http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/akb/1340026804
1 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:40:04.35 ID:b9Tnxr2J0
前田「はい?」

仲川「あっちゃん、はるごん、結婚するから!」

前田「それは・・・頑張って・・・というか、一人称「はるごん」って止めたんじゃないの?」

仲川「あっ、いけない! はるか、結婚する!」

前田(いや、そういうことじゃないんだけど・・・)


※メンバーのイメージを著しく壊す可能性があります。恐ろしくキャラ崩壊が激しいと思いますのでご了承ください。
なお、この物語はフィクションです。


2 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:40:47.79 ID:b9Tnxr2J0
 仲川遥香――はるごん改めはるさん改めはるか、とまるで富士山の樹海に迷い込んだかのような、迷走を繰り返した少女。

前田(また、はるごんが何か言い出した・・・)

 そんな、はるごん改めはるさん改めはるか――仲川の家に前田は遊びに来ていた。
 季節は6月。そろそろ蒸し暑くなってきて、湿度も高くじめじめした嫌な天気になってきたが――仲川はクーラーはおろか、扇風機も点けようとしない。

仲川「節電!」

 と言い出した時は偉い、と前田も思ったが、電動歯ブラシさえも使用しない、という徹底ぶりを聞いて、やっぱりはるごんだ、と思い直した。

前田「・・・敢えて、色々突っ込まずに聞くけど、相手は誰? どんな人?」



3 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:41:00.84 ID:oJSfpSWNO
な~る


4 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:41:03.18 ID:TCwTwgTs0
>>1乙!おもしろかった!


5 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:41:48.16 ID:b9Tnxr2J0
仲川「学生時代は野球をやっていて、よく休日になると近くの公園ではるかと遊んでくれる人!」

前田(お前は一体、何歳児だ)「ふーん、凄い良い人じゃん! いつ出逢ったの? 何で言ってくれなかったのー」

仲川「うんうん! 今から出逢う予定!」

前田「はい?」

仲川「? どうしたの、あっちゃん?」

前田「ということは、今から結婚相手を探す・・・つまり」

仲川「うん! はるか、婚活します!」



6 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:45:05.45 ID:b9Tnxr2J0
 ずっこけそうになったが――留まる前田。
 仲川遥香――見た目は幼く見えるが、今年成人を迎えた社会的な立派な「大人」である。
 もう免許も取れるし、親の承諾なしに結婚も出来ちゃう。
 そう、社会的には全く問題はないのだが。

前田(はるごんが婚活って、何か可笑しい・・・)

仲川「というわけで、あっちゃん! 明日、はるか結婚相談所に行こうと思うから一緒に着いてきて」

前田「えー、嫌だよー。折角、午後から休みもらったんだから寝ときたいよ・・・」

仲川「そっかー・・・そうだよね、あっちゃん忙しいもんね。ごめん、はるか一人で結婚相手探す!」

前田「うん、がんば・・・」

 ここで前田はある光景が思い浮かんだ。未来の光景である。
 年収は高いものの、休日は殆ど帰ってこない夫。そんな夫を影ながら支える仲川。
 しかし出張先で夫の浮気が発覚。激怒した仲川は離婚するが、学歴も能力もない、職歴なら少しあるが・・・という感じの少女に社会は冷たかった。
 仕方がないので、高時給のアルバイトの面接に行くが、何とそこはAV撮影の仕事であった。
 嫌がる仲川であったが、お金がなくては生きていけず、第二の――。



7 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:45:13.54 ID:v2iTzbKj0
いや~いい話だった


8 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:45:42.36 ID:b9Tnxr2J0
前田「いや、はるごん、やっぱり行く。私も付いていく」

仲川「えっ、でも申し訳ないよ・・・」

前田「いーや、付いていく。はるごんを、もう二度とAKBから嫌らしいビデオに出演するような、そんな少女を作らない」

仲川「? まあいいや! あっちゃん、ありがとう!」

 ――こうして、はるごん改めはるさん改めはるかの婚活が始動した。



9 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:47:39.25 ID:b9Tnxr2J0
 ■好きな男性のタイプは、離婚しない人■

相談員「いらっしゃいませー、どうぞこちらにお座り下さい」

仲川「はい、失礼します!」

 ということで、とある都内の結婚相談所。
 前田は午前中にテレビの収録を終わらし、昨日の約束通り仲川に同伴していた。

前田(こういうとこ、初めてだけど・・・はるごん、どういう人探すんだろ・・・)

相談員「じゃあ、まず何で結婚したいのか? ということについて詳しくお聞かせ願えますか? それによって、紹介する相手も変わってくるので」

仲川「はるか・・・いや、私は大人になりたいのです!」

相談員「なん・・・だと・・・!?」



10 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:48:19.52 ID:aZeiSZobO
まさかのはるごん主役とは、面白いから続けてくれ


11 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:50:18.81 ID:b9Tnxr2J0
仲川「実は私、アイドルをしています! 子どもに見えるかもしれませんが、私はもう成年でして、そろそろ大人の階段を昇らなければならないのです」

前田(・・・大丈夫か・・・?)

仲川「というわけで、私は考えました。どうやったら、大人になれるんだろう? って。そこで結婚して家庭を持てば、みんなに「はるかは大人だな」って認めてもらえるんじゃないか、と」

仲川「そこで、私はキャラ変のためにも結婚をするのです!」

相談員「そうですか・・・じゃあ、どういった人をお捜しですか?」

前田(うわぁー、諦めちゃった。適当に受け流して、本題に入っちゃった)

仲川「休日になったら、一緒に外で遊んでくれる人! こんな感じの人が良いです!」

相談員「・・・あのー、もう少し詳しくお聞かせ願えますか。例えば男性の年齢は? 年収は? 家族構成は? 外見重視か、性格重視なのか?」

仲川「うーん、難しいことは分からないので、お任せします! あっ、暴力とか嫌なので優しい人が良いです!」

相談員「そ、そうですか・・・えーっと、休日はアウトドアが趣味、といった方でいいのでしょうか?」

仲川「よく分かんないので、そんな感じで!」



12 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:51:45.46 ID:b9Tnxr2J0
相談員「この休日、というのは土日がいいんでしょうか?」

仲川「いえ、私の職業がアイドル、ということで不定期なのでそこには拘りません!」

前田(不定期だったら、なかなか予定が合わずに一緒に遊べないんじゃ・・・)

相談員「分かりました。難しいですが、少し探してみますので、待ってくださいね」

 そう言って、結婚相談所の相談員は奥の方へと一旦、引っ込んでしまった。

前田「ねえ、はるごん・・・」

仲川「はるか!」

前田「ああ、ごめんごめん(メンドクセー)、はるか。ちょっと、あまりにも漠然とし過ぎてない? やっぱ結婚って遊びじゃないんだから、結婚後の生活が一緒に遊んでくれる人って・・・友達で良いじゃん」



13 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:52:42.91 ID:b9Tnxr2J0
仲川「ダメ! 友達だったら、みんなはるかを大人って、認めてくれないでしょ! あっちゃん、本気で考えてよ」

前田(少し殴りたくなったけど、我慢しよう)

相談員「お待たせしました」

 相談員が、いくらかの資料を抱えて仲川のところへ戻ってきた。

相談員「こちらの人はどうでしょうか? 趣味はアウトドア、釣りとかをしているらしいですよ」



14 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:53:34.94 ID:v2iTzbKj0
はるごんのタイプの男性は細マッチョで長身で離婚しない手ぶらの人だ


15 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:54:08.39 ID:b9Tnxr2J0
仲川「うーん、はるか釣りとかしないから、違う人が良いー」

相談員「分かりました。じゃあこの人は? この人は、学生時代に野球をしていましたし、スポーツは有る程度できるかと」

仲川「この人、何か軽そう! はるか、浮気する人嫌いだから、もっと堅実そうな人が良いー」

 条件は少なかったが、相談員が紹介する度に文句を付けまくる仲川。
 何を紹介しても、眉毛が太いから嫌だ、雰囲気が何か嫌だ、といって駄々をこねていたが、紹介する人数が30人を越えようかという時に。

相談員「はあはあ、じゃあこの人は! 銀行員で趣味はスポーツはキャンプ! 明るい性格のようで、仲川様にとってきっと良い人じゃないかと!」

仲川「うーん、見た目が少し固すぎるような気がするけど、仕方ない! これで我慢する」



17 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:54:58.73 ID:b9Tnxr2J0
 やっと納得のいく、いや妥協できる男性に巡り会えたようで、満面の笑みを作る仲川。
 こいつ、子どもみたいに駄々こねすぎ、と思いながらも安堵の息をつく相談員。

