているうちにタクシーはスタジオの入ったビルの前に到着した。
当麻がすぐさま飛び降り、ビルの入り口に向かって歩き出す。

瀬文「あ、おい当麻支払い…」

瀬文が当麻を呼び止めたその時、ビルの上から何かが破裂するような音が聞こえてきた。

瀬文「おいまさか…」

瞬時に当麻の顔つきが険しくなる。
エレベーターに向かって駆け出した。



276 :名無し 2011/12/19(月) 09:44:02.06 ID:q2sV+ZRh0
佐藤夏「伏せてー。みんな伏せてー!頭を守って!」

佐藤夏希が叫んだ。
メンバーはわけもわからず身を低くし、腕で頭を抱えた。
床には蛍光灯の破片が散らばっていて、佐藤の言う通りに伏せることができない。
すべての蛍光灯が吹き飛び、スタジオの中は真っ暗である。
メンバーは互いに誰がどこにいるのかわからず、思い思い声を上げ、助けを求めている。
しかし目が慣れてくると、暗闇の中に1人立ち尽くしている人影があるのに気付いた。

河西「なっちゃん、立ってたら危ないよ」

河西の声で、その人影が平嶋であることをメンバーは知った。
次の瞬間、またしても衝撃音が響き渡り、スタジオの鏡と窓ガラスが弾け飛んだ。



277 :名無し 2011/12/19(月) 09:44:36.80 ID:q2sV+ZRh0
メンバーはもうパニックである。
あちこちで叫び声が上がり、出口を探してスタジオ中を這い回っては他のメンバーとぶつかって床を転がり、転がるメンバーに足を取られた者が頭を壁に打ち付け悶絶し、悲鳴とすすり泣きが響く。

――どうしたらいいの…。

渡辺はなんとか壁際に寄り、背中をつけた。

渡辺「わわわ、やびゃっ…」

その途端、寄りかかる物をなくして後ろにころんと倒れてしまう。

当麻「あ、すみません」

渡辺はそこで初めて、自分が寄りかかっていたのが壁ではなくドアだったことを知った。
ドアを開いたのは当麻だ。

当麻「うわっ、これじゃ何も見えない…」

当麻はそう言うと、キャリーバッグをごそごそと漁り出す。
その間に渡辺は瀬文に助け起こされ、早口で説明した。

渡辺「レッスンをしていたら突然蛍光灯が割れて、それから鏡と窓ガラスも…。中にメンバーがみんないるんです」



278 :名無し 2011/12/19(月) 09:46:25.17 ID:q2sV+ZRh0
当麻はバッグから懐中電灯を取り出すと、スタジオ内を照らした。
廊下から洩れる明かりと、懐中電灯の光が目安となり、その頃にはほとんどのメンバーが当麻達のもとへ逃げ集まって来ていた。

当麻「警察です。まだ誰かいますかー?」

当麻と瀬文はスタジオの中に一歩踏み出す。
足元でガラス片がじゃりじゃりと音を立てた。
騒ぎを聞きつけて戻って来た柏木と北原、ダンス講師が恐怖で震えるメンバー達を廊下に避難させ、宥めていく。

瀬文「これは…ひどいな…」

瀬文が呟いた。

当麻の持つ懐中電灯の光が、暗闇に立つ1人の人物を照らす。

当麻「平嶋さん…」

平嶋は全身を血にまみれ、ぼんやりと宙を見つめながら立っていた。
瀬文は警戒しながら平嶋に近づいた。

瀬文「何してるんだ」

瀬文が話しかけたその時、平嶋は抑揚のない声で言った。



279 :名無し 2011/12/19(月) 09:47:46.02 ID:q2sV+ZRh0
平嶋「あたしがやったんです。すべてあたしが悪いんです。握手会が中止になればメンバーの負担が減ると思った。握手会さえなくなれば、メンバーはお客さんからひどいことを言われて傷つくこともない」

平嶋「だけど握手会を中止にさせるには、犠牲者を出す必要があった。誰か犠牲者が出れば、運営側も握手会を中止にせざるをえない…。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

平嶋はそれだけ言うと、糸を切られた操り人形のように、突然ぐにゃりと体を曲げ、瀬文に倒れかかった。

瀬文「おいしっかりしろ!」

当麻「瀬文さん、彼女、意識は…?」

瀬文「いや、眠っているようだ」

当麻はしかし尋ねる前からそうであろうことを悟っていた。



280 :名無し 2011/12/19(月) 09:51:32.22 ID:q2sV+ZRh0
しばらくして意識が戻った平嶋は、錯乱状態にあり、当麻は彼女から犯行について聞きだすのは無理と判断した。
未詳では当麻、瀬文、野々村の3人が集まり、事件について話し合っている。

野々村「彼女がどういう方法で山内さんと小森さんを操り、襲わせていたのかまではわからないけど、良かったじゃない。これで犯人逮捕、一件落着、オールオッケーなんてね」

野々村は事件が終わり、安心したのか完全におちゃらけている。

当麻「本当にそうでしょうか?彼女が犯人で事件は終わったのでしょうか?」

当麻は納得のいかない表情で、野々村を見返した。

野々村「だってそうでしょ?彼女が自分が犯人だと自白したんでしょ?」

当麻「そうですが…。犯人は何らかの方法で相手を操ることができます。もしかしたら平嶋さんは操られて、嘘の自白をさせられたとも考えられますよね?」

当麻の問いかけに、野々村は口ごもる。

当麻「まだ事件は終わっていない。そう考えて動くほうがいいと思います」



281 :名無し 2011/12/19(月) 09:52:05.74 ID:q2sV+ZRh0
野々村「だけどねぇ、未詳が抱えてるのは彼女達の事件だけじゃないし、ほら、上から雑用頼まれることもあるしねぇ。未詳は下請けの部署だから」

野々村は困ったように視線を泳がせ、係長としての辛い立場を吐露しはじめた。
しかし途中で瀬文に遮られてしまう。

瀬文「自分は、当麻の意見に賛成です」

野々村「あ、そうなの?」

野々村は眉を上げて瀬文を見た。

瀬文「お願いします。捜査を続けさせてください」

瀬文が頭を下げる。
野々村は慌てて頭を上げるよう、瀬文を説得した。

当麻「雑用なら係長がやってください」

当麻はどさくさにまぎれて、野々村に命令する。
結局当麻達に押し切られる形で、野々村は捜査の続行を許可した。



282 :名無し 2011/12/19(月) 09:53:03.34 ID:q2sV+ZRh0
当麻「平嶋さんの持つスペックは、念動力のようなものだと思います。蛍光灯や窓ガラスが一瞬で弾け飛んだ。それしか考えられません。直前に起こった音源のトラブルも彼女の仕業でしょう」

瀬文「信じられないな、彼女にそんな力があったなんて」

瀬文は愛犬に優しい眼差しを送る平嶋の姿を思い出していた。
当麻は瀬文の心を見透かしたかのように言う。

当麻「愛犬と一緒のロケを見て、何か引っかかったと私、瀬文さんに言いましたよね?それはたぶん平嶋さんのことだったんですね」

瀬文「おまえには、彼女の持つ能力がわかっていたのか?わかってたなら彼女が事件を起こす前に対処できたはず…」

瀬文が責めるように当麻を見る。
当麻はそれを手であしらうと、説明を続けた。

当麻「あの時はまだ平嶋さんがスペックを持っていたなんて気付いていませんでしたよ。ただ、あの映像の中に妙な違和感を持っていただけです」

瀬文は舌打ちをすると、忙しなく貧乏揺すりをはじめる。

当麻「私の勘もあながち馬鹿にはできませんなぁ。他にも違和感を持つ映像が見つかるかもしれません。引き続き彼女達を警戒すると同時に、彼女達に関係する映像を片っ端からチェックしていきましょう」

当麻はそう言って、静かな闘志を燃やした。



283 :名無し 2011/12/19(月) 09:54:44.31 ID:bazZcisR0
感動のラスト(T ^ T)


284 :名無し 2011/12/19(月) 09:56:26.16 ID:bazZcisR0
>>283
おっとフライングでしたかすいません…
ますます面白くなるんですね



285 :名無し 2011/12/19(月) 10:32:35.39 ID:q2sV+ZRh0
数日後、当麻達はチームKのレッスンが行われるというスタジオに足を運んだ。

当麻「小森さんの起こした事件を除外すると、メンバーはレッスン中に襲われていることになります。普段ばらばらで仕事をしている彼女達ですが、さすがにレッスンのときはチームのメンバーが全員集合する。だから狙われやすいんですよ」

当麻「流れからいってチーム4、チームBときたので、今度はチームKが狙われる番かもしれません」

チームKは新曲のPV撮影を控え、レッスンも最終段階にきている。

――事件が起きるとしたら、レッスン最終日となる今日…。

当麻はそう予想していた。
憧れの板野が在籍するチームとあって、今日は野々村も顔を見せている。

野々村「この前CMの撮影現場にお邪魔した時はともちん欠席だったからなぁ、やっと会えるよ」

野々村はこの時のため、朝から浮かれていた。
少しすると、スタジオにメンバーが入って来た。
その中にはもちろん、板野の姿もある。



286 :名無し 2011/12/19(月) 10:33:29.07 ID:q2sV+ZRh0
野々村「キャッ、ともちん!」

野々村の目の色が変わった。
ダンス講師の到着を待っているらしい彼女達の中から、当麻は板野だけを呼び出す。
板野は不思議そうな表情を浮かべながら、しかし快く当麻の呼びかけに応じた。

板野「こんにちは」

当麻「もうお体は大丈夫なんですか?」

板野「はい、お陰様で。ずっとレッスン休んでたから、今日は今までのぶん取り返さないといけないんです」

野々村「頑張ってね」

板野「ありがとうございます」

板野は初対面の野々村にも笑顔で礼を述べる。

――見た目によらず、礼儀正しい子だな…。

瀬文は密かに板野に対する評価を変更した。
握手会の現場で彼女を見かけたときには、突っつきにくそうな子だなと一方的に思っていたのだ。



287 :名無し 2011/12/19(月) 10:34:21.22 ID:q2sV+ZRh0
野々村は板野に握手してもらい、有頂天である。
当麻は板野の顔色の悪さが少し気になった。
ふと見れば、レッスン着から伸びる彼女の手足には、いくつかの痣が残っている。

板野「じゃあそろそろ行きますね」

板野は丁寧に頭を下げると、メンバーの輪の中に戻っていった。

当麻「どうですか?実際に本人に会ってみて」

野々村「顔が小さくて可愛いねぇ。僕があと30年遅く生まれていたら、プロポーズしたいよ」

当麻「今の言葉、雅ちゃんにも伝えておきますね」

野々村「あ、駄目だよそれ。彼女怒ると怖いんだから」

野々村の慌てる様子を見て、当麻はにやにやとしている。



288 :名無し 2011/12/19(月) 10:38:20.74 ID:2/eSIqdUi
もえのwww


289 :名無し 2011/12/19(月) 10:57:38.92 ID:q2sV+ZRh0
そうこうしているうちに、ダンス講師が現れ、レッスンがはじまった。
野々村はやはり板野に釘付けであるが、当麻と瀬文は彼女達1人1人に変化がないか見張る。

――今までの例で考えたら、この中にスペックを持った人物が潜んでいて、事件を起こすはず…。

当麻はまばたきもせず、レッスンを見つめた。
しかし予想に反して、レッスンは順調に進んでいく。
ついに最終的な確認の段階となった。

当麻「何も起こりませんね」

当麻は瀬文に耳打ちする。
その時、彼女達の中から悲鳴が上がった。



290 :名無し 2011/12/19(月) 10:58:45.00 ID:q2sV+ZRh0
峯岸「ちょっとともちん、しっかりして!」

メンバーに囲まれ、板野はぐったりと座りこんでいた。

大島「どうしたの?」

峯岸「わかんない。急にふらつきはじめて…ともちん?ともちんしっかりして!」

当麻達も板野のもとへかけよった。

野々村「救急車呼んだほうがいいかな」

野々村が携帯電話を取り出すと、板野が即座にそれを止めた。

板野「やめてください。ちょっと立ちくらみがしただけですから」

板野の真剣な眼差しに気圧され、野々村は渋々携帯電話をスーツのポケットに仕舞う。

大島「病み上がりだもんね…。ちょっと無理しちゃったかな」

板野「うん、ごめんね。頑張りすぎちゃった」

秋元に支えられ立ち上がった板野は、照れ笑いを浮かべた。



291 :名無し 2011/12/19(月) 10:59:17.78 ID:q2sV+ZRh0
梅田「続けられそう?」

板野「大丈夫だよ」

しかしダンス講師の判断で、板野は先にレッスンを上がることとなった。

板野「ごめんね…」

板野はメンバーに何度も謝り、さらにレッスンスタジオから出る際は、深くおじぎをして出て行った。
当麻はそんな板野の姿を、無言で見つめている。

大島「まだ体力が戻ってないだけだよね。撮影の日にもう一回ともちんを交えて練習しようよ」

大島は心配するメンバーを励ますように言った。
しかしそんな大島の言葉もむなしく、板野はその後、PVの撮影を欠席することとなる。
この夜、自宅で倒れた板野は病院に運ばれ、そのまま入院することになったのだ。



292 :名無し 2011/12/19(月) 11:01:02.04 ID:q2sV+ZRh0
チームKのレッスンスタジオから帰った当麻達は、手分けしてメンバーに関係する映像を片っ端からチェックしていた。

瀬文「こんなものを繰り返し見て、果たして犯人について何かわかるのか?」

連日の作業に、瀬文は辟易している。

当麻「わかりません…。だけど何もしないよりはマシです。可愛い女の子のビデオを見てると思えばいいじゃないですか」

そう言いつつも、当麻の目は真剣そのものである。

当麻「あ…」

そして当麻はついに発見する。

――おかしい。この矛盾した行動はなんだろう。彼女…。



293 :名無し 2011/12/19(月) 11:01:47.01 ID:q2sV+ZRh0
当麻は1人のメンバーの動きが気になった。
すぐに瀬文が見ていた映像を停止させる。

瀬文「何すんだ、せっかく集中していたのに」

当麻「これはもういいです。彼女が映っていませんから。代わりにこっちを見てみてください」

当麻はそれからも瀬文にどの映像をチェックするのか、細かく指示を出した。

当麻「いいですか?映像は彼女の姿が映っている部分だけでかまいません。後は早送りしてもらっていいです。そしてなるべくコンサートの舞台裏やメイキング映像など、普段の表情を映したものを中心にチェックしていってください」

当麻は膨大な映像の中から、彼女の姿だけを探し出す作業に入った。



294 :名無し 2011/12/19(月) 11:05:32.35 ID:q2sV+ZRh0
そのまま夜が明け、当麻達がデスクに突っ伏していると、野々村が意気揚々とエレベーターからおりてきた。

野々村「おはよ~クシャーテリアなんちて。さぁ今日こそ事件についての手がかりを掴まなきゃねぇ。て、あれ?君達もしかして昨日からずっとここにいるの?」

瀬文が顔を上げる。

瀬文「はい」

野々村「駄目だよそんなんじゃ。捜査は体が資本だからね、僕みたいにしっかりと休んでおかないといざという時動けないよ。さ、早速今日も資料映像というやつを見ていこうかね」

野々村「思ったんだけどそれぞれ担当を決めて、メンバー1人ずつ見ていったらどうかな?僕はともちんの映ってる映像を見るから…」

野々村が再生をボタンを押そうとすると、当麻が動き、それを阻止した。

当麻「大丈夫です係長。もう事件についての手がかりを知ることができましたから」

野々村「え?」

野々村は驚愕の表情を浮かべ、それから答えを求めるように瀬文を見た。



295 :名無し 2011/12/19(月) 11:06:17.78 ID:q2sV+ZRh0
瀬文「当麻の言った通りです。映像はすべてチェックしました」

野々村「え?じゃあ僕はどうしたらいいのかな?」

瀬文「どうぞ通常通り、座って柿ピーでも召し上がっていてください」

野々村「あ、そうなの?でも万が一ということもあるから僕の目でもチェックして…」

再び手を伸ばそうとした野々村を、当麻がはじく。

当麻「だーめだーめ、借りてる資料映像も含まれてるんだから、そろそろ返さないと」

野々村「でも返しちゃったら捜査は…」

当麻「すべての映像はこの中にありますから。ご安心ください」

当麻はそう言って、自分の頭を指差す。
野々村は残念そうに手を引っ込めた。
その時、3人の背後でエレベーターの動く音が響いた。



296 :名無し 2011/12/19(月) 11:14:07.20 ID:q2sV+ZRh0
雅「入りまーす。捜査中の事件のことで、高橋みなみさんと前田敦子さんをお連れしました。それではお2人、はりきってどうぞ!」