相談員「ありがとうございます。では、こちらから連絡取っておきますね。おそらく男性の方から連絡がいくと思いますので、今日のところは他に質問がなければ終了です」

仲川「分かりました!」

相談員「ありがとうございました」

 こうして何とか婚活の一歩を踏み出した、はるごん改めはるさん改めはるか。
 前田は途中でどうでも良くなってきて、寝ていたが――仲川の満足したような表情を見てホッと息をついた。
 そして、厄介な人の担当になってしまった、と絶望の溜息をつく相談員。
 色々な人の想いが交錯し、物語は続く。



18 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:57:40.45 ID:b9Tnxr2J0
 ■甘い股関節■

相談員「本当に厄介な人の担当になった・・・まあ、何とかなるでしょ。では次の人―」

???「はい」

 30手前、ぐらいの歳の女性が相談員の前に座る。

相談員「では、まずお名前をお聞かせ願えますか?」

大堀「はい。大堀恵です。職業は元アイドルをしていましたが、不景気の波が押し寄せてきて、アイドルグループが解散したので、そろそろ婚活を始めようかと・・・」

相談員(またアイドルか・・・)

 大堀恵の物語、強制終了。



19 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:58:26.93 ID:aG0PePvfO
久々の新作にはるg・・・はるかを起用するとは相変わらず素晴らしいセンス


20 :地下アイドル 2012/06/18(月) 22:59:13.33 ID:b9Tnxr2J0
 ■愛しの彼へ、初恋ダッシュ■

渡辺「うんうん、へえー、はるごんが・・・」

前田「うん、ということで、何かついさっき相手の男性から電話かかってきて・・・次の週末にデートするみたい」

渡辺「ありゃりゃ」

前田「それで・・・まゆゆ、渡り廊下のメンバーだし、もし何かはるごんが変なことになったら助けてあげて欲しいんだ。チーム内ではこっちで何とかするから」

渡辺「分かりました!」

前田「じゃあ、それだけ。じゃあねー」

渡辺「はい、失礼します」

 そう言って、携帯をきる渡辺。



21 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:05:26.25 ID:b9Tnxr2J0
渡辺(はるごんが・・・婚活)

 色々と突っ込みどころ満載で、最早どこから突っ込んでいいのか分からないが――、一言で言うと「心配」。
 成人、とは言うが、見た目も中身も仲川は子どもだ。
 というか、そもそもアイドルにとって重要な呼び名の変更を、ファンからの投票で決めるなんて、あまりにも無謀すぎる(しかも、それが冗談じゃなさそうだから問題だ)
 
渡辺(はるごん、大丈夫かな・・・)

柏木「どうしたの、まゆゆ」

渡辺「あっ、ゆきりん!」

 柏木の姿を見た瞬間、柏木に抱きつく渡辺。
 勿論、挨拶代わりの胸へのタッチも忘れない。



22 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:06:37.10 ID:b9Tnxr2J0
柏木「何か、浮かない顔してるけど、何かあったの?」

渡辺「・・・実はね、はるごんが婚活始めたらしいんだ」

柏木「ふーん、婚活ね。まあはるごんが婚活を始めたね・・・もう20歳だからね、そろそろ結婚を考え始める時期・・・って」

 抱きついている渡辺を両手で引き離し。

柏木「ちょいちょーい、おっかしいでしょ! 何ではるごんが婚活始めちゃってるの? 恋愛禁止どころか、一気に吹っ飛ばして結婚って・・・」

渡辺「まあ、それははるごんだから・・・最近、はるごん「大人になる」という意味を履き違えて、迷走してるし」

柏木「まあ、それは否めないけど・・・ということは、やっぱり結婚相談所とかに通ってるの?」

渡辺「うん。あっちゃんに聞いた話なんだけど、週末に一回目のデートするらしいよ・・・」



23 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:07:45.32 ID:b9Tnxr2J0
柏木「ちょいちょーい! 事態が急変すぎるでしょ! うーん、はるごんか・・・心配」

渡辺「そうだよね・・・」

 柏木由紀――まゆゆきりん、とも呼ばれ渡辺の保護者のような関係になっているが、根っこのところでは心配性なのである。
 あまりリーダーに向いておらず、みんなをまとめるカリスマ性もない柏木がチームBのキャプテンに選ばれたのは、そういうところも関係しているのかもしれない。

柏木「はるごんがね・・・そうだ、そのデートっていうの、私達二人で尾行してみない?」



24 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:09:00.64 ID:b9Tnxr2J0
渡辺「え?」

柏木「ほら、やっぱり心配だしさ。男性の方がもしかしたら、危険きわまりない人物かもしれないし、はるごんが説明不要の爆弾だし」

渡辺「でも、やっぱり悪趣味だよ・・・それにバレたら、はるごん怒るよ」

柏木「大丈夫、だいじょーぶ! バレないって! 変装しとけば、バレないって! まゆゆ、週末何か予定あるの?」

渡辺「ないけど・・・そうだね、尾行しよっか。面白そうだし」

 というわけで――仲川の初デート。に柏木、渡辺が尾行することになった。



25 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:10:49.60 ID:b9Tnxr2J0
 ■元気と言えば?■

柏木「おはよー!」

 時は進んで週末。仲川、初デートの日である。

渡辺「えっ、ゆきりん!? その、3Dメガネ何っ?」

柏木「ちょいちょーい! よく見て! 3Dメガネじゃなくて、サングラス! やっぱ尾行といったら、変装しないとね」

渡辺「はぁ・・・」

柏木「そんなことよりはるごんは何処?」

渡辺「うん、そこ」



26 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:14:21.34 ID:b9Tnxr2J0
 渡辺が指を指した先には、デートの相手を相手を待っている仲川の姿があった。

柏木「相変わらずはるごんだね・・・デートっていうのに、何か女の子っぽくない服装。まるでこれからスポーツしに行きます、って言われても納得するね」

渡辺「・・・うん」

 お前のおばあちゃんのお下がりみたいな服装も、女の子っぽくねえけどな、と渡辺は突っ込みそうになったが、喉元で堪える。
 仲川は上はティーシャツ一枚、下はデニムのジーパンという――本当にデートという意識があるのかよく分からない服装であった。

柏木「それにしても相手、どんな人だろ」

渡辺「あっちゃんに聞いた感じでは・・・スポーツマンで誠実な方、っていう感じだけど」

 物陰で渡辺と柏木が柏木を観察していると――少し離れたところから、手を振って近付いてくる男の姿があった。
 その男は仲川に近付いて親しそうに喋り始めた。



27 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:15:16.30 ID:b9Tnxr2J0
柏木「どうやら、あの人がデートの相手のようね」

渡辺「うん。すっごいイケメンっていうわけじゃないけど、優しそうな人」

 男は髪が短く、それなりに整った顔つきであったが――、一日経つと忘れてしまいそうな、そんな容貌であった。

渡辺「あっ、動き出したよ。ゆきりん、追いかけないと」

柏木「そんなに手を引っ張らないで・・・」

 手を引っ張って、仲川に気付かれないように尾行を始める渡辺と柏木。
 その光景はまるで遊園地に来た親子のように微笑ましい。

渡辺麻「ここは・・・」

柏木「バッティングセンター?」

 仲川を尾行して辿り着いた場所は、何の変哲もないバッティングセンターであった。

渡辺麻「とにかく中に入ろ」

柏木「うん」



28 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:17:36.73 ID:b9Tnxr2J0
 ■みるくとみゆきを混ぜるだけ■

渡辺美「じゃあ、さや姉行ってくるね」

山本「頑張ってきいや」

 場所は変わって大阪駅。
 山本彩は東京へ行く渡辺美優記の見送りに来ていた。

山本「大変なこともあると思うけど、頑張りや。もし困ったことがあったら、同じチームの柏木さんに何か言うんやで」

渡辺美「うん、分かった。そんなに心配しなくても、大丈夫やって~」

 渡辺美優記はそう言うが、山本は心配であった。


*(以下、渡辺麻友と区別するために、地の文で渡辺美優紀のことを『みるきー』と表記する場合もあるのでご了承ください)



29 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:19:06.50 ID:ZFGxrpnX0
はるごん主役にwktk


30 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:19:52.48 ID:b9Tnxr2J0
山本(大丈夫やろうか・・・)