雅の背中越しに、高橋と前田が頭を下げる。
2度目の訪問となるが、前田は未詳の風景がよほど物珍しいのか、きょろきょろと視線を動かしはじめた。

野々村「キャッ、雅ちゃん」

野々村が色めき立って、ポーズを作る。
当麻は野々村を放っておいて、高橋と前田をソファへ案内した。

高橋「すみません朝からお邪魔して」

前田「あたし達、やっぱりいても立ってもいられなくて…」

当麻「残念ながら、事件についてお話できることはまだ何もないんですよ」

当麻が首を振る。

高橋「いえ、今日はお話を聞きにきたんじゃないんです。ちょっとあたし達なりに考えたことがあって、聞いていただけないかと…」

前田「少しでいいんです。馬鹿げてると思われるかもしれませんが」

当麻「いえ、馬鹿げた話を聞くのが未詳の仕事ですから。どうぞお話ください」

当麻はそう言ってぐいと身を乗り出した。
その瞬間、腹の虫が鳴る。



297 :名無し 2011/12/19(月) 11:14:39.63 ID:q2sV+ZRh0
前田「おなかすいてるんですか?」

前田が目を丸くしていった。

当麻「朝ごはんまだなんですよ。お陰様で昨夜は徹夜でしたもので」

高橋「ご迷惑おかけしております」

当麻「朝ごはんといえば前田さんのお母様が作る朝食は素晴らしいですね。是非一度、ご馳走になりたいものです」

前田「は、はぁ…」

前田は困惑の表情を浮かべる。

――当麻さん、一体どこまであたし達のこと調べてるんだろう。

高橋もどうしたものかと視線を泳がせていた。
見かねた瀬文が、当麻に代わり話を促す。

瀬文「それで、お話というのは…」

高橋は頷き、ゆっくりと口を開いた。



298 :名無し 2011/12/19(月) 11:21:53.90 ID:TxKDsCBn0
( ・ω・)ノ あ。わたし犯人わかっちゃったんですけど・・


299 :名無し 2011/12/19(月) 11:37:15.87 ID:q2sV+ZRh0
高橋「考えたんですけど、山内小森なっちゃんと、グループの中にスペックを持った子が3人も含まれていました。最初は正直、本当にこの世に特殊能力なんてものが存在するなんて信じていなかったんですけど、今はもうわかります」

高橋「それで、もしかしたら他にもメンバーの中にスペックを持った子が隠れているんじゃないかって思ったんです」

当麻「その可能性については、私達も考えていたところです。しかし誰がスペックを持った人物なのか、はっきりとした見極め方法がないのでわかりません」

前田「でもここはそういう特殊能力が関わった犯罪を捜査しているところなんですよね?」

瀬文「はい、そうですが…」

前田「だったら過去の事件の資料などから、メンバーの名前が乗った事件を見つけだすこととかできないですか?もしかしたら以前にも能力を使って事件を起こしていたかもしれないじゃないですか」

当麻「わかりました。一応調べてみましょう。ただ、過去の事件まで遡って調べるとなるとかなりの時間を要しますが」

高橋「そんな…。あたし達時間がないんです。もっと手っ取り早く犯罪に関わった人物の名前だけまとめたリストとかないんですかね?」



300 :名無し 2011/12/19(月) 11:38:01.59 ID:q2sV+ZRh0
高橋にしては無茶なことを言う。
瀬文は意外に思い、高橋を見つめた。
高橋もまた瀬文の視線に気付き、顔を向けてくる。
2人の目が合った。
瀬文は高橋から目を逸らさなかった。

高橋「え?」

瀬文らしからぬ様子に、高橋が驚く。
瀬文は彼女のファンであるあまり、これまで高橋と視線を合わせることができずにいたのだ。
瀬文の変化に気付いた高橋が、確かめるように言う。

高橋「今あたしが言ったみたいのリストが…あるんですね?」

当麻は慌てて瀬文を突き飛ばした。

当麻「てめぇハゲ、何バラしてんだよ!」

瀬文「いや、俺は何も…」

当麻「あのリストを持っていることが上にバレたら…」

当麻にしては珍しく取り乱している。
高橋は慌てて頭を下げた。



301 :名無し 2011/12/19(月) 11:38:58.88 ID:q2sV+ZRh0
高橋「ごめんなさい。そんな大事なリストだなんて…。あたし達誰にも言いませんから、こっそり当麻さん達でそのリストを調べてもらえないですか?」

高橋は必死に懇願した。
前田も繰り返し頭を下げる。
2人の様子に、ついに当麻が折れた。

当麻「わかりました。しかし極秘のリストです。今から確認してみますから、お2人は席を外してもらえますか?」

前田「ここで待ってたら駄目なんですか?」

当麻「極秘事項ですので、どうかご勘弁を。あ、そうだ、お勧めの餃子屋さんがあるって言ったじゃないですかー?地図書くんで、そこで餃子でも食べて待っててもらえますか?あたし朝ごはんまだなんで、後から調べて向かいますんで。食べながら話しましょう」

当麻はそう言うと、空腹を思い出したのか胃のあたりを擦った。
高橋と前田は渋々頷くと、エレベーターに乗り込む。

高橋「じゃあよろしくお願いします。例えそのリストからメンバーの名前が出てきてもあたし達驚きませんから」

高橋は去り際、そう言って、またしても深々と頭を下げた。



302 :名無し 2011/12/19(月) 11:39:45.78 ID:q2sV+ZRh0
エレベーターを降りると、高橋は当麻に渡された地図を見た。
お世辞にもうまいとは言えない地図である。

高橋「これじゃあお店を探し出すの時間がかかりそうだね。早く行こう、あっちゃん」

前田「あ、でもたかみな、あたし先にお手洗い…」

前田が探るように辺りを見回していると、雅が姿を現した。

雅「お手洗いならこの廊下を歩いて、突き当たりを右です」

前田「あ、ありがとうございますー」

前田はそちらの方向へ歩いて行った。
高橋も追いかけようとすると、雅がサイン色紙を取り出す。

雅「あのぉ、サインいただけますか?」

高橋「あ、いいですよー」

高橋は途端にアイドルスマイルとなり、愛想よくサインを書きはじめた。

雅「キャーすごーい。後であっちゃんにもお願いできますかね?」

雅は仕事を忘れ、はしゃいでいる。
高橋と雅のやり取りを背中で聞きながら、前田はゆっくりと廊下を進んで行った。



303 :名無し 2011/12/19(月) 11:45:49.54 ID:q2sV+ZRh0
一方その頃、未詳では野々村がおろおろと当麻の周りを歩き回っていた。

野々村「当麻くん、さっき言ってたリストってもしかしてあれのこと?ほら前に公安の里中くんがハッキングして手に入れたスペックホルダーのリスト」

当麻「そうですよ」

当麻はパソコンのモニターを見つめながら、あっさりと白状した。
リストは以前、当麻達が関わった事件がきっかけで手に入れたものである。
特殊なスペックを持った人物のデータが書かれ、公安で極秘に管理していたのだ。
もちろん未詳がそんな貴重データを手にしていることが公になれば、公安に抹消されることだろう。

野々村「まずいよー。それ本当にまずいよ。バレたら僕ら首だよ?あのリストは破棄したって言ってたじゃないか」

当麻「破棄するわけないじゃないですか。こんな超貴重物件。ここには公安が調べたスペックを持つ人物の名前、そしてその能力についての情報が詳しく集められているんですよ」

野々村「だけど、ほら高橋さん達にはバレちゃったじゃないか。もし彼女達がどこかでこのリストの存在を喋ったらそれが公安にも伝わって…あぁぁ」

野々村は頭を抱えた。



304 :名無し 2011/12/19(月) 11:46:40.91 ID:q2sV+ZRh0
当麻「この馬鹿がリストが存在することをバラすから」

瀬文「俺はバラしていない」

当麻「てめぇの不自然な行いで高橋さんが勘づいたんだろ!」

当麻に言われ、瀬文は悔しそうに黙り込む。
当麻はその間にも、もの凄い速さで膨大なリストをチェックしていく。

当麻「名前欄はイニシャルや伏字も多いので特定するのは難しそうですね」

当麻はリストを最後までチェックすると、大きくため息をついた。

野々村「本当に?もう最後まで調べたの?」

当麻「はい」

当麻は当然といった表情で返事をする。

当麻「それより空腹でもう頭働きませんよー。てことで私はこれから餃子食べに行ってきます。高橋さんと前田さんにもリストにメンバーの名前がなかったことを報告しなくてはいけませんしね」

当麻はそう言って素早く財布を掴んだ。



305 :名無し 2011/12/19(月) 11:47:10.65 ID:q2sV+ZRh0
当麻「瀬文さんも朝ごはんまだですよね?一緒に行きますか?ていうかてめぇがリストの存在をバラしてこんなことになったんだから、お詫びに奢れ」

当麻はぞんざいに言うと、掴んだ財布をデスクに放り投げた。

瀬文「いいけど、また馬鹿みたいに食うなよ」

責任を感じていたのか、瀬文は渋々頷くと、紙袋を手にする。

当麻「私今、おなかすいて頭働いてないんで、リストの見落としがあるかもしれません。係長は残って、もう一度リストをあらい直していてください。リストはここに開いたままにしておきますから。最後までチェックし終えたら、係長の希望通り破棄してもらっていいですよ?」

野々村「ラジャー」

野々村は愛嬌たっぷりにそう言うと、早速リストを調べ出した。
一刻でも早くリストを消去したい一心での行動である。
瀬文はそんな野々村の背中を気の毒そうに見つめる。

当麻「早くー。瀬文さん行きましょうよー。高橋さんが待ってますよ」

当麻が急かすと、瀬文は慌ててエレベーターに乗り込んだ。



306 :名無し 2011/12/19(月) 11:50:53.21 ID:q2sV+ZRh0
当麻達が餃子屋に入ると、高橋と前田は注文を終え、餃子が焼き上がるのを待っているところだった。

当麻「お待たせしましたー」

当麻はとことこと店内を歩き、前田の向かいに腰を下ろした。
瀬文もその後に続く。

当麻「おじさん、茹5、焼5、にんにく多めで」

当麻は席に着いて早々、慣れた調子で注文する。
瀬文は定食を頼んだ。

高橋「それで、何かわかりましたか?」

高橋は待ちかねた様子で切り出す。



307 :名無し 2011/12/19(月) 11:51:24.13 ID:q2sV+ZRh0
当麻「それが全然。リストは不発でした。今、念のため係長が調べ直していますが、まぁ何も出てこないでしょうね」

高橋「そうですか…」

高橋が落胆の声を洩らす。
前田もしょんぼりと肩を落とした。

当麻「まぁまぁ、手は他にも考えていますから、今はほら、餃子食いなっせ!元気出さないと」

当麻はそんな2人を前に、呑気な声を上げた。
ちょうど注文した物がテーブルに届いたので、4人は食事を開始する。
瀬文は高橋が目の前に座っていることで、緊張の色を隠せないでいた。
しかしにんにくの香りに誘われ、餃子に箸を伸ばす。
それから気がついて、前田の前に置かれた皿を凝視した。
前田の注文した量は、当麻といい勝負である。

――顔に似合わず、結構食うんだな…。

前田は大量の餃子を、次々と口へ運んでいく。
さすがの当麻も口を出さずにはいられない。

当麻「アイドルなのに、そんなに食べて大丈夫なんですか?」

前田は照れたように笑うと、口元をぬぐった。



308 :名無し 2011/12/19(月) 11:52:11.26 ID:q2sV+ZRh0
前田「大丈夫ですー。仕事で体使うんで、食べたもの全部消費しちゃうんですよ」

当麻「ハードなんすね…」

当麻は納得すると、餃子のタレに大量の辛子を投入した。

高橋「あ、ちょっとすみません…」

高橋はおもむろにバナナ柄のバッグから携帯を取り出すと、餃子の写真を撮りはじめた。

高橋「ブログに載せるんですよー」

高橋は当麻達の視線に気付き、そう説明する。

前田「あ、あたしも撮ろー」

前田も気がついて、鞄の中を探り始めた。
が、すぐにその手が止まる。

前田「どうしよう…。携帯、置いてきちゃった」



309 :名無し 2011/12/19(月) 11:53:01.25 ID:q2sV+ZRh0
高橋「え?家?あれ、でもさっきまで持ってたよね」

前田「トイレかな?あ、ソファに置いてきちゃったのかも」

前田が困ったように眉間に皺を寄せる。

瀬文「自分、今から取って来ます」

瀬文が立ち上がる。
しかしそれを当麻が制止した。

当麻「とか言って瀬文さーん。お会計逃げる気なんでしょ?言ったじゃないですか、今日は瀬文さんの奢りだって。私財布持って来てないんですからねー?」

当麻はそう言って箸を置くと、右手を伸ばして瀬文を無理やり椅子に座らせた。

当麻「てことなんで前田さん、悪いんですけど自分で携帯取って来てもらえますか?」

前田「はい」

前田は渋々頷くと、席を立った。
いつの間にか彼女の前にあった皿はすべて空になっている。



310 :名無し 2011/12/19(月) 11:53:30.80 ID:q2sV+ZRh0
高橋「あたしも一緒に行こうか?」

前田「いいよ。たかみなまだ食べてるでしょ?」

写真を撮っていた高橋は、まだほとんど餃子に手をつけていなかった。

高橋「でも、1人で大丈夫なの?」

前田「平気だよ。だって警察の中だもん。1番安全でしょ?」

前田はそう言って、笑顔で餃子屋を出て行った。



311 :名無し 2011/12/19(月) 11:54:29.21 ID:q2sV+ZRh0
署内に戻った前田は、未詳を目指して歩いていた。
しかし途中でどこを曲がったらいいのかわからくなってしまい、途方に暮れる。
運よくそこで、雅の姿を目にした。

――さっきトイレから出た時サインを頼んで来た人だ。あの人に聞いてみよう。

しかし雅に話しかけようとした時、彼女の隣に背の高い男性の姿を見つけて、前田は声をかけそびれてしまった。
2人は親密な様子で、備品庫と書かれた部屋に入ってしまう。

――彼氏かな?でもたかみなの話だとあの人は野々村さんの愛人だったはずなのに…。

なんだか複雑な大人の関係の気配を感じ取った前田は、無闇に立ち入らないほうがいいなと判断した。
その後、すれ違った女性警官に道を聞き、前田は未詳へと辿り着いた。



312 :名無し 2011/12/19(月) 11:54:35.64 ID:NL6OyNvI0
やっと追いついたーどきどき楽しみ


313 :名無し 2011/12/19(月) 11:56:52.32 ID:q2sV+ZRh0
未詳では、野々村がリストと格闘していた。
入って来た前田に気づくと、驚いて椅子から飛び上がる。

野々村「あれ?これまたどうして…?」

前田は慌てる野々村の様子がおかしくて、吹き出してしまった。

前田「携帯忘れて取りに来たんです」

野々村「あぁそうかそうか」

前田は先ほど案内されたソファを探した。
しかし携帯は見当たらない。

前田「あれー?どうしたんだろう?」

野々村「ん?見つからないの?」

前田「ここに来るまでは持ってたんで、たぶん置き忘れたのはここで間違いないと思うんですけど」

野々村「そうなの?じゃあおじさんが探すの手伝ってあげようかね」

前田「ほんとですかー?ありがとうございます」



314 :名無し 2011/12/19(月) 12:06:24.85 ID:q2sV+ZRh0
野々村と手分けして探すが、前田の携帯は出て来なかった。
とうとう野々村が言った。

野々村「ここじゃなくて、どこか別の場所に忘れたんじゃないのかな?」

前田「そうですね。あたし勘違いしちゃったのかなー」

前田は首を傾げ、照れ笑いを浮かべる。
野々村は額の汗をぬぐった。

野々村「やれやれ、どっこいしょ」

散々探し回ってよほど疲れたのか、野々村は倒れこむようにソファへ腰を下ろした。
彼のそんな姿を見た前田は、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

――やっぱりさっきのこと、野々村さんに伝えたほうがいいのかな…。

前田は決心して、野々村へ顔を向けた。



315 :名無し 2011/12/19(月) 12:07:12.05 ID:q2sV+ZRh0
前田「野々村さん、さっき雅ちゃんと背の高い男の人が備品庫にこっそり入って行くの見たんです。なんか2人、結婚するみたいですね。段取りを相談していましたよ」

野々村「え?」

野々村は前田の言葉を聞き、一瞬で魂が抜けたような顔になった。
しかしすぐに平静を装い、まるで自分自身を納得させるかのように、小刻みに頷きながら言った。

野々村「そうか、彼女結婚するのか。知らなかったよ…」

前田は野々村を見つめ、眉を寄せた。

前田「雅ちゃんのとこ、行ってあげなくていいんですか?」

野々村「いやいや僕には関係ないことだからねぇ」

そう言いつつも、野々村がショックを受けているのは明らかだった。



316 :名無し 2011/12/19(月) 12:07:49.63 ID:q2sV+ZRh0
前田「あたしそういうのよくわかんないけど、雅ちゃんきっと、野々村さんが来てくれることを待ってると思うんですけど」

前田は説得するように言う。

前田「結婚なんて一時の気の迷いかもしれないじゃないですか」

野々村はしばしぼんやりと前田の顔を見つめていたが、突然立ち上がり、エレベーターへと駆け出した。

前田「野々村さん!」

エレベーターに乗った野々村を、前田は呼び止める。

野々村「何だい?」

前田「頑張ってくださいね」

前田は真剣な眼差しを野々村へ向けた。



317 :名無し 2011/12/19(月) 12:12:28.99 ID:q2sV+ZRh0
餃子屋に前田が戻って来ると、高橋はタイミングを見て席を立った。

高橋「じゃああたし達はそろそろ…仕事があるんで」

前田も促され、立ち上がる。

瀬文「長くお引止めしてしまい、申し訳ありませんでした」

瀬文は丁寧に頭を下げた。

高橋「いえいえ、あたし達のほうこそ、無理言ってすみませんでした」

前田「当麻さん、餃子おいしかったです」

当麻はいまだ箸を握ったままで、2人に挨拶する。

当麻「何かわかったらすぐにお2人に連絡しますから」

高橋は神妙な面持ちで頷くと、椅子の上に置いていたバッグを肩にかけた。

当麻「あ、そうそう、前から言おうと思ってたんすよー。そのバッグめっちゃ可愛いっすよね」

当麻は高橋のバッグを凝視する。
目を見開き、唇を尖らせて魚のような表情をした。



318 :名無し 2011/12/19(月) 12:13:00.87 ID:q2sV+ZRh0
高橋「あ、わかりますー?メンバーには不評なんですけどね」

当麻「わかりますよー」

当麻は箸を投げ捨てると、立ち上がり、高橋のバッグに手を伸ばした。
高橋は躊躇しながらも、当麻にバッグがよく見えるよう、向きを変えた。

前田「たかみな、もう行かないと…」

前田は壁にかけられた時計を見て、そわそわとしはじめる。

瀬文「当麻、いい加減にしろ」

瀬文に引き剥がされるようにして、当麻はバッグから手を放した。

瀬文「すみません。こいつに構わず、行ってください」

瀬文はもう一度高橋に頭を下げる。
その時、高橋の携帯が鳴った。



319 :名無し 2011/12/19(月) 12:14:18.61 ID:q2sV+ZRh0
高橋「はいもしもし…」

電話に出た高橋の顔色が変わる。
前田は高橋の表情を見て、不安の色を浮かべた。
高橋は短い会話を終え、前田に顔を向ける。

前田「たかみな?」

高橋「ともちんの容態が…急変したって…」

前田「えぇ!!」

前田は口元に手をやり、驚愕の表情を浮かべた。

当麻「板野さんどうかしたんですか?確か、入院されてるんですよね?」

高橋「いえ、きっと大丈夫だと…思います…」

当麻「そういえば板野さん、以前からよくお仕事をお休みしてましたよね?どういったご病気なんですか?」

高橋「さぁあたし達も詳しくは…。あ、もう本当に時間がないんで、あたし達行きますね」

高橋は呆然としている前田の手を引っ張ると、慌しく店を出て行った。
店の前でタクシーを止め、乗り込む。



320 :名無し 2011/12/19(月) 12:14:49.92 ID:q2sV+ZRh0
2人の姿が見えなくなると、瀬文は当麻へと向き直った。

瀬文「何考えてるんだ」

当麻は片手で頬杖をつき、正面を見据えていた。

当麻「今後の予定ですよ。さて、それじゃあ私達はSKEの現場へと向かいましょうか」

瀬文「SKE?なぜだ?」

瀬文の問いに、当麻は意味深な笑顔を浮かべた。



321 :名無し 2011/12/19(月) 12:23:15.57 ID:q2sV+ZRh0
その夜、高橋と前田はすべてを終え、板野の入院する病院へと向かった。
病院へ到着すると、玄関前にはすでに1人の少女が立っている。
少女は高橋と前田の姿を見つけると、駆け寄ってきた。

高橋「ごめん、突然こんなこと頼んで」

前田「びっくりしたでしょ?でもこのことは誰にも言わないから、どうかお願い…」

少女は無言で首を振った。

高橋「行こう、ともちんの病室はもう聞いてるから」

高橋を先頭に、病院へと入る。
病院特有の匂いのする廊下を、3人は無言で進んだ。
板野のベッドがある病室までやって来る。



322 :名無し 2011/12/19(月) 12:24:03.27 ID:q2sV+ZRh0
前田「ともちーん?」

前田はそっとドアを引いた。
カーテンの隙間から、板野の青白い顔が覗く。

高橋「ともちん大丈夫?」

高橋の呼びかけに、板野の返事はない。
どうやら眠っているようだ。
高橋と前田は顔を見合わせて頷くと、少女を振り返った。

高橋「今のうちにお願い」

高橋に言われた少女は、前に進み出た。
ベッドの端に立つと、眠っている板野の顔の上に手の平をかざす。
その時だった。
突然乱暴に病室のドアが引かれる音がして、足音が響く。

前田「誰ですか?」

前田が鋭い目つきで後ろを振り返った。



323 :名無し 2011/12/19(月) 13:04:31.99 ID:nlGE6vvWi
こんなとこで焦らすなんて!


324 :名無し 2011/12/19(月) 13:07:35.23 ID:0E1gPRA+0
続きはー!?


325 :名無し 2011/12/19(月) 13:13:03.48 ID:q2sV+ZRh0
昼ごはん作ってた!
続き書きます



326 :名無し 2011/12/19(月) 13:13:54.86 ID:NL6OyNvI0
>>325
待ってました!



327 :名無し 2011/12/19(月) 13:14:04.93 ID:q2sV+ZRh0
当麻「そんなことしても無駄っすよ」

そこには当麻が勝ち誇った顔で立っていた。
後ろには瀬文もいる。

前田「どうして…」

前田が驚きの声を洩らした。
高橋は無言で当麻達を睨む。

高橋「知ってたんですね?当麻さん…」

前田「まさかあたし達、はめられたの…?」

前田がくやしそうに奥歯を噛みしめた。

当麻「未詳なめないでください。こんな小娘2人に踊らされるほど、警察は落ちぶれてにゃーだよ」

当麻は2人をおちょくるような笑顔を浮かべると、瀬文にたしなめられ、背すじを伸ばした。
状況を理解できていない少女が、おろおろと高橋達と当麻達を見比べている。

当麻「どうやらまだわかっていない人がいるみたいですね。どういうことだか説明してあげましょうか?ねぇ、聞きたい?聞きたい?」

当麻は慣れなれしく少女に詰め寄る。
高橋は少女から当麻を引き剥がしながら言った。



328 :名無し 2011/12/19(月) 13:15:13.49 ID:q2sV+ZRh0
高橋「もういいですよ。あたし達の負けです」

当麻「そうですよ。あなた達のした事は決して褒められたものじゃありません。だけど事情によっては、評価してあげてもいいですよ。てことでどうしてあたし達がここに来たか、今から説明しますね」

当麻はそう言うと、板野の足元へ腰を下ろした。
いつの間に目を覚ましたのか、板野は細く目を開いて、ぼんやりと天井を見つめている。

前田「ともちん!気がついたの?」

前田が話しかけると、板野は無表情のまま、ゆっくりと1度瞬きをした。

当麻「それじゃあ時間もないみたいですから一気に説明しますねー。まず今回の事件で送られてきた最初の3通の脅迫状。あれを書いたのは高橋さん、ですよね?」

当麻が手の平を向けると、高橋は無言で頷いた。



329 :名無し 2011/12/19(月) 13:16:06.96 ID:q2sV+ZRh0
当麻「高橋さんが脅迫状を送った理由は、板野さんを助けるためなんですよね?詳しいことはわかりませんが、板野さんは今、大変なご病気をなさっている。おそらく現在の医学では治療することが困難な病気」

当麻の言葉に、板野の眉がぴくりと動く。
当麻は少しの間板野を見つめていたが、彼女から何も聞き出せないとわかると、今度は前田に顔を向けた。
板野に寄りそうにようにして立っていた前田が口を開く。

前田「ともちんは徐々に筋肉が力を失っていくという難病です。お医者さんには治る見込みがないと言われました」

当麻「そのようですね。おそらく今はかなり進行した状態…。かろうじて目の周りの筋肉は動かせるようですが、もう声を発することはできなくなっている」

当麻が淡々と言った。
板野の目からは涙が一筋流れている。
前田は慌ててバッグからハンカチを取り出すと、板野の頬を拭った。



330 :名無し 2011/12/19(月) 13:17:39.97 ID:q2sV+ZRh0
当麻「高橋さんは以前からスペックホルダーのリストの存在を知っていましたね?そして未詳という部署が存在することも」

当麻は今度、高橋に向き直った。
瀬文も高橋のほうに視線を向ける。

高橋「はい。人から聞いて、そういう特殊能力者のリストがあると知りました。たぶんそういう事件を扱っている未詳なら、そのリストを持っているんじゃないかと思って」

当麻は1度頷くと、説明を続けた。

当麻「あなたは特殊能力者を語り、偽の脅迫状を書いた。そうすれば相談と称して堂々と未詳の中に入ることができる。そうして頃合いを見計らい、あたし達からスペックホルダーのリストについて聞き出そうと考えた。ですよね?」

高橋は何か言いかけて口をつぐみ、それからゆっくりと首を振った。

当麻「スペックホルダーのリストの中から、病を治すスペックを持った人物のデータを探すことが目的だった。その人物と接触し、板野さんから病を取り除いてもらう。それがあなたの考えた計画ですね」

当麻「そして今日、あなたと前田さんはその計画を実行に移した。スペックホルダーのリストから情報を盗んだのは前田さんですよね?」

当麻に聞かれ、前田は小さく返事をする。

前田「そうです。ごめんなさい」

すかさず高橋が間に入った。

高橋「あっちゃんは悪くないんです。ともちんのために、あたしに協力してくれてただけで…」

当麻は高橋が話そうとするのを、手で制した。

当麻「大丈夫です。わかってますから」

高橋が肩を落とす。



331 :名無し 2011/12/19(月) 13:17:47.01 ID:nlGE6vvWi
定番と言えば定番だがこれは想像できなかった


332 :名無し 2011/12/19(月) 13:17:56.38 ID:0E1gPRA+0
ともちん…


333 :名無し 2011/12/19(月) 13:18:50.31 ID:q2sV+ZRh0
当麻「携帯を忘れたと言って未詳に戻り、うまく言って野々村係長を退席させた前田さんは、スペックホルダーのリストから病を治すスペックを持った人物のデータを検索した」

当麻「その人物のデータを見つけた時、驚いたでしょう?まさかこんな身近に探していた人物が潜んでいたなんて」

当麻はそう言って、面白そうに少女を見た。
高橋達と一緒に病室にやって来たその少女――松井珠理奈は、年齢に似合わぬ強い視線で、当麻を見返す。

当麻「あたし達は最初から前田さんがデータを盗みに来るとわかっていました。だからあえて松井さんのデータをスペックホルダーに付け足しておいたんです」

高橋「付け足した?」

当麻の言葉を聞き、高橋が声を高くした。

高橋「どういう意味ですか?」



334 :名無し 2011/12/19(月) 13:23:36.97 ID:q2sV+ZRh0
当麻「スペックホルダーには病を治すスペックを持った人物のデータはありませんでした。だから私は、前田さんがデータを盗みに来た時に備えて、松井さんの名前を書き加えておいたんです」

前田「あたしが見たデータはダミーだったんですね。じゃあ珠理奈には病を治す能力はないってことですか…」

前田は落胆の表情を浮かべる。

前田「そんな…せっかくここまで来たのに…ともちん…」

当麻「いいえ。ご本人は気付いているかわかりませんが、私達は松井さんが能力者である可能性が高いと睨んでいます。思い出してみてください。山内さんの起こした事件で、骨折など重傷を負ったメンバーが多数いました」

当麻「しかしそのメンバー全員が、すでに仕事に復帰している。こんなことって考えられますか?いくら若いとはいえ、こんなに早く骨折が治るなんてありえませんよ」

当麻は気分が乗ってきたのか、立ち上がり、病室内を歩き回りながら自分の推理を説明していく。

――こうなるとますます話が長くなるんだよな…。

瀬文はひそかに呆れていた。




335 :名無し 2011/12/19(月) 13:30:27.90 ID:q2sV+ZRh0
当麻「不審に思った私は、怪我をしたメンバー全員に接触した人物をあらい出しました。その結果、チーム4全員のお見舞いに行ったのは、高橋さんと篠田さん、松井さんの3人しかいませんでした」

当麻「高橋さん篠田さんはわかるとして、SKEである松井さんがあまり接点のないチーム4のメンバー全員を見舞うのはちょっと珍しいですよね?」

当麻「松井さんは篠田さんにくっついてチーム4の病室を訪れた。その目的はおそらく、彼女達の怪我を治すためだったんじゃないか。そう考えた私は、スペックホルダーに松井さんの名前を書き足しておいたんです」

高橋「珠理奈…本当なの?珠理奈がチーム4の怪我を治したの?」

高橋は珠理奈を見つめる。その目は希望と不安が入り混じり、涙で潤んでいた。

松井珠「昔から、その人に触ると怪我が治ったり、元気のなかった人が元気になったりすることがあって、もしかしたらそうなのかもって思ってたんです」

松井珠「だからチーム4の怪我のことを知って、治してあげたいと思って、お見舞いに行く篠田さんに無理やりくっついて行ったんです」

瀬文は珠理奈のいた楽屋の雰囲気を思い出した。
小森の起こした事件でメンバーはみんなショックを受けているはずなのに、妙に明るかった彼女達。
もしかしたらあれも、ここにいる珠理奈の力なのではないだろうか。
彼女は本当に、人を癒す能力を持っていたのだ。

当麻「瀬文さんの怪我や、チームBの皆さんの怪我を治したのもあなたですね?」

松井珠「はい…」

瀬文は狭い楽屋で、彼女達の何人かと肩をぶつけてしまったことがある。

――ぶつかったメンバーの中にこの松井さんもいて、俺の怪我を治してくれたのか…。

瀬文は脅威の目で、珠理奈を見た。



336 :名無し 2011/12/19(月) 13:35:21.77 ID:q2sV+ZRh0
当麻「松井さん、板野さんの病を取り除くことができますか?」

当麻が静かに問いかけた。
珠理奈は横たわる板野に視線を向け、大きく頷く。

松井珠「できます」

そう宣言すると、珠理奈は板野へと近づき、手をかざした。
それを当麻が制止する。

当麻「待ってください。高橋さんはこの部屋から出ていてください」

高橋「え?何でですか?」

当麻「理由は後で説明します。板野さんを助けたかったら、少しの間ここから出ていてください」

当麻の言葉に、高橋は首を傾げながら病室を出た。

高橋が廊下に出ると、瀬文は申し訳なさそうに一礼し、ドアを閉める。

――どういうつもりなの…?当麻さん、何を考えているんだろう。

高橋は不安に思いながら、冷たい廊下で1人、板野の回復を願った。



337 :名無し 2011/12/19(月) 13:42:51.91 ID:q2sV+ZRh0
高橋が病室を出ると、当麻は珠理奈を促した。
珠理奈が再び板野の顔の上に手をかざす。
それは僅かな時間だった。
傍目には何も変化していないように思えた。
しかし珠理奈が手を引っ込めた瞬間、板野はゆっくりと動きはじめたのだ。

前田「ともちん!」

前田が板野の手を握る。
板野はベッドから半身を起こすと、口を開いた。

板野「珠理奈、ありがとう…」

珠理奈はかすかに顎を引いた。
瀬文は板野の姿を確認すると、廊下の高橋を呼んだ。

高橋「ともちん…」

病室に入って来た高橋は、板野の回復を見ると、両手で顔を覆い泣き崩れた。
板野は困ったように高橋を見る。
それから当麻と瀬文に視線を向けた。
次に彼女が発した言葉は、意外なものだった。



338 :名無し 2011/12/19(月) 13:43:45.16 ID:q2sV+ZRh0
板野「ごめんなさい…」

高橋が泣きながら板野のもとへ駆け寄り、彼女の肩を抱く。

高橋「どうして…どうしてともちんが謝るんだよぉ…」

板野「あたしがこんなことになったから、たかみなとあっちゃんは偽の脅迫状を書いたり、警察のデータを盗んだり…。全部あたしのせいなんです。2人は悪くないんです。お願いです、2人を連れて行かないでください」

板野はそう言うと、嗚咽を洩らした。
当麻は気の毒そうにそんな板野を見つめる。

当麻「お2人がデータを盗んだのは犯罪ですが、あれは私達が仕組んだことですから罪に問うつもりはありません」

前田「仕組んだ?どういうことですか?」

当麻「あんな簡単にデータが盗めて、疑問に思わなかったんですか?全部私達の演技ですよ。どうですか?騙されたでしょ?」

当麻は悪戯っぽい視線を、前田に送った。



339 :名無し 2011/12/19(月) 13:47:10.62 ID:q2sV+ZRh0
当麻「いくら瀬文さんが馬鹿でも、あんなにわかりやすくスペックホルダーのリストの存在を認めるわけがない。それにいくら空腹だからって、私が大事なデータを野々村係長に任せたまま、外出するわけないじゃないですかー」

当麻「野々村係長だっていくら雅ちゃんを他の男性に盗られちゃうかもしれない一大事でも、データを開いたままあなたを未詳に残して出ていくなんてことしませんよ。妙にうまく物事が進んでいるって、不審に思わないほうが不思議です」

その言葉を聞き、前田はくやしそうに唇を噛んだ。

当麻「前田さん、あなたはちょっと、自分の能力に溺れていたようですね?」

当麻が確かめるように訊く。

板野「能力?」

板野が掠れた声で尋ねた。

高橋「どういうことなの、あっちゃん…」

高橋は驚きの表情で前田に視線を向けた。

前田「……」

前田は小刻みに肩を震わせながら、黙り込んでしまう。
当麻はにやりと笑った。



340 :名無し 2011/12/19(月) 13:48:33.08 ID:q2sV+ZRh0
当麻「隠すことないじゃないですかー。スペックを持ったアイドル、素敵じゃないですかー。ね?松井さん?」

当麻は珠理奈に同意を求めた。
しかし珠理奈は当麻を無視して、前田を見つめている。

前田「こんな能力持ってたって…全然いいことないんです…」

前田は絞り出すようにそれだけ言うと、ぽろぽろと涙を流した。

前田「知りたくないことまで知ってしまう。誰かが言った悪口、あたしへの批判の言葉…そんなのが毎日毎日あたしの元へ届く。こんな能力さえなければ、何も知らずにいられたのに…」

高橋はそっと板野から手を話すと、前田の背中を宥めるように擦りはじめた。
前田は激しくしゃくりあげ、それ以上話すこともままならない様子である。
瀬文は当麻を睨みつけた。

瀬文「彼女が傷つくような訊き方をするなと忠告したはずだ」

当麻「別に私はそんなつもりがあって言ったんじゃありませんよー。純粋に前田さんの持つスペックに感心していただけです」

当麻が口を尖らせた。
珠理奈は今度、当麻に強い視線を向ける。



341 :名無し 2011/12/19(月) 13:51:13.04 ID:q2sV+ZRh0
当麻は肩をすくめると、もう一度板野の足元に腰を下ろした。
板野がさっと足を動かし、スペースを空ける。