 渡辺美優記――NMB48の初代センターボーカルであり、とある事件を起こし次のシングルではセンターどころか、選抜メンバーからも外された少女。
 先天的に頭が良く、計算なのか天然なのかファンの反応を引き出す――釣り――テクニックは48グループ随一のものがあり、スキャンダルがありながらも今年の選挙で19位にランクインした少女。
 その釣りテクニックから「西の釣り師」と羨望され、「わるきー」と腹黒の性格から言われる。

山本「とにかく、NMBの力を見せてやるんやで。みるきーはAKBに行っても、帰ってくるところは難波なんやから」

渡辺美「心配しすぎやって、さや姉。私はどんなことがあっても、NMBの人間であって、絶対帰ってくるって」



31 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:21:06.57 ID:b9Tnxr2J0
 ――果たしてどこまで本気なのか――山本は思ったりもする。
 先の東京ドーム公演。ここで『みるきー』はAKB48チームBとNMB48の活動を兼任することが発表された。
 期間限定のレンタル移籍、と秋元康は言っていたが、あの人のことだ。一体、何をしてくるか分からない、人気が出始めたら「AKB専任」という風にしてくるかもしれない。
 そう、まるでこれは本社への栄転。

山本(みるきーはこう言ってるけど・・・この子のことやからな)



32 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:21:54.84 ID:b9Tnxr2J0
 みるきーのあどけない笑顔を見て山本はそう思う。
 何処まで計算づくしなのか、口では「帰る場所はNMB」と言っているが、頭では「栄転やから、絶対にAKBに定着したる」と思っているかもしれない。
 そのような少女なのだ。あまりにも大きすぎる向上心、そして自らを飲み込む程の負けん気。
 その二つを合わせ持っているのが渡辺美優紀なのだ。

渡辺美「じゃあ、そろそろ時間やから行ってくるね・・・」

山本「ちょい待ちぃ」

 行こうとする『みるきー』を引き留める山本。

山本「これ、持っていき」

渡辺美「これは・・・」



34 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:24:36.57 ID:b9Tnxr2J0
 一気に不満げな表情になる『みるきー』。

渡辺美「・・・さや姉、分かっとるやろ。これ、私が嫌いやって」

山本「いいから持っていき・・・もし、もし何か辛いことがあったら、これを見て当時のことを思い出し」

渡辺美「だから」

山本「いいから」

 嫌がる『みるきー』に無理矢理、とあるものを押しつける山本。

渡辺美「分かった・・・」

山本「じゃあ、頑張ってきい。忘れんときや」

 山本は最後にこう付け足す。

山本「あんたはNMB48の一員であり、ここ大阪にはたくさんのファンがいる。あんたが19位になったのも、そのファンのおかげ。これだけは忘れんとき」



36 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:25:58.73 ID:LRaPppxP0
はるごん主役wktk


38 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:26:43.51 ID:b9Tnxr2J0
 ■代打逆転満塁サヨナラ送りバントホームラン■

柏木「一体、いつまでやってるの・・・」

 かれこれ、仲川と男がバッティングセンターに着いてから、二時間が経過している。

柏木「もう、あれだけバット振ってたら手も痺れてくるはずなのに・・・男性の方は、もう疲れてはるごんのバッティング見るだけになってるし・・・って、まゆゆ何してんの?」

渡辺麻「えっ? 暇だからヘタリヤを最初からyout●beで見返してる。ゆきりんも一緒に見る!? このフランシスお兄ちゃんが・・・」

柏木「はいはい」



39 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:27:05.00 ID:Gy6kZKlwO
つづきはよ!


37 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:26:02.18 ID:kjq4sAfJO
面白いけど、ドームじゃなくてSSAな


40 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:29:21.48 ID:b9Tnxr2J0
>>37
ご指摘ありがとうございます・・・何で間違ったんだ・・・。
訂正:みるきーのチームB移籍が発表された場所。東京ドーム→SSA


 仲川が手を止めて、男と喋っているのに耳を澄ませる。

男「あの・・・そろそろ別の場所に行きませんか? もう1時ですし、そろそろご飯を食べに・・・」

仲川「あっ、もうそんな時間なんだ! 分かった! じゃあ行こうか」

男「それじゃあ――」

仲川「最後に一回、打ってからね!」

 そう言って仲川は140キロの球を打つためにお金を入れる。

柏木「あれじゃあ、男の人も可哀相・・・これじゃあ、何のためにデートしてるのか分からない・・・」

渡辺麻「やっびゃあ! ねえねえゆきりん! 今、黒執事見てるんだけどこのセバスチャンが」

 何のためにデートしているのかも分からないが、私達も何で尾行しているのだろう、と思ってしまう柏木であった。



41 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:30:53.52 ID:b9Tnxr2J0
 ■私はあなたを愛すのみ■

 そして場所は変わってここは夢の国。
 昼から、仲川と男は夢の国――遊園地に来ていた。 
 が。

渡辺麻「・・・はるごん、ジェットコースターばっかり乗ってる。あれじゃあ男の人も可哀相」

柏木「うん、そうだね。男の人、三半規管がダメになって、まっすぐ歩けなくなってる」

渡辺麻「それにしても、はるごんのこと知ってる人、一人でもいても可笑しくないと思うんだけどね。誰も声をかけない」

柏木「あまりにも、はるごんが堂々とし過ぎてて、誰も今をときめくアイドルだと思ってないんじゃないの? 私達もあまり気付かれないし」

 おそらく、それはあんたの怪しすぎる3Dメガネが原因だと思うけどね。渡辺は、またもや喉元でその言葉を堪える。



42 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:32:51.07 ID:b9Tnxr2J0
 柏木と渡辺、今回の選挙で何と3位と2位に輝き、名実ともにAKBの顔となった少女達である。
 まゆゆきりん、とも呼ばれ仲の良さは随一であり、渡辺が落ち込んでいた時に柏木がきんぴらごぼうを食べさせた、という逸話もある。
 同じ3期生であり、旧チームBから共にチームBをひっぱてきった3人の内の2人でもある。

柏木「あっ、ジェットコースター祭りは終わったみたい」

渡辺麻「あれは・・・いけない!」

 仲川と男が向かった先にはプリクラの機械があった。
 どうやら二人でプリクラを撮るらしい。

渡辺麻「やばいよ、ゆきりん! プリクラ撮ろうとしてるよ。もしこのツーショットプリクラが出回れば・・・」

柏木「とうとう、私達の出番ね!」



43 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:35:07.98 ID:b9Tnxr2J0
 夏というのに何故か長袖の(もちろん、色は黒)柏木が腕をまくり、仲川に近付こうとすると。

??「すいません・・・このプリクラ機潰れていまして・・・今、使えないんですよ」

仲川「あっ、そうなんだ・・・じゃあ、男さん! 違うプリクラ機で撮ろう!」

??「す、すみません! 実はこのテーマパーク内のプリクラ機が全部故障しておりまして。今日一杯は使えなくなっています」

男「えっ」

 ミッ●―マ●スが仲川達に近付いてきて、プリクラ機の故障を伝えた。
 明かに男の方は納得のいかない表情をしていたが、仲川が手を引っ張り。

仲川「じゃあ、仕方ないや! 男さん、もう一回ジェットコースター乗りにいこう!」

男「またジェットコースターですか」

仲川「ラスト3回! ・・・それにしても、ミッ●―さん。何処かで会ったことありませんか?」



44 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:36:51.20 ID:b9Tnxr2J0
??「・・・そりゃあ、ここは夢の国ですから、会ったことあるでしょう」

仲川「あっ、そっか! まあいいや! じゃあ、バイバイ!」

 そう言って、男の手を引っ張り足早に場を立ち去る仲川。

柏木「・・・何かよく分からないけど、何とかなったみたいね」

渡辺麻「うん。それにしても、プリクラ機が全部故障って珍しいね」

柏木「うーん、よく分からないけど、最近のプリクラ機ってネット機能使ってるとこもあるから、その部分が潰れてしまったんじゃないの?」



45 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:37:59.06 ID:v2iTzbKj0
俺ジェットコースター好きだからはるごんと一緒にジェットコースターデートしたい


46 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:39:58.93 ID:b9Tnxr2J0
 首を傾げながら、仲川が使おうとしたプリクラ機に近付く柏木と渡辺。