当麻「前田さん、あなたは普通じゃ考えられないくらいものすごーく耳がいいんですよね?何キロも離れた先の音を聞き分けるくらい。だからどこにいても、自分への批判の声が聞こえてきてしまう。ですよね?」

当麻の言葉に、前田がかすかに頷く。

当麻「過去のあなた方の映像を見させてもらって、気がついたことがありました。前田さん、あなたは時間があるとどこでも寝てしまう。移動中の車内、撮影の合間、それにメイク中でさえ、暇さえあればあなたは眠っています」

当麻「それから体型に似合わぬその食欲。きっと人並みはずれたその聴力は、普通の人の何倍も脳を使っているんだと思いますよ。だからすぐに脳は休息を求めて眠くなる。栄養を求めて食欲が増大する」

当麻「私だって人の何倍も食べなきゃ頭働きまへん。特殊なスペックを持ったあなたなら、なおさら脳に栄養が必要だったんですよね?」

板野「あっちゃん、だからあんなに食べてたんだ…」

前田「でも、どうしてあたしの能力に気付いたんですか?」

高橋に宥められ、ようやく呼吸を整えた前田が尋ねる。

前田「今まで誰にも気付かれたことなかったのに…」



342 :名無し 2011/12/19(月) 13:54:01.20 ID:2/eSIqdUi
てっことは、まゆゆは誰が狙ったんだ


343 :名無し 2011/12/19(月) 14:00:26.26 ID:q2sV+ZRh0
当麻「歌番組のリハーサルですよ。あの時は機材トラブルで、皆さん講師の手拍子に合わせて踊っていた。しかし途中で機材が直り、大音量で曲がかかってしまった」

当麻「その時、メンバーはみんなリズムを失い、ダンスが踊れず動きが止まってしまいました。しかしあなただけは踊り続けていた」

当麻「あなたはセンターで踊っていたから後ろにいるメンバーの動きを見ることが出来ない。講師の手拍子に集中するあまり、大音量の中でもその手拍子を聞き分けて、1人だけ踊り続けてしまったんです」

当麻「それからすぐにメンバーが動く音が背後で聞こえなくなっていることに気付き、自分もリズムを見失ったふりをして踊るのをやめたんですよね?」

前田「…見られてたんですか」

当麻「はい、ばっちり見てました。それに握手会で渡辺さんが襲われた事件。あの時あなたはコートを取ろうとしてよろけて渡辺さんを倒してしまったと証言した。結果、渡辺さんは事なきを得た。しかしそれはあなたの性格上、矛盾した行動なんですよ」

板野「矛盾?なんで…?」

当麻「私達は事件の映像をもう一度確認してみました。あなたはコートを取るため、列に並ぶファンを少し待たせてしまう」

当麻「しかし次にあなたと握手しようと並んでいたのは、小学生の女の子です。子供好きのあなたが、いくら寒くてコートを着たいからといって、並んでくれている小学生を待たせるなんてことは絶対にしないはずです」

当麻「きっとどうしてもあのタイミングでコートを取らなければならない理由があった」

当麻「あの時、あなたには聞こえていたんです。隣のビルの屋上から渡辺さんを狙う山内さんの荒い息遣い、矢を投げた音…。そこで渡辺さんを助けるため、咄嗟にあなたは渡辺さんにぶつかり、彼女を倒して矢の攻撃から守ったんです」

当麻「それから私と瀬文さんは他にもあなたの映っている過去の映像をすべてチェックしてみたんです」

高橋「えぇ?すべてですか?」

瀬文「徹夜でした」

高橋は脅威の目を瀬文に向ける。
瀬文は高橋のほうを見ず、宙を睨んでいた。



344 :名無し 2011/12/19(月) 14:02:05.05 ID:iKnHvNHeO
最初の脅迫状は握手会サボりたい河西の仕業だと思ってたのに…


345 :名無し 2011/12/19(月) 14:03:22.89 ID:q2sV+ZRh0
当麻「そうしたら結構あるんですよ。騒がしい楽屋で、前田さんだけが携帯の着信音に気付いたり、遠くで物が落ちたのに気付いたりってことが」

当麻「しかし同時に、あなたが携帯に集中していてスタッフの説明をまったく聞いていなかったり、メンバーが円陣を組んでいるのに気付くのが遅れて、1人だけ歯ブラシを加えたまま慌てて参加することになったり、ミスを犯す場面も多いんです」

当麻「これってどういうことなんでしょう?人の何倍も聴力に優れたあなたが、そんなミス犯すなんてありえません。なぜその時々で能力を発揮したりしていなかったりするんでしょう?」

当麻の問いかけに、前田は言葉を詰まらせ、高橋を見た。
それがすべてを明らかにしていた。

当麻「そうですよね。見たところあなた自身が自分の能力をコントロールしているわけではなさそうです。それなのにその素晴らしい聴力を発揮している時と発揮していない時がある。原因はおそらく、そこにいる高橋さんですね?」

高橋「え?あたし?」

高橋は驚きの声を上げ、びくりと肩を震わせた。



346 :名無し 2011/12/19(月) 14:04:48.54 ID:q2sV+ZRh0
高橋「えぇぇー?なんであたしなんですか?あたしなんにもしてないですよ」

高橋が大げさに顔の前で手を振る。
前田はその様子を、黙って見つめていた。

当麻「確かに高橋さん自身は何もしていません。よって自覚がないのも当たり前です。高橋さんはたぶん、傍にいるだけで能力者の持つスペックを無効化できる特異体質の持ち主なんです」

当麻が説明すると、珠理奈が納得の声を上げた。

松井珠「あ、だからさっきたかみなさんだけ病室の外に出したんですね」

当麻が頷く。

当麻「そうです。調べると、前田さんはよく高橋さんの傍にいることが多い。その様子はまるで、飼い主にまとわりつく子犬ようです。だいぶ高橋さんに依存しているようですね」

当麻「高橋さんの傍にいれば、能力が発揮されず、遠く離れた音が聞こえてこなくなるからです。彼女が傍にいてくれさえすれば、聞きたくもない他人の噂話や悪口が耳に届くことはない。前田さんにとって、これほど心の休まる場所は他にありません」

前田「ごめんねたかみな…」

前田が肩を落とした。

高橋「え?なんで謝るの?」



347 :名無し 2011/12/19(月) 14:05:45.54 ID:q2sV+ZRh0
前田「たかみなの傍にいれば、あたしを傷つけるような言葉が聞こえてくることはない。だからあたしはいつもたかみなにくっついてたの。たかみなを…利用してたんだよ。自分が安心したいがために…」

高橋「あっちゃん…」

高橋が目を伏せた。
そこに板野が割って入る。

板野「違うでしょ、あっちゃん!」

前田「ともちん…」

板野「利用してたなんて、悪い言い方しちゃ駄目だよ。あっちゃんは心からたかみなのことを信頼していて、だから傍にいたんでしょ。自分を貶めるような言い方しちゃ駄目。そんなことしたら、あっちゃんを信じてくれてるたかみなのことも否定する意味になっちゃうよ」

板野の言葉に前田は再びしゃくり声を上げた。



348 :名無し 2011/12/19(月) 14:09:14.06 ID:VWbg7szP0
どんだけ構成力あるんだよw
うますぎる



349 :名無し 2011/12/19(月) 14:10:39.17 ID:q2sV+ZRh0
高橋「大丈夫だよ。あっちゃんがそんなつもりであたしと一緒にいるなんて思ってないから」

高橋が穏やかな声をかけた。
前田は高橋に寄りかかると、小声でごめんと呟く。

当麻「さて、このように聴力に優れた前田さんには、未詳から餃子屋に移る間、高橋さんから離れ、1人きりになる時間があった。そうですよね?」

高橋「確かにあっちゃんは未詳を出た後、お手洗いに行きました。その間あたしは雅ちゃんて人にサインを頼まれてて…あ!もしかして雅ちゃんも?」

高橋はそこで気がついて、当麻を見た。

当麻「はい。詳しい事情は話していませんが、雅ちゃんには高橋さんと前田さんを少しの間離しておくよう協力してもらいました。1人になった前田さんは必ずその聴力を使って、未詳の会話を聞くと思ったからです」

当麻「だから私達は事前に決めておいた会話をし、わざと前田さんに聞かせました。未詳での私と瀬文さん、野々村係長の会話から、野々村係長が1人残ってリストをチェックし直していると知った前田さんは、携帯を忘れたと嘘をつき、未詳に戻りました」

当麻「そして野々村係長が未詳から出るタイミングを見つけていた。そこへまたしても協力者、雅ちゃんの登場です」

当麻「彼女が偽の結婚話をしていることを聞き取った前田さんは、これを利用する手はないと早速野々村係長にそのことを話し、うまく彼を退席させた。そうして未詳に1人残り、リストから松井さんの名前を見つけたのです。それがあたし達の罠だと知らずに…」

高橋「でも、どうしてあたし達が病を治すスペックを探しているとわかったんですか?」

高橋が首を傾げる。

高橋「ともちんの病気のことだってあたしとあっちゃんしか知らないはずなのに…」



350 :名無し 2011/12/19(月) 14:22:32.96 ID:WPNFYZsYO
ほしゅ


351 :名無し 2011/12/19(月) 14:23:55.93 ID:q2sV+ZRh0
当麻「あなた方は未詳に来るのが早すぎたんですよ。いくら立て続けに事件が起きて不安だからといって、高橋さんのような人がメンバーの皆さんを疑うわけないんです。私が以前にメンバーの中に犯人がいる可能性を示唆した時だって、怒りまじりに否定したじゃないですか」

当麻「そんな高橋さんが、なぜか今日になってメンバーの中にまだ能力者が潜んでいるかもしれないからリストを調べてほしいとお願いしてきた。私はそこに引っかかりを感じました」

当麻「なぜ高橋さんと前田さんはこんな、ちょっと考えれば不審極まりない行動をとったのか。もしかしたら何か別の理由があって、早急にリストを確認する必要があったのではないか」

当麻「それだけ急ぐのであれば、だいたい想像はつきます。人の生死に関わる問題がからんでいるはず。だから病を治すスペックを持っている可能性の高い、松井さんの名前をデータに書き足したんです」

当麻「そして私達は次に、お2人の身近で、長く患っている人間は誰なのかと考えました。答えは簡単。入院中の板野さんです。だから私は、高橋さんのバッグに発信機をつけると同時に、松井さんの仕事場へ連絡をしました」

当麻「すると松井さんは急に体調を崩したといい、仕事を休んでいる。偶然でしょうか。いいえ、松井さんはきっと高橋さんに呼び出され、板野さんを救うためにその時にはもう新幹線に乗っていたのだと思います。違いますか?」

当麻が尋ねると、珠理奈はその通りだと答えた。

松井珠「話を聞いた時は驚いたけど、板野さんを助けられるのはあたししかいないと思ったんです。急に休んじゃってSKEのみんなには迷惑かけちゃったけど…」

当麻「そして私達は高橋さんの発信機を辿り、この病室までやって来た。するとベッドに横たわる板野さんがいた。すべては私の考えたとおりでした」

高橋はそこまで聞くと、がくりと膝からくずれ落ちた。



352 :名無し 2011/12/19(月) 14:25:59.30 ID:q2sV+ZRh0
高橋「すみません。あたし、自分達だけでどうにかできると思ってた。うまくデータを盗み出して、珠理奈にともちんの病を取り除いてもらって。これですべてうまくいくと驕ってたんです。裏では当麻さん達が協力してくれていたとも知らずに…」

前田「ごめんなさい…。あたし達だけだったら、珠理奈ちゃんの能力に気付くことさえできなかったと思います。でも当麻さん、なんでこんなあたし達の馬鹿な計画に乗ってくれたんですか?」

当麻「やっぱり板野さんには死んでほしくないっていうのが一番ですね。野々村係長の推しメンですし。でも板野さんに限らず、救える命があるのに放っておくなんて真似、警察は…少なくとも私達未詳は絶対にしません」

当麻はそう言って、思い切り鼻をすすった。

当麻「先ほど言った通り、お2人を罪に問うつもりはありません。未詳を騙し、脅迫状でメンバーを不安にさせたことは反省してもらいますが、それが友人の命を救うために起こした行動なのだとしたら、誰にもあなた方を責める権利はないと、私は思います」

高橋「ありがとうございます…」

高橋が深々と頭を下げた。



353 :名無し 2011/12/19(月) 14:27:45.70 ID:ddNoFZGK0
続きがきになるきになるぅ~


354 :名無し 2011/12/19(月) 14:33:27.12 ID:q2sV+ZRh0
当麻「ただし、迷惑料としてちょっと未詳に協力してもらうことにはなりますが」

前田「え?協力…?」

当麻「はい。あなた方の計画に便乗して事件を起こした、真犯人を突き止めるんです。最初の3通の脅迫状は高橋さんが書いたものですが、それ以降の脅迫状については書いてないんですよね?」

高橋「はい、だからまゆゆに脅迫状が届いた時はびっくりしました」

当麻「誰かが脅迫状を書いたのは高橋さんだと知り、それに共鳴して事件を起こした。山内さん小森さん平嶋さんを操って、メンバーを襲わせたんです」

当麻「真犯人はたぶん、脅迫状が病を治すスペックを探すためだという高橋さんと前田さんの目的までは知らない。だから真犯人は、脅迫状の内容をそのまま、高橋さんの意思だと思い込んでしまった」

当麻「高橋さんが握手会を中止にさせたがっていると思った犯人は、高橋さんの願いを実現させてあげようと、犯行を起こした。おそらく事件を起こさせた真犯人はかなり強く、高橋さんに対して敬意の念を抱いている」

板野「そんな…。たかみなのことを尊敬してるなら、メンバーみんなそうですよ」

当麻「はい。しかし真犯人はそれ以上に高橋さんへの尊敬をエスカレートさせ、盲目的に高橋さんを崇拝している人物と考えられます」

当麻は自信たっぷりにそう言い切った。
高橋が困惑の表情を浮かべる。



355 :名無し 2011/12/19(月) 14:34:59.92 ID:q2sV+ZRh0
前田「じゃあにゃんにゃんはありえないね。だってにゃんにゃん、たかみなのことちょっと馬鹿にしてるもん」

高橋「尊敬してもらえるのは嬉しいですけど、崇拝なんて…。あたしそんなに立派な人間じゃないですよ」

高橋の言葉を、瀬文は密かに首を振って否定していた。
しかし高橋はそれに気付かず、動揺している。

当麻「とにかくお2人が協力してくれるとなれば、真犯人を突き止めることは難しくなくなりました。高橋さんと前田さんはこれからなるべく離れて行動してください」

当麻「そうして前田さんはメンバーの会話を聞き、少しでも怪しいところのある者がいたら私達に教えてください。いいですね?」

前田は不安そうに高橋を見ていたが、当麻に促され、渋々頷いた。

前田「しばらくはたかみなと離れています」

当麻は前田から了承を得ると、満足げに再び鼻をすすった。



356 :名無し 2011/12/19(月) 14:36:23.48 ID:q2sV+ZRh0
翌日から、高橋と前田は約束通り、楽屋でも少し距離を置いて過ごすようにしていた。
楽屋にはもちろん、板野の姿もある。
高橋とあまり話せなくなってしまったことは寂しいが、板野が元気に仕事をこなしているのを目にするだけで、前田は満足だった。
当麻と瀬文は今日も彼女達の仕事場に顔を出している。
しかしメンバーの中には、まだ刑事の姿があることを不審がる者が出てきた。


篠田「当麻さん達、まだ事件が起きると思ってるのかな?脅迫状を書いたり、こもりんを使ってメンバーを襲わせたのはなっちゃんだったんでしょ?もう警察が捜査することなんてないはずじゃ…」

篠田の問いかけを、高橋はのらりくらりとかわすしかない。
そんな高橋の煮え切らない態度に、篠田はますます不信感を抱きはじめている。

横山「あ、たかみなさん、スタッフさんが打ち合わせしたいって探してはりましたよ」

テレビ局の廊下で、篠田から質問攻めにあっていた高橋は、横山の言葉を天の助けのように思った。

高橋「じゃあ麻里子、そういうことだからまた後で話そう」

高橋はそう言って、横山に教えられた打ち合わせ室へと走り去る。
篠田は納得がいかない顔で、高橋の後姿を見つめていた。



357 :名無し 2011/12/19(月) 14:37:29.14 ID:q2sV+ZRh0
横山「篠田さん?どうかしはりました?」

横山が不思議そうに篠田の顔を覗き込む。

篠田「何でもないよ。行こうゆいはん…」

篠田は首を振った。

横山「え?行くって楽屋ですか?」

篠田「うん」

横山「そんなんあかんやん、篠田さん忘れてんのですか?」

篠田は横山に言われ、自分がうっかりしていたことに気付く。
忙しい篠田は、収録の合間などに雑誌の取材を受けることも多い。
今日も何誌かの取材が控えていた。

篠田「あっちゃんも一緒に取材なんだよね。呼んでこよー」

横山は篠田の後ろ姿を見送ると、北原のもとへ行こうと、楽屋へ急いだ。



358 :名無し 2011/12/19(月) 14:37:47.21 ID:VFbMO1NL0
犯人の米沢がまだ登場してないんだけど


359 :名無し 2011/12/19(月) 14:40:00.81 ID:q2sV+ZRh0
楽屋では倉持にされるがまま、高城が耳をいじられていた。
柏木はそれを馴れた様子で無視している。
彼女にとっては既に見慣れた光景なのだ。

倉持「あきちゃ~耳ぃ…」

柏木の横には渡辺がいる。
平嶋が起こした事件で再び恐怖を味わった渡辺だが、幸い大きな傷もなく、仕事を続けている。
ただし1人になるのが不安らしく、柏木の傍から片時も離れようとはしない。


横山が楽屋に戻ると、北原は当麻と楽しげに話しこんでいた。

当麻「名古屋といったら味噌カツですもんねー」

北原「あと手羽先も!」

当麻「そういえば手羽先餃子って知ってます?」

北原「え?何ですかそれ、知らないですー」

なんだか当麻に北原を奪われたようで、横山は落ち着かない。



360 :名無し 2011/12/19(月) 14:40:48.98 ID:q2sV+ZRh0
横山「なんやねんほんまに…。なんで事件解決したのに刑事さんおんの…」

横山はそこで自身の独占欲の強さに気付き、密かに恥じた。
気持ちを落ち着けようとしたその時、楽屋内を走り回る仲川とぶつかってしまう。

仲川「あ、ごめんねゆいはん」

仲川はそのままどこかへ走り去っていった。

横山「もうなんで楽屋ん中走るんやろう」

横山はぶつぶつと言いながら、バッグから箱を取り出す。

――こんな時は八つ橋に限るわ…。

八つ橋は時に彼女にとっての精神安定剤となる。



361 :名無し 2011/12/19(月) 14:41:26.58 ID:ID5k4ZE80
>>358
こういう類は、すべて米ちゃんなのかwwwww
あの小説は面白かったけど



362 :名無し 2011/12/19(月) 14:42:05.50 ID:q2sV+ZRh0
大島「あー八つ橋!」

匂いで気づいた大島が、横山のもとへ寄ってくる。

横山「実家から送ってもらったんですよ。1つどうぞ」

大島「んじゃ遠慮なく…いただきまーす」

大島が手を伸ばす。どこから現れたのか仲川もやって来て、はしゃいだ声を出した。

仲川「いいなー、八つ橋」

横山「お1つどうぞ」

仲川「わーい、ありがとう」

仲川の大声に誘われ、他のメンバーも横山の周りに集まり出した。
横山はそれぞれに八つ橋を振る舞う。



363 :名無し 2011/12/19(月) 14:43:46.90 ID:q2sV+ZRh0
当麻「ん?なんか匂いますねぇ」

北原と話しこんでいた当麻が、鼻をひくひくさせながら楽屋の中を見回した。

北原「八つ橋じゃないですか?」

ふと見ると、横山の周りに人だかりが出来ていた。
当麻と北原もそちらのほうへ移動する。

高城「八つ橋もらったから、あたしのじゃがりこも今度由依ちゃんにあげるね」

横山「ほんまですかぁ?ありがとうございます」

当麻「あー、おいしそうですねー。生八つ橋…しかも黒豆八つ橋じゃないですか」

当麻は目を見開いた。
瀬文がお決まりのように当麻の頭を叩く。

瀬文「当麻!いじきたないぞ」

当麻「痛っ!いいじゃないすか見てるだけなんだから」

当麻と瀬文のやりとりを聞いて、横山が申し訳なさそうに眉を下げる。

横山「すみません、1ダースなんで今日のメンバー分しか用意してないんですよ」

横山の言葉を聞くと、当麻は心底残念そうに肩を落とした。

横山「すみません…」



364 :名無し 2011/12/19(月) 14:45:24.07 ID:ID5k4ZE80
北海道に当麻って地名あるよね


365 :名無し 2011/12/19(月) 14:45:28.64 ID:q2sV+ZRh0
肩をすぼめる横山を見ても、当麻は大人げなく八つ橋を連呼している。
見かねた柏木が自分の分を当麻へ譲った。
当麻はうれしそうに八つ橋を口へ運ぶ。

当麻「上品な味ですねー」

瀬文「舌バカのおまえに味なんてものがわかるのか…」

当麻「あとはもう少し胡椒がきいてれば…いや七味唐辛子でもいいな…」

瀬文は呆れて、それ以上何も言わなかった。

当麻「あ、そういえば高橋さんと前田さん、出てったっきり戻ってきませんねー」

当麻が口の端にあんこをつけたまま言う。



366 :名無し 2011/12/19(月) 14:46:54.39 ID:q2sV+ZRh0
大島「たかみななら、たぶんスタッフさんと打ち合わせだと思いますよ」

松井珠「前田さんは篠田さんと一緒に取材ですよね」

すでに八つ橋を食べ終えた大島と珠理奈が、お茶を飲みながら言った。

当麻「篠田さんか…取材ってどこですか?」

柏木「たぶん2階じゃないでしょうか」

当麻「そうですか」

当麻は以前、北原が篠田と仁藤の対立についてこぼしていたことを思い出した。
取材終わりの篠田に話を聞いてみることにしよう。
当麻はそう決めて、素早く立ち上がる。

当麻「じゃあ私達はお2人の取材の様子を見てきますのでこれで。八つ橋、ごちそうさまでした」

当麻と瀬文は廊下に出ると、階段に向かって歩き出しだした。
しかしすぐに北原に呼び止められる。



367 :名無し 2011/12/19(月) 14:47:53.13 ID:q2sV+ZRh0
北原「あの、篠田さんに話を聞くつもりですか?」

当麻「はい…何か?」

北原「前にあたしが言ったこと…篠田さんと萌乃ちゃんが気まずいって話…。あれについて聞くんですよね?」

当麻「大丈夫ですよ。別にお2人のどちらかを警察が疑っているわけではありません」

北原「はい、それはわかります。犯人はもう自白しましたし…。あたしが心配なのは…その…」

北原はそこでもじもじと口ごもった。

当麻「お2人の対立について、私達に喋ったのが北原さんだと、本人にバレるのはマズい…」

当麻が尋ねると、北原は小さく頷いた。

北原「そうです。もし知ったら、篠田さんも萌乃ちゃんもきっと嫌な気分になると思うし…」

北原は怯えたように視線を泳がせた。
瀬文はそんな北原の様子が、可哀想に思えてくる。



368 :名無し 2011/12/19(月) 14:48:40.71 ID:q2sV+ZRh0
瀬文「ご心配はいりません。北原さんから聞いたなどとは絶対に本人達には言いませんから」

北原「本当ですか?」

当麻「はい、本人達には問題のバラエティの映像を見たと伝えます。北原さんの名前は出しません」

北原「良かった…」

北原はほっとしたのか、ようやくわずかに頬を緩めた。

北原「お願いします」

北原は丁寧に挨拶すると、2人のもとから立ち去っていった。

瀬文「北原さんは、少し気を回しすぎな気がするが…」

北原の姿が見えなくなると、瀬文がぽつりと呟いた。

当麻「あれだけ女が集まっているんですから、色々と気を遣う部分もあるんでしょう。さ、私達も急ぎましょう」

当麻は素早く切り替えて、歩きはじめた。



369 :名無し 2011/12/19(月) 14:51:43.67 ID:q2sV+ZRh0
一方打ち合わせを終えた高橋は、スタッフと別れ、1人暗い廊下を歩いていた。

――節電か…。暗くてちょっと怖いな…。

高橋の歩みが自然と速くなる。
廊下の角を曲がった時、何者かに腕を引っ張られた。

高橋「キャッ、何?」

咄嗟のことに、抵抗する隙もなかった。
高橋は暗く狭い場所に閉じ込められた。

高橋「え?何?どこ?ちょっと出してよ、出して!」

高橋は闇雲に周囲の壁を叩く。
その拍子に足に何かが当たった。
手探りでその物を確認した。

――モップ…?てことはここ、掃除用具入れか。

気がついてみると、辺りに雑巾のような臭いが漂っている。
高橋は口元を押さえた。

――ひどい臭い。吐きそう…。

高橋はもう一度、片手で壁を叩いた。



370 :名無し 2011/12/19(月) 14:53:23.69 ID:q2sV+ZRh0
高橋「ねぇ悪ふざけはやめようよー。誰だか知らないけど早くここから出して!」

それから外の様子を窺うため、耳を澄ませた。

――誰か…いる…!

外には人が立っている気配、かすかな息遣いが感じられた。

高橋「もう充分びびったからいい加減開けてよー」

高橋はそれを冗談で済ませようと、半ば懇願するように外の人物に向けて声をかけた。
頭の片隅では、ひょっとして相手は何か目的があって自分を閉じ込めたのかもと、悪い想像が働きはじめてた。
すると、それまで何も言わなかった外の人物が、高橋に声をかけた。

『ちょっとここでおとなしくしててね。後で必ず出してあげるから、絶対に声を出しちゃだめだよ』

外の人物は確かにそう言った。
高橋は意味がわからず、それがさらに恐怖心を煽る結果となった。



371 :名無し 2011/12/19(月) 14:55:22.17 ID:q2sV+ZRh0
突然、高橋の背後で、砂嵐のような耳障りな音が大音量で響く。
プレイヤーのタイマーがセットされていたようだ。

高橋「何これ、うるさっ…」

高橋は反射的に耳を塞いだ。
気配だけで、外の人物が立ち去ったことに気付く。
ここはあまり人の通らない廊下。
さらに清掃員しか入ることのない掃除用具入れ。
高橋は絶望感に襲われた。

――どうなるんだろう、あたし…。

砂嵐の音は高橋の精神を刺激する。

――考えなきゃ考えなきゃ…ここから助かる方法を…。

高橋はそこで前田の顔を思い浮かべた。

――あっちゃんになら、あたしの声が届くはず。

高橋は自分を奮い立たせ、気がおかしくなるを必死で堪えた。
そして叫ぶ。

高橋「あっちゃん、あっちゃん助けて!」



372 :名無し 2011/12/19(月) 15:01:24.13 ID:q2sV+ZRh0
高橋の声は、前田の耳に届いていた。
しかし前田はそれをどうすることも出来ない。
助けを欲しているのは、前田も同じだった。

前田は1人の少女と対峙している。

前田「どうして…」

少女の視線は前田に向いているものの、その目は何も捉えていないように見える。
感情さえ窺い知ることのできない、虚無の目だった。

前田「やめて…お願い…」


取材を終えた前田は、まっすぐ楽屋へ戻るつもりだった。
しかし途中で隣を歩いていた篠田が急に苦しみ出したのだ。
前田は助けを求めて、急いで近くの救護室へ飛び込んだ。
そしてそこで思いもよらぬ人物と対面した。


前田は全身をがたがたと震わせている。
吐く息が白い。
一体何が起きているのか。



373 :名無し 2011/12/19(月) 15:02:05.53 ID:q2sV+ZRh0
少女が無言で手をかざす。
すると、前田の横に置かれている水槽が凍りはじめた。
前田はそれを見ると、反対方向へ思い切り飛びのいた。
その一瞬後に、凍結した水槽が割れる。
先ほどまで前田が立っていた床に、水槽の破片が突き刺さった。
前田はもう、自分が寒さで震えているのか、恐怖で震えているのかわからなくなっていた。
少女が舌打ちをする。

前田「どうしてこんなことするの?」

前田が奥歯をがたがたと言わせながら、声を振り絞った。

前田「馬鹿な真似はやめて!」

少女は今度、前田のすぐ横に置かれた薬棚に向かって手をかざす。
前田の聴力が、ガラスの凍る音を知らせる。
前田は今度、部屋の奥へと飛びのいた。
直後、弾けたガラスが、前田の立っていた場所へ散らばる。



374 :名無し 2011/12/19(月) 15:03:00.14 ID:q2sV+ZRh0
少女はまたしても舌打ちをすると、今度は前田自身に向けて手をかざした。
前田の体が先ほどよりも強く震える。

――寒い。痛い。

このままだと死ぬかもしれない。
前田は必死に視線を動かし、助かる道を探した。

――急がなきゃ、このままだと体がもたない…。

その時だった。
少女の背後で扉が開き、待ち望んだ顔が現れた。

前田「当麻さん!」



375 :名無し 2011/12/19(月) 15:05:32.38 ID:q2sV+ZRh0
当麻「帰りが遅いんで探してみたら…。うっわー、何この部屋、寒すぎじゃないすか」

当麻がしかめっ面を浮かべ、その場でぴょんぴょんとジャンプした。
少女は振り返り、今度は当麻に向けて手をかざす。

瀬文「何してやがる…」

瀬文が当麻の背後から現れ、少女の手を蹴り飛ばした。
少女が床を転がる。
しかしすぐに起き上がり、瀬文に手をかざした。
瀬文はその場に固まり、寒さに震えはじめる。

倉持「何してるんですかー?え?」

いつの間に現れたのか、外の廊下にはメンバー達の顔がちらほらと見えはじめていた。
どうやら騒ぎを聞きつけて集まったらしい。

板野「あっちゃん!」

板野は前田を呼び、それから目を丸くして、口元へ手をやった。
前田の髪はところどころ凍っている。
仲川はわけもわからず、しかし前田が危険なことにだけは気付き、少女へと体当たりした。
バランスを崩した少女が再度床を転がる。
その隙に瀬文は少女の手を背中へと回し、かじかむ手でなんとか手錠をかけた。



376 :名無し 2011/12/19(月) 15:07:25.41 ID:q2sV+ZRh0
板野が駆け出して、前田を抱きしめる。

板野「大丈夫だった?何があったの?」

安心したのか、前田はその場にへたりこんでしまった。
瀬文は仲川に深々と頭を下げると、スーツの上着を脱ぎ、前田の肩へかけた。

前田「ありがとうございます。あとたかみなが、たぶん廊下の隅の掃除用具入れに閉じ込められています。助けてください…」

前田はそれだけ言うと、気を失った。
廊下にいたメンバー達が、救護室へと駆け込んでくる。
倉持が持っていたひざかけで前田を包むと、高城が背中に乗せて廊下へと運び出した。

板野「早く暖かい場所に運ぼう。あっちゃんの手、すごく冷たいよ…」

板野の案内で、前田は楽屋のストーブの近くへと連れて行かれる。
当麻はメンバー達の中から珠理奈の顔を見つけると、目で合図を送った。
珠理奈には自分のやるべきことがすでにわかっていた。
瀬文の肩に背中に手をかざした後すぐに部屋を出て、前田のもとへと走る。



377 :名無し 2011/12/19(月) 15:12:56.29 ID:q2sV+ZRh0
大島「どうして…何があったんですか…」

メンバー達が立ち去った後、ただ1人残った大島が、涙を滲ませ、その場に崩れ落ちた。

瀬文「……」

瀬文の足元で、手錠をかけられた少女が横たわっている。
大島は制止する当麻を振り切って、這うように少女の傍へと近づくと、そっと手を伸ばした。

当麻「気を失っているだけです。心配ありません」

当麻が言う。
大島はいやいやと首を振ると、少女へ覆いかぶさり、泣き声を上げた。

大島「何でこうなるんですか?どうして?どうして手錠なんかされてるの…」

当麻は大島に睨まれ、渋々説明した。

当麻「おそらく彼女は物を凍らせるスペックの持ち主。その能力を使い、前田さんを襲ったんです」

大島「そんな…本気でいっているんですか?現実にそんな力が存在するわけないじゃないですか。早く手錠外してあげてください。後で話せば、誤解だってわかりますよ」

瀬文「彼女は危険人物だ。それはできない」

大島「違います。危険人物なわけありません。そうだよね?何かの間違いだよね?ねぇ…梅ちゃんがあっちゃんのこと襲うわけないもんね?」

大島は気を失った梅田を揺り動かしながら問いかける。
梅田はおだやかな顔のまま、目を閉じて何も言わない。



378 :名無し 2011/12/19(月) 15:13:27.77 ID:q2sV+ZRh0
当麻「連れて行きます」

当麻は苦しげにそう言うと、瀬文に合図した。
瀬文が梅田を抱きかかえる。
大島は瀬文の腕にしがみついた。

大島「やめてください!梅ちゃんを連れて行かないで!」

小さな子供ように泣きじゃくり、しかし大島は決して瀬文の腕を放そうとはしない。

当麻「大丈夫ですよ。お話を聞いたらすぐに帰します。その後のケアが必要となりますが…」

大島が驚いた顔で当麻を見上げた。

大島「本当に…?」

当麻「はい。私達も梅田さんが犯人だとは思っていませんから」

大島は当麻の言葉に、ようやく力を抜いた。
瀬文が梅田を連れ、部屋を出て行く。
当麻もまた、高橋を救出するため、その場を後にした。

救護室には、大島だけが残された。
ガラスの飛び散った室内で、大島は1人しゃがみこみ、嗚咽を洩らしている。



379 :名無し 2011/12/19(月) 15:14:52.67 ID:q2sV+ZRh0
その後、無事救出された高橋も交えて、当麻達は話し合った。
真犯人は高橋の崇拝者である可能性が高い。
しかし高橋本人まで襲われた今、その可能性は否定せざるをえなくなっていた。

高橋「掃除用具入れの外からあたしに話しかけたのは、たぶん麻里子だと思います。いえ、絶対にあの声はそうです…」

高橋ははじめ、閉じ込めた犯人を庇って何も言わなかったが、当麻に諭され、ついに白状した。

前田「あたしも麻里子が気分が悪いって言って、だから救護室に行ったんです。そうしたら梅ちゃんがいて…」

高橋「でも何か理由があるんですよね。麻里子がそんなことするわけないし」

高橋が言った通り、その後の当麻達の調べで、篠田は事件前後の記憶がないことが判明した。
山内、小森、平嶋と、能力者が操られ、犯行を起こすケースが続いていたが、篠田は何も特殊能力を発揮していない。
ここからわかることは、真犯人は高橋の特殊能力を無効化するという特異体質に気がついているということだ。
だからこれまでとは違い、何の能力も持たない篠田に、高橋を襲わせたのである。



380 :名無し 2011/12/19(月) 15:17:28.84 ID:ddNoFZGK0
上からマリコーーーー!!!