「背景を選択してください」

渡辺麻「あれ、ゆきりん。これ、普通に使えるみたいだけど・・・」

柏木「ホントだ・・・一体、どういうこと・・・?」

 さっき、仲川達にプリクラ機の故障を伝えたミッ●―は、何処かに行ってしまったので、聞くことが出来ない。

柏木「うーん、もしかしたら、今のミッ●―さん。はるごんのファンなのかも。だから、致命的なスキャンダルになるのを止めた・・・とか?」

渡辺麻「そういうことかもね」

柏木「とにかく! 何とかなったみたいだし! 早くはるごんを追いかけないと! 今みたいに危ないことが起こるかも」

渡辺麻「やっびゃあ! そうだね」

 腑に落ちない二人であったが――何だかんだで尾行は続く。



47 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:41:43.73 ID:b9Tnxr2J0
  ★

渡辺麻「ゆきりん・・・私、もう疲れたよ」

柏木「はあはあ、大丈夫。もう終わりみたいだから」

 日はもう暮れており、恒例のパレードが行われている。
 といっても、仲川は「うわあー、凄いキレイ! あっ、あっちから見たらもっとキレイに見えるみたいだよ!」とか言って、男を連れ回していて終始走り回っていた。

柏木「何で、はるごん、こんなに走り回るの・・・何でゆっくり見れないの・・・」

渡辺麻「はあはあ、腰が痛い。一体、私達は――」

 何のために、こんなことをしているのだろうか。ふと我に戻り涙が出そうになる渡辺。



48 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:42:44.79 ID:b9Tnxr2J0
柏木「パレードも終了して・・・はるごん達が帰るみたい。さあ、最後に一頑張り、追いかけるよ」

渡辺麻「うん・・・」

 疲労感がありすぎて、テンションがガタ落ちしている渡辺であったが、仲川を追いかける。



49 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:43:35.42 ID:b9Tnxr2J0
 ~とある場所~

仲川「本当に今日はありがとうございました。ではおやすみなさい!」

渡辺麻「やっと終わった・・・」

 仲川の自宅前。といってもマンションであるが。
 そこで仲川は手を振り、男と別れる。

柏木「――まあ、流石に一回目のデートで家に招き入れる、なんて馬鹿なことはしないみたい」

渡辺麻「うん、その点は良かったね」

柏木「これで、私達の仕事も終わり! 疲れたね」

渡辺麻「うん・・・」



51 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:44:58.80 ID:b9Tnxr2J0
 疲れたことは疲れたが――明日からまた仕事、と思えば死にたくなるが、それでも良っか、と渡辺は思う。
 最近、テレビの仕事が多くて、劇場にも出れず柏木と会う機会も激減した。
 2位と3位――大方の予想を覆して、柏木と渡辺の順位が逆転。逆転はしたが、ぎくしゃく、といった関係には全くなっていない。
 柏木と渡辺は相変わらず仲が良く、信頼関係もあり、まゆゆきりんのままなのだ。
 そして久しぶりに二人で遊ぶ――といっても、好きなことは出来なかったが――そう思えば今日は良い日だったかもしれない。

渡辺麻「じゃあ、どっかご飯食べに行こう! 私、お腹減ったし」

柏木「今日は帰ろう! 何というか、まあ、お腹減ったけど、明日も早いし・・・」

渡辺麻「えー、じゃあご飯食べてすぐ帰れば良いじゃん。何で、行きたくないの?」

柏木「だって、めんどくさいだもん」



50 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:44:49.39 ID:j40KddT60
やすすが1位なる小説の人?あれ面白かったよね。


52 :地下アイドル 2012/06/18(月) 23:46:31.05 ID:b9Tnxr2J0
>>50
はい。


 ――そんな茶番劇をしている二人に離れて、男が誰かに話し掛けられているのを二人は目撃する。

柏木「ん? 誰だろ・・・」

渡辺麻「知り合いかも」

 といっても男の顔は怪訝そうにしており、すぐ話し掛けられた人を無視して立ち去ってしまった。

柏木「まゆゆ、誰か分かる?」

渡辺麻「うーん・・・分かんない。胸がないから男の人だと思うけど」

 まあ、そんな他愛もないことだろう。道を尋ねられたのかもしれない。と渡辺は思う。
 だからあまり、男に話し掛けた謎の人物のことを気に掛けてなかったのかもしれない。
 この人物が実は、仲川婚活事件の鍵を握る人間であることを――二人はまだ知らなかった。
 その後、二人は手を繋いで帰った。



53 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:08:13.09 ID:+C9CYXn2O
今日は終わりかな


54 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:42:56.67 ID:2xGaNedl0
 ■ぐわらごわかきーん■

 狂ってる――田名部はそう思った。

松井咲「・・・はるごんさん、婚活上手くいってるみたいだよ。というか何、考えてるんだろ、あの先輩は・・・」

菊地「そうだよね・・・はるごん、ファンの人を裏切る形になっているような気がするけど、大丈夫かな」

大島「やっぱりぜー。まあはるごんだし、良いんじゃね?」

 仲川が婚活を始めたらしい――よく忘れられるが、同じ3期生であり旧チームBの一員であった田名部は、今回のビッグニュース(?)に興味を示さないわけがない。
 その仲川の行動を、松井咲子、菊地あやか、大島優子が批難しているようだが――あんたらは人のこと言えないんじゃない? 田名部はそう思う。

田名部(わなわな。みんな、自分のことを棚に上げて)



55 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:44:15.49 ID:2xGaNedl0
秋元「よし! 今日は握手会だ。みんな気合いを入れていくぞ。足が疲れても筋肉で耐えろ」

 何やともあれ――今日は握手会。ファンの人と最も距離が近い、と考えられる48グループを象徴するイベントである。
 この日のために、グーグルプラスやファンレターを読んで、何を言おうか戦略を立てる――といった具体的なことはしていなかったが、田名部は気合いが入っていた。

田名部(握手会で人気の出たメンバーがたくさんいる・・・私も今日で、一気に選抜メンバーに)

内田「最初はグー。じゃんけん・・・」

峯岸「充電器見付かった! やっと握手会に来てくれる人のためにブログを更新できるぞ」

仁藤「私、やれって言われてやらない人嫌いだから」

横山「久しぶりにやぎしゃんに会える・・・すずやぎは敵!」

田名部(それにしても・・・)



56 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:45:26.73 ID:2xGaNedl0
 よくチームBが玩具箱と称されることが多いが、チームKも負けてない、と田名部は思う。
 個性豊かな人物が多すぎて、ついて行けない。
 そんななかで田名部は自分の個性を見つけられずにいた。

田名部(まあ、とにかく・・・今日もどうせ過疎るから、みんなの握手を見て勉強させてもらおう)

 田名部は何となく、そんなことを考えていた。
 ――そんな感じで握手会が開始したが、田名部がいるレーンは「鈴木紫帆里、中田ちさと、松原夏海」と豪華な顔ぶれだったので、案の定5分で過疎り出した。
 だからかもしれない。他のメンバーを観察する時間が出来た。



57 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:46:01.66 ID:2xGaNedl0
田名部(相変わらず、ゆきりんのレーンは凄い人だ。珠理奈ちゃんとみるきーちゃんのレーンもゆきりんには負けるけど、それでも凄い人)

 今回は、AKBメンバーとして松井珠理奈と、渡辺美優紀が参加しており、この二人が同じレーンで握手をしている。
 遠くから、よく見えなくても――松井珠理奈と渡辺美優紀と自分たちの人気の差は明かに天と地ほどの差があった。

田名部(私も来年こそは・・・)

 と意気込む田名部を尻目に握手会は続く。



58 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:47:06.21 ID:2xGaNedl0
 ■本当ですか? ありがとうございます■

松井珠「応援ありがとうございます!」

 全握なので、殆ど話す時間はないが――それでも精一杯の笑顔でファンの声に応える松井珠理奈。
 松井珠理奈。当時、小学6年生でAKBのセンターを務めた、スーパー中学生、もとい今年からスーパー高校生である。
 SSAにて、チームKとの兼任が発表されたが、それでも松井珠理奈は松井珠理奈であることは変わらない。

松井珠(それにしても・・・)

 横で握手をしている『みるきー』を見て思う。

渡辺美「ありがとうございます。あっ、山田さんですよね。いつも応援ありがとうございます」



59 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:48:04.69 ID:2xGaNedl0
 短い時間ではあるが、その短い時間でファンの心を鷲掴みにする『みるきー』の握手会テク。
 何処まで計算尽くなのか分からないが、人懐こい笑顔を見せ、顔を近付けている。
 一球入魂、全力でやる松井珠理奈とは、また違った全力であった。

松井珠(相変わらず凄い。私も、みるきーちゃんの握手を見習わないと)

渡辺美「ありがとうございます!」

『みるきー』はファンの人と握手を続ける――というのは変わりないが、松井珠理奈は目撃してしまった。
 握手が終わり手を離した瞬間に、さっとポケットに手を入れる『みるきー』の姿を。
 その瞬間、とは1秒にも満たない、気を付けて見てなければ分からない、一瞬の時間であった。

松井珠「? あれ、みるきーちゃん。今、何かポケットに手を入れなかった?」



60 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:49:38.12 ID:2xGaNedl0
 ファンが途切れた一瞬の間をついて質問する松井。

渡辺美「えっ? 何のこと?」

松井珠「いや、今ポケットに何かを入れ・・・」

渡辺美「恥ずかしです。ちょっと手汗かいてしまって、ポケットの中にハンカチがあったから手を拭いただけ。別に何にもないですよ?」

 人懐こい、そうファンの人と握手をしている時と同じ笑顔で応える『みるきー』。

松井珠「あっ、そなんだ。ごめんね、変なこと聞いちゃって」

渡辺美「あっ、応援ありがとうございます」

 すぐに続きのファンの人が来て、そこで会話は終了した。

松井珠(私の考えすぎか・・・)

 そう自分に言い聞かせ、松井珠理奈は握手に頭を切り換えた。



61 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:54:11.66 ID:2xGaNedl0
 ■ボクが悔しくなるほど、幸せになれ■

指原「はるごん、そう言えば婚活始めたんだってね。どう相手の人とは?」

仲川「うん! すっごい良い人だよ! 毎日、帰ってからメールとか電話してるし。それから・・・私、はるごんじゃないから。は・る・か!」

指原「分かった分かった。で、はるごんは本当にその人と結婚するつもり?」

 適当にあしらう指原。

仲川「うーん、まだ分かんないけど相手の人も凄い良い人だし、出来ればそういう風になれたらなって」

指原「そうなんだ・・・それにしても、はるごんが結婚ってね。考えられない」

篠田「ねえ、はるごん。婚活始めたらしいね」



62 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:55:39.24 ID:2xGaNedl0
 増田と仲川が喋っていると、篠田が会話に入り始めた。

仲川「麻里子様! うん、そうだよ。相手もすっごい良い人で、このまま結婚するかも!」

篠田「ふーん、で年収とかは? やっぱり結婚とかになると、只の恋愛感情じゃちょっと軽率すぎるし・・・そういった、経済的な面も重要になってくると思うけど」

仲川「うーん、そういう難しいことは、はるか分かんない!」

篠田「そうなんだ・・・(私を差し置いて結婚なんて・・・まあ、どうせあんまり収入が不安定な人だろ。大丈夫、私はまだ負けてない)」

前田「あっ、結構良いらしいよ。銀行員だし、来年から支店長になるみたい」

篠田「(終わった)、へ、へえそうなんだ。ま、まあ頑張ってね」

 顔が引きつったまま、その場から立ち去る篠田。

小嶋「マリちゃん・・・」

篠田「うん」

小嶋「先、越されちゃったね」

 そんな感じで慰め合う、チームAのお姉さん達。



63 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:56:53.79 ID:2xGaNedl0
仲川「でも・・・」

指原「ん? どうしたの、はるごん」

仲川「少し気になることがあって・・・男さんが、何か変なメール来るって」

指原「変なメールって?」

仲川「知らないアドレスから、「仲川は止めておけ」という趣旨のメールが来るんだって。メルアド変えても、少ししたら突き止められて・・・」

指原「えっ、何それ・・・怖いね」

仲川「うん・・・」

 仲川の顔は一転して暗い顔になった。
 それを指原は。

指原「まあ、何かの悪戯だって! もしこれ以上何かあったら、結婚相談所に相談しに行けば?」

仲川「・・・うん! そうするね」

高橋「ちょっと」



64 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:57:58.17 ID:2xGaNedl0
 話に割って入るように高橋みなみが二人に声をかける。

高橋「指原。秋元先生が話があるって」

指原「えっ、秋元先生が・・・?」

高橋「私も話の内容は知らないけど、何か重要な話だって」

指原「はい、分かりました。じゃあ行ってきます」

 じゃあね、と仲川に手を振りその場から立ち去る指原。
 この時点では指原、二枚目シングルの話、もしくはテレビ出演の話か何かだと考えていた。
 ――この後、仲川遥香とは関係のないところで、指原莉乃の物語が展開されるのだが、それはまた別の物語であり、ここで語るべき内容ではない。



65 :地下アイドル 2012/06/19(火) 00:59:27.68 ID:2xGaNedl0
 ■筋肉を触らせてよ■

佐藤亜「糞がっ」

 佐藤亜美菜は焦っていた――いや、苛ついていた、と表現する方が正しいか。

柏木「どうしたの、亜美菜」

佐藤亜「いや、何でもない・・・」

 柏木が話し掛けてくるが、適当にあしらう。
 佐藤が苛ついている正体は、少し前からチームBのレッスンに参加している渡辺美優紀の存在である。
 余談ではあるが、AKBには光と影、推されと干されという二種類の人間が存在する。
 前者は秋元康、及びスタッフから気に入られテレビでの露出、選抜への優遇処置、といったことが挙げられ、後者はその反対に属する――と仮に定義しようか。
 推されの代表格には前田敦子や、指原莉乃、松井珠理奈の存在が挙げられ、干されの代表格にはかつての平嶋夏海や、佐藤亜美菜の存在がある。
 そして今回、チームBに突如、期間限定とは言うが移籍してきたこの『みるきー』も――新世代のフロントメンバーに挙げられる等、どちらかというと推されグループに属しているだろう。



66 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:01:40.95 ID:2xGaNedl0
渡辺美「はぁはぁ・・・もう一度、お願いします!」

 その推され様の『みるきー』は、現在練習が終わり休憩中の佐藤亜美菜の目の前で汗だくになりながらダンスを踊っている。
 いや、佐藤亜美菜だけではない。チームBのメンバーは『みるきー』を除いて全員、今日のレッスンを終わらせ帰宅の途についた者もいる。
 つまり『みるきー』だけ居残り練習――明日に迫ったチームBの公演であるが、『みるきー』は未だにダンスの先生から「合格」を貰えずにいた。

柏木「みるきーちゃん・・・凄いね。これで3時間、休憩なしでぶっ通しで踊り続けていることになる」

佐藤亜「・・・凄いわけないじゃん」

柏木「えっ?」

佐藤亜「・・・何でもない!」



67 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:02:53.12 ID:2xGaNedl0
 ぼそっ、と不満を漏らしてしまう。
 佐藤はそもそも『みるきー』がチームBに移籍してくることに否定的な意見を持っていた。
 平嶋が抜けて、未だに代わりの研究生が昇格してこないとはいえ、やはりAKBはAKBのメンバーで構成されるべき、と思っている。
 それなのに、ぽっと出の『みるきー』が代わりとして補充されるなんて――納得できるわけがない。
 それにダンスの練習だって、ここまで努力し続けて未だに「合格」を貰えない『みるきー』にも否がある。時間内に終わらせることが出来なければ、家に持ち帰って練習すればいいのに。
 かつて公演、殆どのポジションのアンダーのダンスと歌を覚えた佐藤亜美菜はそう思わざるを得なかった。

佐藤亜「・・・」

柏木「・・・ちょっと、行ってくる!」



68 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:03:49.20 ID:2xGaNedl0

 おそらく、軽い過呼吸を起こしているのだろう――床に倒れている『みるきー』の傍に駆け寄る柏木。

柏木「大丈夫?」

渡辺美「はぁはぁ・・・大丈夫です。も、もう一度お願いします」

 おそらくダンスの先生と柏木の区別も付いていないのだろう――ダンスの先生は少し前に帰ったというのに――『みるきー』は柏木の顔を見ずに言う。
 
佐藤亜(相変わらず、凄い負けん気・・・)

 負けん気と向上心は誰にも負けない、ということを聞いていたが、まさかここまでとは正直思っていなかった。

柏木「・・・ダンスの先生、帰っちゃったし、ダンス見てあげようか?」

渡辺美「お、お願いします」



69 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:05:14.51 ID:2xGaNedl0
 ふらふらになりながらも、立ち上がりながら『みるきー』は言う。
 それを見ていく毎に佐藤亜美菜のいらいらは増していた。
 レッスン場には既に佐藤と柏木、『みるきー』の3人しかいない。