381 :名無し 2011/12/19(月) 15:19:05.83 ID:q2sV+ZRh0
未詳にて野々村を交えながら、当麻は今後の動きを提案した。

当麻「このタイミングで高橋さんと前田さんが襲われたのが、ただの偶然とは思えませんなぁ。たぶん犯人はこちらの動きに気がついている」

当麻「高橋さん達が未詳側に付くとこれからの犯行がしずらくなるため、やむなく襲ったんでしょう。犯人の本当の狙いは、チーム4とチームBである可能性が高いですから」

当麻が説明する。

瀬文「どうしておまえに犯人の狙いがわかる?」

当麻「最初に山内さんが起こした事件…あの事件で被害に遭ったのはチーム4の皆さんでした。それから次に小森さんの事件。あの時小森さんはたくさんのメンバーがいるスタジオの中で、最初に河西さんを襲いました」

当麻「河西さんはチームB。そして制止した秋元さん、宮澤さんを突き飛ばすものの、それ以上は襲わず、標的を佐藤亜美菜さんに移しました。それから佐藤すみれさん、石田さんの順で襲った」

当麻「彼女達4人はみんなチームBのメンバーです。小森さんはあのスタジオの中で、チームBのメンバーだけに標的を絞っていました」

瀬文「そういえば次の平嶋さんが起こした事件、あれも現場となったのはチームBのレッスン中…。握手会で襲われた渡辺さんも確かチームBだったのでは…?」

当麻「そうです。犯人の狙いはチーム4とチームBだけに限られているんです。チームKのレッスンでは何も事件が起きませんでした。だとしたら今最も危険なのは復帰したばかりのチーム4の皆さん…」

当麻「もしかしたら犯人はまた彼女達を、スペックを持った人物を操って襲わせるかもしれません」



382 :名無し 2011/12/19(月) 15:19:34.86 ID:q2sV+ZRh0
野々村「あぁ、それじゃあ彼女達を、未詳で保護するというのはどうかな?」

野々村が珍しく厳しい顔で言った。

野々村「もちろん彼女達を動揺させ、また不安にさせてしまうこともわかっている。だけど、人の命を守るのが僕達警察の仕事…」

瀬文「賛成です。明日にでもレッスン中の彼女達を保護しましょう。真犯人を捕まえるまで、外部から接触できない場所に移します」

野々村「うん、頼むよ瀬文くん」



383 :名無し 2011/12/19(月) 15:21:27.84 ID:q2sV+ZRh0
翌朝、瀬文は野々村との約束通りチーム4のメンバー全員を保護した。
午後にはすべてを済ませ、未詳に戻ってきた瀬文を当麻が絶賛する。

当麻「いやー、仕事が速いっすね瀬文さん」

当麻の大げさな態度に、瀬文は訝しげに眉を寄せた。

瀬文「どうした?」

当麻「いえね、実はチーム4メンバーの保護、失敗すると思ってたんですよ」

瀬文「は?」

当麻「だって警察に保護されたら、真犯人はそれ以上チーム4のメンバーに手出しできなくなっちゃうじゃないですか。高橋さん前田さんが襲われた一件からわかる通り、私達の動きは真犯人に読まれているはず」

当麻「だからチーム4メンバー保護の計画のことも知って、真犯人はそれを妨害してくると思ったんですよ。なのにこんなにあっさり保護できちゃうんだもんなー。驚きました」

瀬文「当麻…そう予想していてあえて俺を彼女達の保護に向かわせたのか?」

瀬文が苛立った声を出す。

当麻「ちょっと確かめたいことがあったんで。いやー、おかげでだいぶ真犯人の持つスペックが絞りこめましたよ」

当麻は悪びれもせずに言う。



384 :名無し 2011/12/19(月) 15:23:56.04 ID:q2sV+ZRh0
当麻「犯人には私達の動きがわかっている。高橋さん前田さんが捜査に協力することを知り、直後にお2人を襲ったことからもそれはわかりますよね。だけど犯人はどのようにしてその情報を掴んだのでしょう?」

野々村「犯人は人の心が読めるスペックを持っている…とか?」

当麻「いいえ違います」

当麻はにやけた顔で野々村の回答を否定した。

当麻「係長と私は午前中何をしてましたっけ?」

野々村「僕は彼女達の雑誌の撮影、番組収録…まぁ色々と現場に行って見て来たね」

当麻「私もです」

当麻はそれから試すように、瀬文に視線を向けた。

当麻「私と係長は手分けして、午前中にチーム4以外のメンバー全員と顔を合わせてきたんです。いやー、人数多いですから大変でしたよ。スケジュール調べたりとかね」

野々村「僕なんて米沢さんの通ってる大学まで行ったからね」

瀬文「それになんの意味がある?」



385 :名無し 2011/12/19(月) 15:25:01.19 ID:2/eSIqdUi
米沢w


386 :名無し 2011/12/19(月) 15:25:19.69 ID:q2sV+ZRh0
当麻「やだなー、意味ありありですよー。犯人がもし人の心を読むというスペックを持っていて、こちらの動きを知ったのなら、今回だって私か野々村係長の頭の中からチーム4保護の計画を読み取り、妨害行動に出たはずじゃないですか」

野々村「でも意外とあっさりチーム4全員保護できちゃったね」

当麻「だったら、ここからわかることは、犯人が持っているのは人の心を読むスペックではない」

瀬文「じゃあどうやって犯人は高橋さん前田さんの件でこちらの動きを知ったんだ?」

当麻「たぶんー、私が思うに、その人の体や持ち物に触れて、そこの残る残留思念を読み取る、サイコメトリー能力じゃないでしょうか?犯人はサイコメトリーという特殊能力で私や瀬文さん、もしくは高橋さん前田さんの体か持ち物に触わり、こちらの計画を知ったのです」

瀬文「本当にそうだとして、だったらどうやってその能力を立証するんだ?」

当麻は瀬文の言葉に、頭を掻いて黙り込んだ。
嫌な沈黙が未詳の中に漂う。



387 :名無し 2011/12/19(月) 15:26:28.38 ID:q2sV+ZRh0
瀬文「おまえ、そろそろあれをやったらどうなんだ?」

瀬文は当麻を促した。

当麻「あれ?」

瀬文「例のあれだ。無理やりでもいいからやれ。もう時間がない」

当麻「わかりましたよ。だいたいの要素は揃ってますから」

当麻はそう言うと、億劫そうに立ち上がり、キャリーバッグの中から習字セットを取り出した。

野々村「何するの?」

野々村が瀬文に尋ねる。

瀬文「係長は黙って見ていてください」

瀬文は確信に満ちた顔をしている。



388 :名無し 2011/12/19(月) 15:28:02.12 ID:q2sV+ZRh0
当麻は習字セットを広げると墨を磨り、筆を取った。
半紙に向かう。
当麻の目が見開く。
それから一心不乱に文字を書きはじめた。

『脅迫状』
『握手会』
『病を治すスペック』
『愛犬家』
『平嶋夏海』
『八つ橋』
『バナナ柄のバッグ』
『高橋みなみ』
『フレッシュレモン』

当麻は書いた文字を並べて、一通り見渡すと、それらを集めて床に置いた。
足で押さえつけ、片手で器用に半紙を破いていく。
そして破いたものを1つにまとめると、頭上へ投げた。

紙片が雪のように、当麻の上へ降り注ぐ。
その中で彼女は静かに目を閉じた。
その瞬間、スローモーションのように紙片が舞うのを、瀬文と野々村は目にした。
すべての紙片が床を埋め尽くした時、当麻が目を開く。
勝ち誇った顔で言う。

当麻「いただきました」



389 :名無し 2011/12/19(月) 15:29:06.79 ID:q2sV+ZRh0
待ちかねた瀬文が早速尋ねる。

瀬文「で、どうするんだ?」

野々村「あーあ、こんなに散らかしちゃって」

野々村は床を見下ろして呆れた声を出す。

野々村「誰が片付けるのこれ」

当麻「あ、係長、捜査に自白剤って有効ですか?」

野々村「は?」

瞬間、当麻がにやりと笑った。



390 :名無し 2011/12/19(月) 15:48:16.57 ID:R+l4ln6h0
気になるー
保守



391 :名無し 2011/12/19(月) 16:15:18.38 ID:v4qXkdGP0
続きまだかな                              


392 :名無し 2011/12/19(月) 16:25:52.80 ID:ddNoFZGK0
晩ご飯作ってんじゃね


393 :名無し 2011/12/19(月) 16:35:11.89 ID:91VK5lgf0
気になる


394 :名無し 2011/12/19(月) 17:03:34.00 ID:WPNFYZsYO
ほしゅ


395 :名無し 2011/12/19(月) 17:20:37.94 ID:8ikdbdhd0
待ってるよ


397 :名無し 2011/12/19(月) 17:37:49.26 ID:USLbEFnC0
大詰めだね


399 :名無し 2011/12/19(月) 17:41:54.85 ID:q2sV+ZRh0
翌日、コンサートを目前に控えた彼女達の楽屋に瀬文は来ている。
瀬文の手にはいつもの紙袋が握られていた。

――どうして俺だけ…。

瀬文は心の中で、当麻に対して悪態をついていた。
昨日何かひらめいたようだった当麻だが、突然今日になって、瀬文にだけ仕事を任せて雑用に走ったのだ。
おかげで瀬文は1人、肩身の狭い思いをしながら彼女達の楽屋にお邪魔することになった。

大島「あ、今日当麻さんは一緒じゃないんですねー」

大島が気さくに話しかけてくる。
梅田の事件でショックを受けていた彼女だが、今日はコンサート当日である。
必死の思いで、気持ちを切り替えたのだろう。

瀬文「はい、彼女は別件で…」

大島「あー、そうなんですかぁ」

大島の隣では小嶋がうとうととしながら、携帯を操作していた。
これからコンサートだというのに、メンバーはあまり緊張していないように見える。
壁際で直立不動の体勢を取る瀬文の肩を、誰かがふわりと触わった。
咄嗟に応戦の構えをしてしまった瀬文を、驚いたように珠理奈が見る。



400 :名無し 2011/12/19(月) 17:43:04.59 ID:q2sV+ZRh0
松井珠「すみません、お疲れみたいだったから…」

珠理奈に触れられ、瀬文は何だか肩の辺りが軽くなったように感じる。

瀬文「申し訳ない」

松井珠「いえ、あたしにできるのはこれくらいしかないですから」

それから珠理奈は声を落として訊いた。

松井珠「まだ何か捜査してるんですか?」

瀬文「いえ、詳しくはちょっと…」

松井珠「そうですよね、ごめんなさい」

珠理奈はそう言って口角を上げると、増田のところへ行ってしまった。
気を取り直し、瀬文はまた楽屋内に視線を走らせる。

仲川「ねぇねぇさっき差し入れでクッキーあったよクッキー」

先ほど瀬文にぶつかって来た仲川が、懲りずに楽屋内を走り回っていた。
瀬文は目だけを動かし、カウントをはじめる。

――これで触れていないのは、あと小嶋と石田だけか…。



401 :名無し 2011/12/19(月) 17:44:13.25 ID:q2sV+ZRh0
瀬文の紙袋の中には、当麻が用意した自白剤が入っている。
コンサートが終わった時、メンバー全員に飲ませる予定だ。
瀬文は気が進まなかったが、これ以上事件を長引かせるわけにいかないと当麻に説得された。

犯人がサイコメトリー能力を持っているのなら、瀬文の体や持ち物に触れて、今日の計画を知ることとなるだろう。
だとしたら最後まで薬を飲むのを拒んだメンバーが犯人とわかる。
メンバーには自白剤をラムネと偽って飲ませる予定なのだから。
サイコメトリー能力を持つ犯人以外、この薬がラムネではなく自白剤なのだと知ることはない。

しかしそうやってこの計画を成功させるためには、メンバー全員に瀬文の体か持ち物に触れてもらわなければならない。
瀬文は朝から苦労して、彼女達に接近していた。
自分が痴漢にでもなった気分である。

瀬文「すみません、実は当麻から頼まれていて、この袋にサインしていただけますか?」

瀬文は小嶋へと近づき、そうお願いした。
小嶋は眠そうな目で、とろとろと言われた通りサインを書きはじめる。

――これで残りは石田1人…。



402 :名無し 2011/12/19(月) 17:44:55.11 ID:q2sV+ZRh0
石田は楽屋の隅、仏頂面で腕を組みながら座っている。
どうやらその横で男性スタッフと仲良く話す藤江が気に入らないらしい。
瀬文は小嶋に礼を言うと、おそるおそる石田へ近づいた。
わざとらしいのは承知で、ネクタイピンを彼女の近くへ落としてみる。

藤江「あ、落としましたよー」

しかし藤江に拾われてしまった。
瀬文は今日何度もメンバーの前でネクタイピンを落としている。
彼女達からはよくネクタイピンを落とす変な人と認識されていることだろう。

瀬文「これは申し訳ない」

藤江「いいえー。よく落としますね」

藤江はやはり瀬文のおかしな行動に気がついていた。
結局その後すぐにコンサートが開始され、瀬文は石田への接触を断念する。



403 :名無し 2011/12/19(月) 17:45:28.67 ID:q2sV+ZRh0
コンサート中にやって来た当麻は、しかしあっさりと瀬文の努力を無駄にした。

当麻「まぁいいでしょう。石田さんは平嶋さんの事件で被害に遭っていますから、容疑から除外できます」

瀬文「だったら他にも接触しなくていいメンバーもいたんじゃないか」

当麻「いいじゃないですか。可愛い女の子に触れて瀬文さんも楽しかったでしょ」

瀬文「楽しくない」

瀬文は当麻の頭を思い切り叩いた。

瀬文「だいたい自白剤の使用を認めるなんて係長も…」

当麻「もういいじゃないですか、これで今日こそ真犯人が捕まえられるんですから」

当麻は自信たっぷりに言いきる。

――果たして本当にこんな作戦が成功するのだろうか…。

瀬文はまだ不安だった。



404 :名無し 2011/12/19(月) 17:46:21.40 ID:q2sV+ZRh0
高橋「おつかれさまでしたー」

アンコールも終わり、ステージを降りた彼女達が楽屋へ戻って来る。
みんな汗で髪型は崩れ、化粧も落ちているが、どこか満ち足りた表情をしていた。

当麻「前田さん、ちょっといいですか?」

当麻は楽屋で早くもくつろぎ出した前田に声をかける。

前田「あ、当麻さん来てたんですかー」

当麻は前田に小声で説明した。

当麻「梅田さんに襲われた時、前田さんは軽い凍傷を負いましたよね?」

前田「はい。でもそれはすぐに珠理奈に治してもらって…」

当麻「でも念のために検査を行いましたよね?」

前田「はい」

当麻「検査結果が出たそうなんですが、他に気になる点が見つかったとかで…」

前田「えー?そうなんですか?」

当麻「野々村係長が送りますんで、すぐに病院に向かってください」

前田「え…あ、はいわかりました…」

前田は不安そうな顔で視線を動かした。
高橋を探しているようだ。



405 :名無し 2011/12/19(月) 17:47:12.21 ID:q2sV+ZRh0
前田「高橋さんも聴力の検査結果が詳しく出ているそうなので、一緒に病院に行ってください」

当麻は高橋を呼び寄せると、前田と一緒に2人を野々村が待つ廊下の隅へと連れて行った。

当麻「詳しくは野々村係長のほうから、お願いします」

当麻は一礼すると、楽屋へと戻って行った。
残された高橋と前田を顔を見合わせ、野々村の言葉を待つ。



406 :名無し 2011/12/19(月) 17:48:19.72 ID:q2sV+ZRh0
楽屋に戻った当麻は、キャリーバッグから拡声器を取り出し、スイッチを入れた。

当麻「えー、みなさん聞こえますかー?ちょっと向こうのテーブルに集まってください」

コンサート後の高揚で騒がしかったメンバーが静かになり、一斉に当麻へと視線が向けられた。

当麻「今回捜査に協力していただいたお礼に、警察からささやかなプレゼントがあります」

仲川「えー、何だろ何だろお菓子かな」

仲川が一番に動き、示されたテーブルに駆け寄る。
テーブル近くにはすでに瀬文がスタンバイしていた。
仲川につられ、他のメンバー達もテーブルへ移動する。
あっという間にテーブルの周りは人でごった返した。

当麻「えー、では瀬文さんお願いします」

瀬文が紙袋の中身をテーブルの上に広げる。

大島「これ何ですか?」

早くも大島が手を伸ばした。



407 :名無し 2011/12/19(月) 17:49:13.51 ID:q2sV+ZRh0
当麻「それはまだ日本未発売のフルーツタブレットです。食べた人の体温や体調によって味が変化するようになっているんですよ」

峯岸「へぇ、面白い」

峯岸も興味津々で手を伸ばす。

当麻「でしょー?味は全部で15種類でーす。皆さんどんな味になるか試してみてください」

当麻の言葉に、メンバーはこぞってタブレットを手にした。

小林「才加のはきっとバナナ味だよ」

秋元「えー、バナナはもういいよ」

メンバーはおしゃべりをしながら、タブレットを口にし始める。

当麻「飲みこまないで、ちゃんと噛んでくださいねー」

当麻は再び騒がしくなった彼女達に聞こえるように、またしても拡声器を使用する。
それから瀬文に目で合図した。
瀬文が頷く。
注意深くメンバーの動きを見張った。

――誰も、タブレットを口に含むことに躊躇している者はいない…。

本来であれば犯人はこれがタブレットではなく自白剤だと気付いて、口に含むのを拒むはずである。
しかし彼女達は全員、面白そうにタブレットを口にしてしまった。



408 :名無し 2011/12/19(月) 17:49:51.73 ID:q2sV+ZRh0
――計画は失敗だったのか…。まさか唯一俺に触れていない石田が真犯人で、自白剤だと知らずに食べてしまったか…。

瀬文が混乱していると、当麻がどこからか大皿を抱えて来た。

板野「何ですかそれ…」

板野が気がついて、当麻に尋ねる。

当麻は持ってきた大皿をテーブルの中央に置くと、試すようにメンバーを見回した。

当麻「これも私達からのお礼で、フレッシュなレモンです。ささ、どうぞ召し上がってください」

しかしメンバーは互いの様子を窺いながら、手を出そうとはしない。

当麻「え?どうしたんですか?おいしいですよ、レモン」

当麻はそう言うと、1つを手に取り、噛り付いた。
メンバーがしかめっ面をする。



409 :名無し 2011/12/19(月) 17:50:36.99 ID:q2sV+ZRh0
大島「酸っぱくないんですか?生のレモンなんか齧って…」

大島が眉を下げた。
当麻は平然としている。

当麻「甘ーい、おいしーい、バカうまっ!大島さんもどうぞ、騙されたと思って食べてみてください」

当麻に勧められ、大島がおそるおそるレモンを口へ運ぶ。
半信半疑だった顔が、驚きの表情へと変わった。

大島「ほんとだ甘い…。え、どうしてですか?」

当麻は大島の問いかけににやりと笑った。

当麻「実はさっき皆さんが食べたタブレット、15種類の味がするなんて嘘なんです」

秋元「嘘?え?どういうこと?」



410 :名無し 2011/12/19(月) 17:52:05.09 ID:q2sV+ZRh0
当麻「ミラクルフルーツって知ってます?西アフリカ原産の果物で、ミラクリンという成分を含んでいるんです。ミラクリンは酸味や苦味を甘く感じさせる働きを持つ」

当麻「皆さんにさっき食べてもらったのはそのミラクリンが配合されたタブレットです。だから私や大島さんは酸っぱいはずのレモンを、甘く感じて、こうしておいしくいただくことができているということです」

当麻はレモンを齧りながら説明した。
瀬文は当麻が何をはじめたのかわからず、無言で動向を見守っている。

――こいつ、自白剤を用意したと俺にまで嘘ついて…何を始める気なんだ?