渡辺美「はぁはぁ・・・」

柏木「うーん、今日はこれで終わり! 明日、公演前に一度ダンスの先生に見てもらったら、きっと合格できる! 明日、一緒にガンバロ」

渡辺美「あ、ありがとうございます」

 お疲れ様でした、と下を俯きながらレッスン場から立ち去る『みるきー』

佐藤亜「何で・・・?」

柏木「えっ?」

佐藤亜「何で、みるきーを気に掛けるの? だって、いきなりチームBに移籍してきた子なんだよ、ダンス出来ないのも当たり前だし、苦労するのも当たり前・・・それなのに何で?」



70 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:09:59.02 ID:2xGaNedl0
柏木「・・・うーん、何でだろ。もしかしたら、キャプテンらしいことしてみたかっただけ、かもしれない」

 柏木は汗を拭きながら言う。

佐藤亜「キャプテンらしいこと?」

柏木「うん。亜美菜ちゃんは、初日っていう曲知ってるよね」

佐藤亜「そりゃあ、もちろん・・・」

柏木「『一人だけ踊れずに、帰り道泣いた日もある』――これは、当時、一人だけダンスを踊れずに、泣いた仲川遥香、はるごんの様子を歌ったもの」

佐藤亜「・・・」

柏木「で、この時、はるごんと一緒になってダンスを教えていたのが、平嶋夏海――なっちゃん。なっちゃんは当時、チームAから来た一期生として、シンディと一緒にキャプテンのような役目を担っていた」

柏木「何だろ、私、キャプテンに任命されたけど、今までキャプテンらしいこと何一つしてこなかったからさ。その罪悪感?」

佐藤亜「いやいや・・・」



71 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:10:43.30 ID:2xGaNedl0
 ――自分は心が狭かったのかもしれない。
『みるきー』がNMBから来たということは代わりないが、同じ48グループで今は同じチームの仲間である。
 その同じ仲間を柏木は助けようとして、佐藤は助けようとしなかった。

佐藤亜「・・・そうだね。私が間違っていたのかもしれない、今度からは」

 扉の向こうから何かが倒れた音が聞こえた。

柏木「いっけない! もしかして、みるきーちゃん疲れすぎて倒れちゃったのかも。助けにいかなきゃ」

佐藤亜「うん、そうだね!」
 
 こうして、柏木と佐藤は二人でレッスン場を後にした。
 そして佐藤亜美菜は、これから出来る限り『みるきー』の助けになることにしよう。『みるきー』だって、同じチームBのメンバー、同じようにファンを愛しているのだから。
 そう思いながら、疲労によってふらふらになっている『みるきー』に駆け寄った。

 ――翌日、「NMB48渡辺美優紀、ファンとの夜の甘い密会!」という文面が週刊誌に踊ることになった。



72 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:11:43.84 ID:2xGaNedl0
 ~とある、ぐぐたすにて~

秋元康 ○/☆ 23:20

というわけで、渡辺美優紀はNMB48、そしてAKB48チームBとしての活動を辞退させていただくことになりました。
美優紀は負けず嫌いで、向上心もあっただけに非常に残念な結果となってしまいました。

ただ、彼女は48グループのルールを破っただけで、法律として間違ったことは何一つしていません。
なので、彼女の今後の人生をどうか温かく応援してあげてください。

なお19位の渡辺美優紀が抜けたことにより、33位の岩佐美咲が繰り上がりでアンダーがーズルズとなります。
そして34位の松村香織がネクストガールのセンターとなります。



73 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:13:09.72 ID:2xGaNedl0
 ■黄色のカード■

片山「まさか、みるきーちゃんがこんなことになるなんてね・・・」

仲川「そうだね」

『みるきー』ファンとの密会事件――から、一週間が経過して片山と仲川はネクストガールのPV収録のために集まっていた。
 今はもうPV撮影も殆どが終わり、二人は休憩している。

片山「前にも事件起こしちゃってるしね、仕方ないね・・・」

仲川「それにしても、わさみん大丈夫かな・・・いきなり、アンダーガールズに入ることになっちゃったけど」



74 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:14:11.68 ID:2xGaNedl0
 仲川は心配している。
 ――それもそのはず、片山は思う。
 仲川と岩佐は同じ「渡り廊下走り隊7」のメンバーとして活動しており、話す機会も多い。
 経験豊富な――3期生の仲川とは違い、岩佐は今まで選抜メンバーに入った経験がなく、ましてや7期生。心配になるのも無理はなかった。

片山「大丈夫・・・わさみんなら。演歌歌手として一人仕事も多かったし、きっと個性豊かすぎるアンダーガールズとしても、きっと結果を残すはずだよ」

仲川「だったら、良いんだけど・・・」

 心配になるのは、同じチームAとして活動している片山も同じであった。

仲川「わさみん、ネット上だったら強気だけど、現実の世界だったら結構、引っ込み思案な性格だから・・・」

片山「まあ、それは否めないけど」



75 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:15:11.59 ID:2xGaNedl0
 といっても――心配するだけでは前に進めない。
 片山は何かを思い付いたように立ち上がり。

片山「・・・そうだ! 今日、アンダーガールズの人達もPVの撮影してるらしいから、わさみん頑張ってるか、見に行こ! もう少しで、こっちは終わりそうだし」

仲川「・・・良いね! うん、わさみんの活躍っぷりを見に行こう!」

 こうして、片山と仲川――親子のように見えるが、同じ3期生の二人が岩佐を見るべく、アンダーガールズのPV撮影を見に行くことになった。



76 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:16:23.27 ID:2xGaNedl0
 ■だからもう少しだけ、鉄のパンツ■

山本「おつかれさまでした――」

PV監督「うん。じゃあ、次のシーンの準備もあるから、10分休憩。各自、体を休めるように」

山本「はい」

 ここは、アンダーガールズPV撮影の場所。
 そんな場所に山本彩は居た。

高城「さやかちゃん、おつかれ」

山本「あっ、あきちゃさん。おつかれさまです!」

高城「NMBで一人だけになっちゃったけど、何か辛いことない? もし何かあったら、助けになるから」

山本「・・・はい、ありがとうございます!」

 何してるんだか、山本はそう思った。



77 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:17:10.41 ID:2xGaNedl0
『みるきー』退場によって、岩佐が代わりにアンダーガールズに入ることになり、NMBとしてたった一人の参加者となってしまった。
 といっても、元々AKBの選抜にも選ばれていた少女。同じ選抜常連の高城もいることだし、そこまで肩身の狭い思いをしていなかった。
 それよりも――。

山本(みるきー・・・こうなることを恐れていた。これでは、ファンの人に東京に男を漁りに行った、と思われても仕方がない)

 溜息をつく。
 あれから『みるきー』とは連絡が取れていない。
 電話をしても繋がらない。メールをしてもアドレスを変えられている。マネージャーに聞いても守秘義務という奴で、聞くことが出来ない。

山本(みるきー、一体何処で何してるんやろ)



78 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:18:31.70 ID:2xGaNedl0
 確かに『みるきー』は48グループにとって、確かに良くないことをした。
 しかしNMBの初代センターは確かに渡辺美優紀であったし、城を差し置いて次世代AKBのフロントメンバーとして期待されていた。
 そう、端的に言うなら、いきなり止めてもらっちゃあ、山本にとって「迷惑」なのだ。

片山「こんにちはー、遊びに来ました!」

 そんなことを考えていると、山本の先輩にあたる片山と仲川の二人がやって来た。

秋元才「おっ、来たか。それにしても、来るっていってた時間よりも、1時間遅いんだけど・・・」

片山「ごめんなさい、道に迷っちゃって・・・」

仲川「はーちゃんが地図の見方分からなくて・・・」

秋元才「ん? 今時、地図? 今ならGPS機能付きのスマホがあると思うんだが・・・」

片山「使い方分かんなくて・・・はるごんはスマホ充電してないし」

仲川「節電!」

秋元才「・・・そ、そうか」



79 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:19:28.13 ID:rnGNd1zh0
よく練られてるけど、みるきーと亜美菜のとこがおかしい
みるきーはブログに亜美菜との2ショ載せるくらいの仲だぞ



83 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:37:34.27 ID:7FuL2e/L0
>>79あくまで二次創作だから


80 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:20:02.04 ID:2xGaNedl0
 片山と仲川は親しそうに秋元と喋っている。