当麻「皆さんの大好きなサプライズというものを私もやってみました。嘘ついてごめんなさい、さ、面白いですから皆さんもレモンを食べてみてください」

当麻が大皿を手で指し示すと、メンバー達は次々にレモンを手に取り、食べ始めた。

宮澤「ほんとだすごーい、甘い!」

河西「おいしいねー」

楽屋内は彼女達の驚きの声で満たされる。
そんな中、当麻は大皿を睨み、それからメンバー達をぐるりと観察した。

大皿には、レモンが2人分残されている。



411 :名無し 2011/12/19(月) 17:52:45.05 ID:q2sV+ZRh0
当麻「まだ食べていない方が2人いらっしゃいますね?どなたですかー?レモンは人数分用意してきたんですけど」

指原「あ、里英ちゃんとゆいはんまだ食べてないの?」

気がついた指原が、2人の肩を叩いた。

指原「ねぇマジですごいよ、さっきのタブレット。レモンうめー」

北原と横山は無言で目を伏せた。

当麻「お2人もどうぞ、召し上がってください」

当麻は意味ありげな笑顔を浮かべた。

当麻「お2人もさっきタブレット、ちゃんと食べましたよね?だったらどうぞ試してみてください」

当麻はそう言いながら飛び跳ねるようにして2人の間に割って入ると、無理やりレモンを握らせた。

当麻「ささ、思い切って一口でどうぞ」



412 :名無し 2011/12/19(月) 17:53:51.26 ID:q2sV+ZRh0
北原はなぜだかくやしそうに目をつぶると、一気にレモンに齧りついた。
その様子を見て、横山もおそるおそるレモンを口へ運ぶ。

横山「ぺっ」

しかしすぐに顔をしかめ、レモンを吐き出した。
近くにいた指原が驚きの表情を浮かべる。

指原「なんで?甘くないの?レモン…」

一方北原はだいぶ耐え抜いたが、やがて我慢しきれなくなり、レモンを吐き出してしまった。
それを見た当麻が、楽しげに2人の背中を擦る。

当麻「だよねー。こんな酸っぱいレモン、食べられたもんじゃないですもんねー。タブレットなしじゃ」

その間におしぼりを持った仁藤が2人に駆け寄り、吐いたものを片付けようとする。

仁藤「もぉ馬鹿だなー。タブレット食べなかったの?」

仁藤は半ば怒りながら、おしぼりでテーブルを拭いた。



413 :名無し 2011/12/19(月) 17:54:30.98 ID:q2sV+ZRh0
当麻「食べたくても食べられなかったんですよ、お2人は」

当麻がもったいぶった調子で説明する。

瀬文「当麻おまえ、何をしたんだ?」

瀬文は自分まで当麻に騙されていたことが気に食わない。
苛立たしげにそう問いかけた。

瀬文「今ので何かわかるのか?」

当麻は瀬文を一度見ると、それからまた北原と横山に視線を戻した。

当麻「あなた方は瀬文さんが紙袋から出したタブレットを、自白剤だと思いこんでいたんですよね?だからメンバーの皆さんがタブレットを口にした時、食べたふりをして実際はポケットかどこかに隠した。ちょっと失礼しますねー」

そう言って当麻は2人のポケットに手を突っ込んだ。

北原「ちょっとやめてください」

抵抗も虚しく、当麻はあっさりとタブレットを2粒見つけ出す。

当麻「ほらあった。やっぱり食べてなかったんですね。レモンが食べられなかったのも当たり前ですね」

瀬文「2人はなぜタブレットを自白剤だと思いこんだんだ?」



414 :名無し 2011/12/19(月) 17:56:27.23 ID:q2sV+ZRh0
当麻「そんなのもうわかるでしょう。お2人のうちどちらかが、サイコメトリー能力を使い、瀬文さんがメンバー全員に自白剤を飲ませようと計画していることを読み取ったからです」

当麻「瀬文さんは私に騙され、紙袋の中身が自白剤だと思い込んでいた。この中で紙袋の中身が危険だと思っていたのは瀬文さんだけです」

当麻「それなのにあなた方2人はタブレットを疑い、口にしなかった。自白剤のことを知るはずもないあなた方が、なぜそんなことしたのでしょう?サイコメトリー能力で瀬文さんの思念を読み取ったからですよね?私の予想だと…北原さん、それはあなた…ですよね?ね?」

当麻がにんまりと笑う。
北原は焦った様子でそれを否定した。

北原「馬鹿なこと言わないでくださいよー。ちょっとおなかいっぱいだったからタブレットは後で食べようと思って仕舞ってただけです。あたしにそんな能力あるわけないじゃないですか」

大島「そうですよ。特殊能力なんてそうは…」

大島はそう言いかけて、しかし先日自分の目で見た梅田の能力を思い出し、言いよどんだ。



415 :名無し 2011/12/19(月) 17:57:09.34 ID:q2sV+ZRh0
当麻「コンサートが終わったばかりの状態で、タブレット1つも食べられないほどおなかがいっぱいなんてありえないっすよ」

当麻は大島を一瞥すると、また北原に向き直った。

当麻「さぁ、どうなんですか北原さん。真実を教えてください」

メンバーの視線が北原に注がれる。北原は唇を噛み、床を見つめていた。
楽屋内が静まり返る。

板野「あ、あっちゃん…」

ふと、気配に気付いた板野が小さく洩らす。
いつの間にか野々村に付き添われ、前田が楽屋の入り口に立っていた。

板野「病院に行ったんじゃなかったの?」

前田「ううん、野々村さんに言われて、向こうの部屋でずっと待ってたの…」

当麻は前田のもとへ駆け寄ると、小声で尋ねた。

当麻「どうですか?」



416 :名無し 2011/12/19(月) 17:57:58.29 ID:q2sV+ZRh0
前田「はい、メンバーはみんな緊張のせいか心拍数が高まっているけど、中でも2人は特別に脈が速いです」

当麻「やはり前田さんあなた、皆さんの心臓の音が聞こえるんですね」

前田「はい…」

当麻「脈が速いということは、嘘をついている…」

前田「そうですね。だいたいそんな場合が多いと思います」

前田は悲しげにそう言った。

当麻「ありがとうございました。もうすぐ終わるんで、向こうの部屋で待っててもらえますか?」

前田「いえ、あたしもここでみんなと一緒に話を聞きます。向こうだとたかみなもいて当麻さん達の話は聞こえてこないし、それにメンバーとしてきちんと真実が知りたいんです。お願いします」

当麻「いいんですか?犯人があなた方の持つスペックについてもバラすかもしれませんよ。混乱を避けるために、今はここから離れていたほうが…」

前田「大丈夫です。あれからたかみなとも話し合ったんです。例え能力について知られても、メンバーはきっと今まで通り接してくれると信じています」

前田はいつになく強い瞳でそう言い切った。



417 :名無し 2011/12/19(月) 17:59:52.20 ID:q2sV+ZRh0
当麻「わかりました。それでしたら高橋さんもここへ呼んで来てください」

前田「ありがとうございます」

それから当麻は北原と横山のもとへ戻り、話を再開した。

当麻「一連の事件はすべて北原さんと横山さんによる犯行です」

渡辺「でも、犯人はなっちゃんで…。自白もしたんじゃないですか?」

当麻「いいえ、あの自白は平嶋さんの意思ではありません。握手会がメンバーの負担になるから中止にさせたかったなんて、どう考えても1期生である平嶋さんが思うわけないんですよ」

当麻「AKB発足当初からのメンバーである彼女が、どんなに辛いからといって握手会を蔑ろにするわけないんです。ずっとメンバーとしてここまで頑張ってきたんですからね。握手会の大切さは身にしみてわかっているはずです」

当麻「平嶋さんは、こちらの2人によって操られていたのでしょう」

柏木「操られていた…?どういうことですか?」



418 :名無し 2011/12/19(月) 18:00:40.48 ID:q2sV+ZRh0
当麻「まず順を追って説明します。サイコメトリー能力を持つ北原さんは、ある時、脅迫状を書いたのが誰なのか知ってしまった。そしてその人物を尊敬するあまり、脅迫状の内容を自分が実現させてあげようと考えた」

倉持「え?てことは脅迫状を書いたのはきたりえとゆいはんじゃないってことですか?」

倉持は混乱する頭を整理するかのように、ゆっくりと区切りながら尋ねた。
当麻が即座に顎を引く。

当麻「そうです。混乱を避けるため今まで黙っていましたが、最初に届いた3通の脅迫状は高橋さんが書いたものです」

小嶋「えー?なんでたかみななのー?」

当麻「今ここで詳しくは説明できませんが、やむにやまれぬ事情があったんです…」

当麻はそう言って板野を一瞥した。
板野は下を向き、黙って床を見つめている。



419 :名無し 2011/12/19(月) 18:01:50.85 ID:q2sV+ZRh0
当麻「しかしはっきりさせておきたいのは、高橋さんはある目的のため脅迫状を書きましたが、それはメンバーの皆さんに危害を加えるためでも、本当に握手会を中止にさせるためでもありませんでした」

当麻「しかし北原さんは脅迫状の内容通り、事件を起こそうと考え、今度は自身が脅迫状を書き、渡辺さんを狙ったのです。4通目からの脅迫状は高橋さんではなく、北原さんが書いたものでしょう。ですよね?」

当麻の問いかけに、北原は無言を貫いている。
横山は熱心に当麻の視線を追い続けいた。
当麻と目を合わせようとしているのである。
しかし楽屋に高橋と前田が姿を現すと、諦めて下を向いた。

高橋「みんなごめんね、脅迫状のこと…騙してて…。時期がきたら必ず説明するから」

高橋はそう言って、涙を流した。
前田はそんな高橋を支えるかのように、ぎゅっと手を握っている。



420 :名無し 2011/12/19(月) 18:03:48.96 ID:q2sV+ZRh0
当麻「北原さんにはサイコメトリー能力がありますから、以前からメンバーの中に特殊なスペックを持った人物がいることに気付いていました。そこでそれを利用するため、横山さんに計画を持ちかけた」

当麻「横山さんにはおそらく、相手を意のままに操れる…相手の脳に直接語りかけるスペックがあるのでしょう。計画に乗った横山さんは、北原さんが見つけ出した第一の能力者、山内鈴蘭さんに接触し、渡辺さんを狙うよう命令した」

当麻「しかしこれは前田さんの機転により失敗に終わりました。すると今度は、チーム4メンバーに狙いを定め、再び山内さんに襲わせたのです」

峯岸「もしかしてあの事故のことですか?あれは建物の設計ミスで急な突風が起きたんじゃ…」

当麻「いいえ、皆さんに余計な心配をさせないためそう説明していましたが、実際は並外れた運動神経というスペックを持った山内さんの凶行により起こったことでした」

峯岸「そうだったんですか…」

峯岸は大きく息を吐いた。
驚きが隠せないのか、大きな目をいつも以上に丸くしている。



421 :名無し 2011/12/19(月) 18:05:53.46 ID:q2sV+ZRh0
当麻「それから北原さんは第二の能力者、小森美果さんにメンバーを襲わせます。横山さんの命令により、小森さんは収録中大立ち回りを演じ、メンバーに怪我を負わせました」

当麻「彼女には見たままに筋肉を動かせるというスペックがあります。目にした動きを、筋肉が記憶してしまうのです」

当麻「ドラマの現場で松井玲奈さん演じるゲキカラの動きを目にしていた彼女は、その動きをコピーしてメンバーを襲いました」

宮澤「そうか…あの動き、どこかで見たことあると思ったら…」

小森が事件を起こした現場に居合わせていた宮澤が、思い出したように言った。

宮澤「ゲキカラだったんだね…」

当麻「そうです。そして北原さんは第三の能力者、平嶋さんにレッスン中のチームBを襲わせました。横山さんの命令により洗脳された平嶋さんは、レッスン中に自らその能力を発揮し、メンバーを恐怖の渦へと陥れました」

当麻「被害に遭った皆さんはもうお察しでしょうが、平嶋さんのスペックは念動力です。こうして平嶋さんにメンバーを襲わせ、また偽の自白をさせ、ここで北原さんと横山さんの計画は終わるはずだった」

当麻「しかしここで、お2人にとって予想外の出来事が起こったのです」

当麻が言葉を区切ると、高橋と前田は息を飲み込んだ。
大島が不思議そうに首を傾げる。

大島「予想外?何ですか?」



422 :名無し 2011/12/19(月) 18:07:29.15 ID:q2sV+ZRh0
当麻「高橋さんと前田さんの、捜査への協力です。詳しい説明ははぶきますが、北原さんと横山さんにとって、2人が捜査に協力するととてつもなーく不都合が生じる」

当麻「そこで北原さん横山さんは急遽、2人を襲うことを決めた。登場したのは第四の能力者、梅田さんです」

当麻「実際に目撃した方もいらっしゃいますが、梅田さんのスペックは念じるだけで物を凍らせることのできる能力」

当麻「梅田さんを操り、隙を見て前田さんを襲わせ、同時に篠田さんを操って高橋さんを掃除用具入れの中へ閉じ込めたのです」

当麻「篠田さんは能力者ではありませんでしたが、小柄な高橋さんを閉じ込めるだけなら何も能力者に限定しなくても出来ますもんね」

当麻が言い終えると、すでに号泣していた指原が、北原の腕を取った。

指原「そんな…刑事さんの話、間違ってるよね?里英ちゃんがメンバーを襲わせたりするわけないもんね?ね?違うよね?里英ちゃん!」

指原のそれは、問いかけというより懇願に近かった。
意地でも北原の無実を信じているようである。

指原「ゆいはんだってほら…人に命令したりするような子じゃないし…」

そこでようやく、北原が口を開いた。



423 :名無し 2011/12/19(月) 18:08:05.69 ID:q2sV+ZRh0
北原「そうです。どうしてたまたまタブレットを口にしなかっただけで犯人にされちゃうんですか。証拠だってないのに」

当麻はその言葉を待っていたかのように、にやりと笑った。

当麻「証拠ならありますよ。あなたは実際に私達の目の前で、自分が能力者だと証明してみせたんです」

北原「え?」



424 :名無し 2011/12/19(月) 18:08:57.85 ID:q2sV+ZRh0
当麻「私達が楽屋に忘れ物をした時、あなたが追いかけてそれを届けてくれたことがありましたよね。私の箸とエコバッグ…覚えてますか?」

北原「あぁ…そういえばそんなことありましたね。それがどうかしたんですか?」

当麻「私は楽屋で皆さんのお弁当をご馳走になりましたから箸はわかるとして、なぜエコバッグが瀬文さんのだとわかったんですか?」

北原「だからそれは…えーっと、なんとなく瀬文さんの物かなって思って渡しただけです」

当麻「ピンクのエコバッグをですか?」

北原「はい…」



425 :名無し 2011/12/19(月) 18:10:12.81 ID:q2sV+ZRh0
当麻「普通の感覚なら、ピンク色のバッグを見て女性の持ち物だと思うはずです。仮に楽屋で瀬文さんがエコバッグを持つ姿を目にしたのだとしても、この通り私はこんな体ですからね、瀬文さんが私のバッグを持ってあげているのだろうと考えるのが一般的ではないでしょうか」

当麻はそう言って、包帯で吊られた自分の左腕を指差してみせた。

当麻「それなのにあなたは、ピンクのエコバッグを見て瀬文さんをからかう仕草をした。強面の瀬文さんにピンクのバッグという取り合わせがよほどおかしかったのでしょう」

当麻「あれは完全に、バッグが瀬文さんの物だと思い込んでいたからこそ見せた行動です。あなたはバッグに触れ、そこに瀬文さんの思念が残っていたから、それをそのまま瀬文さんの持ち物だと思ったんです」

北原は当麻の言葉を聞き、再び黙りこんだ。
横山が不安げにそんな北原を見つめる。
泣きすぎた指原が呼吸困難のような症状を引き起こし、大家に支えられていた。



426 :名無し 2011/12/19(月) 18:11:48.12 ID:q2sV+ZRh0
当麻「それにチームBがレッスン中に襲われた時、あなたと柏木さんはスタジオの外にいて無事だった。直前に機材トラブルがあり、音響室を覗きに行っていたからです」

当麻「キャプテンである柏木さんがダンス講師に付き合って機材トラブルを直しに行ったのはわかるとして、なぜあなたまで一緒に行ったのでしょう。そこに私は不審を抱きました」

当麻「そうです。あなたはこれからスタジオで起こることを知っていたからです。だから避難するため、柏木さんにくっついてスタジオの外へ出たのです」

当麻がそこまで言うと、北原は膝から崩れ落ちた。

北原「そうです…。すべてあたしがやりました。でも横山は違います。横山は何も知らないんです。犯人じゃありません」

横山「北原さん…」

当麻「いいえ、横山さんは間違いなくあなたの共犯ですね。横山さんにも事件についての証拠があります」

北原「え…」



427 :名無し 2011/12/19(月) 18:13:09.66 ID:q2sV+ZRh0
当麻「八つ橋ですよ」

当麻はそこで黒豆八つ橋の味を思い出したのか、しばしうっとりとした表情を見せた。

瀬文「当麻!」

瀬文に呼びれ、当麻は我に返る。
それから意気揚々と説明を再開した。

当麻「高橋さんと前田さんが襲われた時、あなたは八つ橋を持って来ていましたね?私が欲しがると、メンバー分しかないから駄目だと断った。ま、結局あたしは柏木さんの分を譲ってもらいましたが」

当麻「確かあの時、八つ橋は1ダース…つまり12個あった。だけどそれだとちょーっと計算が合わないんですよねー」

瀬文「どういうことだ?」

当麻「だってー、あの時メンバーの皆さんは横山さんも含めて14人いましたよね?12個だと2人分足りないんですよ」

北原「横山は数え間違えただけじゃないですか?」



428 :名無し 2011/12/19(月) 18:14:26.25 ID:q2sV+ZRh0
当麻「いいえ、あの時いたメンバーの中で1番後輩であるあなたが、先輩2人に八つ橋を渡せなくなってしまうというミス犯すはずがありません」

当麻「横山さん、あなたはあの時点で、2人のメンバーが八つ橋を食べるどころじゃなくなることを知っていたんじゃないですか?」

当麻「2人のメンバー…つまり高橋さんと前田さんが襲われることを知っていたから、12人分しか八つ橋を用意しなかったんです」

当麻の説明に、大島が驚愕の声を洩らした。

大島「本当なの…ゆいはん…」

大島に見つめられた横山が、やがてしゃくり声を上げる。

横山「ごめんなさい…うち…うち…」

驚きと落胆で静まり返った楽屋の中で、横山の泣き声だけが響く。
最初に沈黙を破ったのは、小嶋だった。



429 :名無し 2011/12/19(月) 18:15:52.20 ID:q2sV+ZRh0
小嶋「でもー、握手会を中止にさせたかったのなら、ゆいはんが直接運営側に中止させるよう命令すれば良かったんじゃないのー?」

レモンの件からずっとうわの空といった様子だった小嶋だが、どうやら話は聞こえていたらしい。

宮澤「そうだよ。別に脅迫状通り本当にメンバーを襲わなくたって…」

河西「握手会が辛いのはわかるけどね」

小嶋の声をきっかけに、メンバーは各々自分の考えを述べはじめた。

小嶋「ねぇなんでー?なんで運営の人に直接命令しなかったのー?」

小嶋はなぜか妙なところにこだわりを見せ、珍しく自分から当麻に話しかけてきた。

当麻「北原さんと横山さんの目的が、脅迫状を書いた人物の希望を叶えるためだけでなく、チーム4チームBの全滅にあったからではないでしょうか?」

小嶋に話しかけられて、当麻ははしゃいだ声で説明した。

当麻「どうですか?納得できましたか?」

小嶋「えー、わかんない」



430 :名無し 2011/12/19(月) 18:16:55.92 ID:q2sV+ZRh0
当麻「でしたら詳しく説明しましょう。北原さんは脅迫状を書いた人物を尊敬している。そしてその人物の希望を叶えるため、犯行を計画した。それと同時に、かつてからの自分希望も実現させようと考えたのです。北原さんの希望…それはチーム4とチームBの全滅…」

柏木「そんな、チームBを全滅させるなんて…。きたりえだってチームのメンバーなんですよ」

柏木の目つきが鋭くなる。

柏木「チームBの何がいけないんですか?」

佐藤亜「そうだよー。亜美菜チームB大好きだよー」

柏木の隣にいた佐藤亜美菜も、口を尖らせる。

当麻「そもそも脅迫状の件について、北原さんは読み間違いをしているんです。北原さんは今日まで、最初に脅迫状を書いたのが高橋さんだとは思っていませんでした。そうじゃないですか、北原さん」

当麻が再び問いかけると、北原は小さく頷いた。



431 :名無し 2011/12/19(月) 18:18:28.09 ID:q2sV+ZRh0
当麻「北原さんはあるメンバーの持ち物から、脅迫状についての思念を読み取り、その物の持ち主こそが、脅迫状を書いた人物本人なのだと勘違いしてしまった。ここで問題になるのは、果たしてそのメンバーとは誰なのか、ということですね」

当麻はそう言って、メンバーを顔を順番に見つめる。
メンバーは何が始まるのかと期待と不安の入り混じった表情を浮かべていた。
当麻の視線が、あるメンバーに固定される。

大島「え?あたし?」

大島はそう尋ねながらも、すべてを悟った表情をしていた。



432 :名無し 2011/12/19(月) 18:19:09.45 ID:q2sV+ZRh0
当麻「大島さん、あなたは何かの拍子に、高橋さんが書いた脅迫状を目にしてしまったのですね。たぶん、高橋さんのバッグの中から、脅迫状の下書きのような物を見つけてしまったのでしょう」

高橋「優子…じゃあはじめから知ってたの?」

高橋は驚きの表情で大島を見た。

大島「ごめん…。脅迫状についてはたかみなが書いたって知ってた。だけどきっと何か事情があるんだろうってみんなには黙ってたんだ。自分の心の中だけに留めておこうって」

高橋「そうだったんだ…」

大島「でも、何で当麻さんわかったんですか?あたしが脅迫状について知ってるって…」

大島は眉を上げ、当麻に視線を返した。



433 :名無し 2011/12/19(月) 18:20:54.59 ID:q2sV+ZRh0
当麻「風船ですよ」

大島「風船?」

大島はその言葉だけでも鳥肌が立つのか、身を縮め、ぶるっと震えてみせた。

当麻「そのリアクションからもわかるとおり、あなたは風船が大の苦手なんですよね?しかしあなたは風船がセットされているスタジオの中に、自ら入って来たことがあった。覚えてますか?」

当麻「あの時私は、高橋さんの忘れ物であるバナナ柄のバッグを手にしていました。脅迫状について知っていたあなたは、私達に高橋さんのバッグを探ってほしくなかった」

当麻「中から脅迫状の下書きでも発見された日には、高橋さんが犯人として捕まってしまうかもしれない。あなたとしてはどうしてもそれは避けたかった」

当麻「だから私からバッグを取り上げるため、苦手な風船があるにも関わらず、スタジオの中へ入って来たんです。普段の風船嫌いなあなたでしたら、絶対にそんな行動起こしません」

大島「そうです。当麻さん達がもしたかみなのバッグの中を見たら、たかみなを犯人として考えるかもしれない…。そう思ったら風船の恐怖なんて忘れていました」



434 :名無し 2011/12/19(月) 18:21:47.84 ID:8ikdbdhd0
>河西「握手会が辛いのはわかるけどね」

リアルwwwwwwwwww



435 :名無し 2011/12/19(月) 18:22:26.16 ID:q2sV+ZRh0
当麻「そう。そして北原さんは大島さんの持ち物から脅迫状についての思念を読み取り、脅迫状の内容をそのまま大島さんの意思だと思いこんだのでした」

当麻「北原さんは以前から大島さんのことを尊敬している。彼女に一生ついていくとまで宣言している。これはもう、心酔といってもいい」

当麻「そうして大島さんをリスペクトするあまり、北原さんはいつしか、AKB全体のイメージを大島さんに近づけさせたいと考えるようになった」

当麻「大島さんはチームKです。チームKは4チームの中でもかっこいい、元気、体育会系などという言葉をイメージさせるグループ。そしてその間逆となるのが、チーム4、チームBという、可愛らしさをイメージさせるグループです」

高橋「まさか…北原はAKBをチームK化するために今回の犯行を…?」

当麻の言おうとしていることに気がついた高橋が、震える声で言った。

高城「だからチーム4とチームBだけ被害に遭ってたんだね」

仁藤「チームKのレッスン中は、能力者である梅ちゃんがいたのに何も事件が起こらなかった…」



436 :名無し 2011/12/19(月) 18:24:06.99 ID:q2sV+ZRh0
当麻「その通りです。チームAは柱ですから消滅させるわけにはいきません。しかしチーム4、チームBが消滅すれば、チームKの持つイメージが大きくAKBに反映されることとなる」

当麻「不幸にも北原さんはチームBの所属。ですがチーム4、チームBの面々が今回の事件で恐怖心を抱き、脱退を希望したら、チームは消滅します」

当麻「おそらく横山さんはチームBがなくなれば残った北原さんがチームKに所属になるのではと考え、協力したのでしょう。横山さんは北原さんのことをいたく気に入っていらっしゃるようですから」

当麻「そして北原さんは、AKBを大島さんの色に塗り替えるために犯行を起こしたのです」

北原「ごめんなさい…」

当麻の話に耳を傾けていた大島が、静かに北原のもとへ歩みよった。



437 :名無し 2011/12/19(月) 18:25:34.60 ID:q2sV+ZRh0
大島「ありがとう。きたりえがそこまであたしのこと尊敬してくれてたなんて知らなかったよ。でもね、AKBはメンバーそれぞれの色が交じり合ってAKBなんだ」

大島「あたし1人の色になったら、それはもうAKBじゃない。誰か1人の色に限定していたら、つまらないグループになっちゃうんだよ」

大島「尊敬してくれるのはうれしいけど、きたりえにはきたりえの色がある。あたしはいつも隣で、きたりえの色と合わさって、きたりえと…みんなと…たくさんの色を作っていきたい。これらもずっと…ね?」

大島は北原の手を握り、優しく語りかけた。

北原「でも…あたし…みんなに取り返しのつかないことしちゃった…」

北原はいやいやと首を激しく振る。

高橋「でもみんな…生きてる…。生きてる相手になら、これからいくらでも謝罪ができるんだよ。どんなに時間がかかっても1人1人とまた心を通わせられる日がきっと来る」

高橋は横山の背中を撫でながら言った。

大島「待ってるから…ずっと待っててあげるから、北原の帰りをメンバー全員待っててあげる…」

北原はそこで悲壮な声を上げ、号泣した。



438 :名無し 2011/12/19(月) 18:27:06.62 ID:q2sV+ZRh0
瀬文「連れて行く」

瀬文と野々村が北原達を抱え、歩き出した。
メンバーの前で手錠をかけなかったのは、瀬文の優しさだろう。

高橋「あたしも行きます」

高橋がそれを追いかけた。

高橋「いいですよね?当麻さん」

当麻「お願いします」

当麻は高橋に向けて敬礼する。
高橋はそれに力強く頷くと、瀬文達を追いかけ楽屋から出て行った。



439 :名無し 2011/12/19(月) 18:29:34.31 ID:bazZcisR0
終わりかな?
無茶苦茶いい話でした



440 :名無し 2011/12/19(月) 18:32:37.32 ID:bazZcisR0
>大島「待ってるから…ずっと待っててあげるから、北原の帰りをメンバー全員待っててあげる…」

特に良かった一節です



441 :名無し 2011/12/19(月) 18:34:26.41 ID:q2sV+ZRh0
北原達が出て行った楽屋内には、まだ混乱が残っている。

倉持「どうしてこんなことになっちゃったんだろう…」

倉持は心を落ち着かせるためか、無意識に高城の耳を触りながら言った。

小嶋「えーん、きたりえとゆいはんどこ連れて行かれちゃうのー?」

大島「……」

峯岸「すぐに戻って来るよね、大丈夫だよね」

前田「だといいけど…」

当麻は残った2つのレモンを食べながら、彼女達の様子を見ていた。

――これで事件解決…。うーん、でもまだ何か忘れているような…。

当麻にはまだもやもやとした違和感が残っていた。
そんな中、泣き止まない指原は鼻水まで流している。



442 :名無し 2011/12/19(月) 18:35:37.26 ID:q2sV+ZRh0
大家「しいちゃんが鼻水拭いたるけん、泣くな!」

大家がティッシュを差し出し瞬間、指原の鼻水がぽたりと落ちる。
しかしそれは床に着地する前で、落下を止めた。
メンバー全員の動きが停止する。
廊下を歩くスタッフの足音さえ聞こえてこない。
水を打ったように静まり返った楽屋内。
ある者は涙を拭こうとして、ある者はメンバーに抱きつこうとして、それぞれ動きを止めている。
そんな中、1人少女がゆっくりと立ち上がり、歩きはじめた。
すべてが静止した世界の中で、少女だけが動くことを許されている。
少女の口元が、愉快そうに歪む。

――高橋まで行かせたことは、間違いだったようね…。

少女は当麻の目の前まで来ると、そっと彼女の髪に触れた。



444 :名無し 2011/12/19(月) 18:38:34.72 ID:q2sV+ZRh0
当麻「うわっ、え?何これ?」

少女に触れられた瞬間、静止していた当麻が動き出した。
メンバーの姿を見て、驚きの表情を浮かべる。

当麻「みんな…止まってる?」

それから目の前の少女の存在に気付いた。

当麻「まさかあなたが…?時間を止めるスペック…」

少女が視線を落とし、くすりとほくそ笑む。

それから当麻を見据え、口を開いた。

藤江「あたしが第五の能力者。さあ当麻…どうする?」

静止した世界の中で、藤江と当麻は無言で対峙している…。



―END―



446 :名無し 2011/12/19(月) 18:41:02.70 ID:6cBwXYL7O
うまい!
この終わり方はいいと思う



448 :名無し 2011/12/19(月) 18:42:32.02 ID:dj4f7ape0
時を止めるはあまりにバランスクラッシュだからもう出ないのかと思ったらwww


450 :名無し 2011/12/19(月) 18:50:33.20 ID:jfV2r3rOi
藤江wwwww


451 :名無し 2011/12/19(月) 18:54:05.04 ID:yzMu1ERx0
次回作を熱望


453 :名無し 2011/12/19(月) 19:21:02.88 ID:UDXuUKkv0
まさかのれいにゃんかよ!


455 :名無し 2011/12/19(月) 20:28:17.98 ID:OJzmgq170
おもしろかったー!でもゆいはんの京都弁の下手さには笑ったw


456 :名無し 2011/12/19(月) 20:46:50.32 ID:1iWdeUAi0
アンケートはそういうことね


458 :名無し 2011/12/19(月) 21:04:19.36 ID:otaIb3V20
すげー楽しかった。ありがとう


460 :名無し 2011/12/19(月) 21:24:59.33 ID:NL6OyNvI0
うん傑作だった
こういう無駄のない伏線からゾクゾクする作品を地下板で見れるとは感激です
次回作待ってます!



461 :名無し 2011/12/19(月) 21:29:01.43 ID:UDXuUKkv0
そうなると藤江が黒幕的存在なのか、はたまた藤江を操るより高スペックの持ち主がいるのかなどまだまだストーリーが尽きないでしょうし
飽きが来なさそうですね



462 :名無し 2011/12/19(月) 21:32:58.17 ID:jaEWC0o10
というかなんで藤江が第五の能力者なんだ?
山内、小森、平嶋、梅田、前田、高橋、北原、横山が能力者なんだよね



464 :名無し 2011/12/19(月) 21:36:18.14 ID:NL6OyNvI0
>>462
前四人は操作されて能力を発動したからじゃないかな?



465 :名無し 2011/12/19(月) 21:58:51.45 ID:wJFAYnb70
藤江が2位になったカラクリが分かったな…


467 :名無し 2011/12/19(月) 23:02:38.65 ID:f12MWiqB0
>>465
てことは麻里子も…



468 :名無し 2011/12/19(月) 23:34:33.38 ID:RrZykur70
ようやく読み終わった
オモロカッたよん

作者 乙



469 :名無し 2011/12/19(月) 23:59:17.33 ID:2/eSIqdUi
米沢の使い方が神


470 :名無し 2011/12/20(火) 01:54:12.21 ID:cQj75cNf0
いくらパロディーでも、ここまでの構成力は圧巻。SPEC大好きだし面白かった
推しじゃないのに珠理奈のヒーラーSPECが妙にピッタリだった
一っぽいからかな 神木くんの



472 :名無し 2011/12/20(火) 10:17:18.95 ID:DFFYC2aP0
1です。まだ残ってたのでひっそりとお礼。。

読んでくださった方、コメくださった方ありがとうございました
やっと念願のたかみなメインでSS書けた!

優子ゆきりんあっちゃんたかみなと来て、次は誰をメインに書こうか考え中。。
次も書けたら、その時はよろしくお願いします
ありがとうございました!



474 :名無し 2011/12/20(火) 10:30:41.23 ID:rfPDnXeX0
>>472
毎度楽しませてもらっています
これからも無理しないよう願いつつ期待してます



473 :名無し 2011/12/20(火) 10:21:39.05 ID:4tnGhHV30
過去作はどこかで読めますか?


475 :名無し 2011/12/20(火) 10:51:44.58 ID:/3SXYECH0
>>473
これ?分かんないけど

AKB前田「あたしが…犯人…?」
http://matomeron.ldblog.jp/archives/1083497.html



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