片山「どんな感じですか、撮影は。わさみんは大丈夫ですか?」

秋元才「うーん、今のところ大丈夫。ほら、あっちでSKEの人と親しそうに喋ってるし」

 秋元が指さす方向には、SKEの人と親しそうに喋っている岩佐の姿があった。

高柳「岩佐さん、大丈夫ですよ! 鷹になりましょう、鷹柳になれ!」

木崎「いやいや、鷹なんかじゃダメですよ。ピースしましょう、ゆりあピース☆」

泰「・・・というか、さっきから真那さん食べてばっかですけど、会話に参加しましょう・・・久実さんも携帯弄ってないで」

矢神「ひゃ、ひゃい(どうしよう、初めて喋るから、何喋っていいか分かんない・・・)」

岩佐「は、はぁ・・・お願いします!(SKEなんぞ捻り潰してくれるわぁああああ)」

片山「・・・う、うん! 楽しそうにしているみたいだね!」



81 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:21:32.04 ID:2xGaNedl0
 あまりそう見えない、というか只好き勝手に喋ってるだけじゃ――もちろん、そんなことは言えない。

仲川「それにしても・・・さや姉」

山本「は、はい」

仲川「大変だね。みるきーがいなくなって、NMBにとってもマイナスに」

佐藤亜「ならないよ」

 いつの間にか佐藤亜美菜が何処からかやって来て、不機嫌そうな声でそう言った。

佐藤亜「あんな奴、もう知らない。折角、仲良くしてやろうと思ったら、こんなことしやがって。あいつなんか、これから何処かで野垂れ死ねばいいんだ」

秋元才「亜美菜・・・」



82 :地下アイドル 2012/06/19(火) 01:36:20.66 ID:RldzkQ+L0
はよ!


84 :地下アイドル 2012/06/19(火) 02:00:06.12 ID:2xGaNedl0
 秋元はそこで言葉に詰まる。
 ――そう言われても仕方がない、山本は思う。

山本(みるきーは、一度どころか二度も過ちを犯した。秋元先生風に言うと、イエローカードが二枚溜まって、アイドルという舞台から退場させられた)

山本(ましてや亜美菜さんはみるきーと同じチームとして、一緒に頑張っていこうと意気込んでいたはず。それを裏切る形となってしまった)

 佐藤亜美菜が怒るのも無理はない。山本はそう思った。

 そろそろ休憩が終わるので、立ち上がろうと瞬間――山本のスマホから着信音が聞こえた。

山本「マネージャーさんからや。一体、何やろ・・・えっ!?」



85 :地下アイドル 2012/06/19(火) 02:00:37.89 ID:2xGaNedl0
 我を忘れて驚きの声をあげてしまう。
 その声があまりにも大きかったために、周囲のメンバーが全員、山本の方を振り返った。

高城「どうしたの?」

山本「みるきーが、みるきーが・・・」

 声を絞り出すように山本はみんなにこう伝える。

山本「乃木坂46に移籍だって・・・!」



86 :地下アイドル 2012/06/19(火) 02:02:32.60 ID:2xGaNedl0
>>1です。

とりあえず、今日はもう遅いので、中断します。
もしここまで読んでくださっている人がいれば、ありがとうございます。

では。



87 :地下アイドル 2012/06/19(火) 02:14:05.71 ID:XFUJWinw0
乙、長いわw


88 :地下アイドル 2012/06/19(火) 02:26:10.71 ID:4hlhpn2V0
明日またくるー


89 :地下アイドル 2012/06/19(火) 02:26:17.16 ID:uF8F5jUg0
乙、続きが楽しみるきー


90 :地下アイドル 2012/06/19(火) 06:19:10.19 ID:qzKhcdA/0
Nなっちの出番がありますように


91 :地下アイドル 2012/06/19(火) 08:00:57.10 ID:XFUJWinw0
おはwktk


92 :地下アイドル 2012/06/19(火) 13:15:48.09 ID:+C9CYXn2O
上げとこ


93 :地下アイドル 2012/06/19(火) 17:07:17.16 ID:LD0IQHM5O
あげときます


94 :地下アイドル 2012/06/19(火) 17:44:36.69 ID:iMV1TdS/0
あげ


95 :地下アイドル 2012/06/19(火) 18:14:10.83 ID:fVTQ0wE90
保守


96 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:06:34.42 ID:RldzkQ+L0
おい!はよ!


97 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:23:03.09 ID:2xGaNedl0
 ■会いたかったかもしれない■

渡辺美「今日から乃木坂46のメンバーになりました、渡辺美優紀です。みるきーって言ってください」

『みるきー』は乃木坂46のメンバーの前で、そう自己紹介したが、誰も拍手をしない。
 当たり前だ――乃木坂のキャプテンである桜井はそう思う。

桜井(悪いけど、私だって良い気分じゃない・・・だって、只でさえ競争が激しい七福神に、また一人強力なライバルが増えることになる)

桜井(それに、ネットの方も覗いてみたけど、やはり否定的な意見が多い。乃木坂は48グループのライバルとはいえ、今段階では48ファミリーの一員、という位置づけ)

桜井(それなのに、48グループをクビになって、乃木坂に移籍だって――これじゃあ、何でもありじゃないかって)



98 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:24:36.93 ID:2xGaNedl0
『みるきー』はいつもの笑顔で自己紹介をするが、終わった瞬間、みんな興味のないように散り散りになってしまう。

桜井(いや、興味のない筈がないんだ・・・みるきーさん・・・いや、みるきーが来るっていう前例を作ってしまうということは、48グループで恋愛しても、最悪乃木坂に来ればいいかっていう安易な考えを作ってしまうことになる)

桜井(これは特例、なのかもしれないけど、もしこの特例が成功すれば、これから先48グループで不祥事を起こしたメンバーの肥溜めのような存在に――)

渡辺美「桜井さん」



99 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:25:18.63 ID:2xGaNedl0
 そんな考えを巡らせていると、テレビで見る人懐っこい笑顔で桜井に話し掛けてきた。

渡辺美「これから先、迷惑をかけると思いますが、宜しくお願いします」

桜井「・・・ふん」

『みるきー』の挨拶を無視して、桜井はその場から立ち去る。

生駒「れいか(桜井の呼び名)・・・ちょっと、流石に可哀相じゃない。一応先輩なんだし」

桜井「何が先輩なもんか。あいつが成功してもらっちゃあ困る。困るんだ」

 だから潰さなければならない――とまでは言葉に出さなかったが、心の中では桜井はそう思っていた。



100 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:26:01.06 ID:2xGaNedl0
 ■偶像の膜は聖域でなければならない■

戸賀崎「・・・流石にやり過ぎでしょ。指原のHKTはともかく、2回目の渡辺美優紀も、乃木坂に移籍なんて」

秋元康「ん? 何がいけない。というか指原に関しては俺の考えだが、美優紀に関してはあちらの都合だ」

戸賀崎「・・・」

秋元康「プロ野球に例えるなら、私は美優紀を48グループの戦力外にした。その戦力外になった選手を、乃木坂46の方が勝手にトライアウトで獲得しただけだ。私の手の届く範囲ではない」



101 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:27:38.36 ID:2xGaNedl0
戸賀崎(またまた・・・この人は、何処まで計算しているんだ。乃木坂と48ループは別物とはいえ、まだファンの人達にとって乃木坂とは48ファミリーの一員)

戸賀崎(ファンから見れば、これは只単に移籍にしか見えない。乃木坂の方が勝手に戦力外の選手を獲得した、なんていうのは只の詭弁だ)

戸賀崎(この人はおそらく、次世代フロントメンバーの渡辺美優紀を簡単に切ることを勿体ないと感じた。だから、まだ自分がギリギリ手の届く範囲である乃木坂に移籍させた・・・)

秋元康「まあ、これが吉と出るか凶と出るか・・・面白くなってきたね」

戸賀崎(そうこの人は・・・)

 十二分に人生を楽しんだ。
 おそらく48グループ、乃木坂46が潰れようが、どうでもいいのだ。
 戸賀崎は鳥肌が立ったので、冷房の温度を一度上げた。
 節電。



102 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:30:26.48 ID:2xGaNedl0
 ■会いたかった■

 ――あれから3ヶ月の月日が経ち、季節は秋になった。

 第四回選抜総選挙で選ばれたメンバーによる、27枚目のシングルは大成功を収めた。
 仲川の交際も順調に進み、後は結婚まで秒読み――というところまで来て、メンバーの大半は諦めにも似た失笑で応援していたが――まあ、それは別の噺。
 そして28枚目のシングルの選抜メンバーが発表され、その中には大島優子や渡辺麻友とお決まりのメンバーに、島崎遥香や高柳明音というフレッシュな顔触れも加えられた。
 もちろん、山本彩もこの28枚目シングルの選抜に選ばれることになった。
 気になる乃木坂46であるが――2枚目を発売してから、何の音沙汰もなかったが、28枚目のシングルが発表されると同時に乃木坂46の3枚目のシングルの発売も発表された。
 奇しくも――発売日は同じ日付であった。

高橋「みんなー、ミュージックフェアリーの出演が決まった。ここで28枚目シングルのテレビでの初お披露目となる」



103 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:31:18.78 ID:2xGaNedl0
 このミュージックフェアリーとは生放送の音楽番組のことである。
 といっても、AKBのメンバーにとってはいつも出演させてもらっている音楽番組であり、今回も出演することは何となく予想していた。

大島「やっぱりぜー、頑張るぜー」

篠田(26)(良かった・・・選挙で偉そうなこと言ったから、外されてると思ったけど、今回も何とか選抜か・・・。はるごんも結婚するみたいだし、そろそろ考えないと・・・)

高橋「珠理奈に関しては、18歳以下ということで、この番組には出演出来ないので・・・代わりに、はるご・・・はるかがアンダーとして出演することになった。はるさん、よろしく頼んだ」

仲川「分かりました!」

 そして、高橋は一つ間を置いて。

高橋「そして・・・今回のミュージックフェアリーに、乃木坂46も同時出演することになった」



105 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:36:38.68 ID:2xGaNedl0
 和やかなムードが一瞬にして冷たくなる。

高橋「長い沈黙を破って、3枚目のシングルが発売。乃木坂も気合い入れてくると思うけど・・・私達のやることは変わらない。自分達の持ち味を出していこう」

小嶋「それにしても・・・乃木坂の3枚目のシングルの選抜メンバーってもう決まったの?」

高橋「・・・ああ、決まった。みんな見たい?」
 
 誰も興味がないふりをするが――明かに気になっていた。だって。

仲川「うんうん、気になる! みるきー選抜に選ばれているのか、すっごく気になる! 教えて教えて!」

 誰もが思ってても言えなかった一言を空気を読まずに言う仲川に対して、はる△という雰囲気になるが――。

高橋「分かった・・・じゃあ、今から読み上げるね。乃木坂46、3枚目シングルの選抜メンバーは――」



106 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:38:16.18 ID:2xGaNedl0
 ■難波の七福神■

山本「みるきーが・・・選抜メンバーどころか、いきなり七福神に選抜やって!?」
 
 山本はNMBのメンバーの前でそう声を上げる。
 ついさっき、NMBの支配人から乃木坂46の選抜メンバーが告げられた――グループは違うが、渡辺美優紀が元気にやっているか気になるだろう、という前置きで。
 正直、大きなお世話であった。

山田「まぁさぁかひゃな。いしなり、みるきー七福神やって、みるきーもやふな」

山本「・・・」



107 :地下アイドル 2012/06/19(火) 19:41:19.37 ID:2xGaNedl0
 凄い、と思う反面、心配になることもある。
 ミュージックフェアリーで乃木坂と一緒に出演するらしいが、おそらくそこに『みるきー』も来るであろう。
 一体、会った時に何て話せばいいのか・・・。

城「凄いんだジョー。頑張って欲しいんだジョー」

山本「・・・そんな簡単に頑張れないよ。七福神の一つの椅子を奪ってしまったことによって、乃木坂のファンは激怒する。そのアンチの猛攻に耐えられるか」

城「大丈夫だジョー。みるきーさんは心の強い人だジョー」

山本(違う・・・!)

 山本はそう思う。

山本(元来、みるきーは心の弱い子。だから、落ち込んだりしたら、すぐに男に走ってしまう。そんな子がアンチの猛攻に耐えられるのか・・・)

山本「まあ、とにかく頑張るしかないやろな・・・」



108 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:00:12.05 ID:2xGaNedl0
 ■「何もしない」って、トラップの常套句■

 ――とうとうこの日がやってきた。
 AKBの28枚目シングルの選抜メンバー(もちろん、SKEやNMBのメンバーもいる)は、ミュージックフェアリーの本番前に控え室で休んでいた。

篠田「はるごん、相手の人とどんな感じ? 上手くいってないでしょ、上手くいってないでしょ、そうきっと上手くいってないはず!」

仲川「うんうん。昨日も電話して「今日がんばって」って言われちゃった。多分、テレビの向こうでは彼も応援してくれるはずだから、はるか頑張る」

篠田「(死ねばいいのに)・・・そ、そうなの。が、頑張ってね」

高橋「あっ、麻里子さま。はるかごんさんに先越されちゃったから焦っているでしょwwww」

篠田「あ? 謝れよ」

山本(みるきー・・・)

 本番開始まで後もう少し。
 メンバー達はそろそろ行こう、と立ち上がろうとした瞬間。

桜井「失礼します」



109 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:01:29.80 ID:2xGaNedl0
 ドアがノックされ、キャプテン桜井を先頭に乃木坂のメンバー達が入ってくる。
 ――もちろん、『みるきー』も一緒に。

桜井「こんばんは。乃木坂46キャプテンの桜井と言います。今日は宜しくお願いします」

高橋「あっ、よろしくお願いします。一緒に頑張ろうね!」

 という挨拶も程々に済ませる。
 その間、『みるきー』はいつもの笑顔を貼り付けているだけで、一言も喋らなかった。

桜井「では、本番頑張りましょう。失礼しま・・・」

山本「ちょっと待ちいや」

 乃木坂のメンバーがAKBの控え室から出て行こうとする時――突然、山本が低い声で言った。

桜井「何でしょうか?」

山本「あんたやない。おい、そこのみるきー。『渡辺美優紀』、あんたや」

 山本の顔は一変、まるで親の敵を見るような目付きになっていた。

渡辺美「何でしょうか。『山本彩』さん」



110 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:12:16.97 ID:2xGaNedl0
山本「・・・あんたはええよな。そんな風に加入後に二回もファン喰っといて、七福神に選ばれたりして。あんたの人生は順風満帆やな」

渡辺美「・・・」

山本「私は加入前のプリクラでファンから責められる・・・まあ、処分らしい処分はなかったけど・・・あんた見てると、ホント世間上手く渡り歩いていると思うわ」

渡辺美「・・・」

山本「何か喋れや! 渡辺美優紀」

渡辺美「・・・私はね」

 渡辺美優紀――『みるきー』の表情も一変し、冷めたような目付きで山本を見つめる。

渡辺美「私は何としてでも、アイドル界でトップ取らんとあかんのですよ。こんな、たかが乃木坂46の七福神なんてただの通過点」

 たかが、という言葉に乃木坂のメンバーが反応するが、桜井が静止する。



111 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:14:49.31 ID:2xGaNedl0

渡辺美「だから、私は立ち止まることは出来ません。どんな手段を使ってでも、私は必ずトップを取る。山本彩さんも気を付けてくださいね、いつか足下すくわれるかもしれませんから」

山本「・・・そうなん。頑張ってトップ目指して頑張ってくださいね。じゃあ、あんたいきなりNMB止めてあれからキャプテンの私に一切の連絡もなしに。色々迷惑やったんやで」

渡辺美「・・・」

山本「それに対する、あんたの謝罪の一言聞いてないな」

渡辺美「・・・何で謝らなければならないんですか。私、山本彩さんに迷惑かけたつもりないですよ」

 山本は立ち上がって、『みるきー』に掴みかかろうとするが、高橋みなみがそれを止める。



112 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:19:27.15 ID:2xGaNedl0
渡辺美「・・・別にいいじゃないですか。時間の問題で、私はNMBのセンターに戻される予定だった」

渡辺美「そして私が止めることによって、センターという椅子が一つ空くことになります。このNMBのセンターという椅子は将来的に城理恵子さんが座ることになるかもしれませんけど・・・しばらくはあなたのものです」

山本「・・・」

渡辺美「そして、時間の問題で私はあなたを順位でも抜かしていた。ちょっと胸がでかいだけのあんたに、私が負ける訳がない」

渡辺美「そんな私が抜けて・・・あなたは逆にチャンスだと思っているんじゃないですか? 自分のキャプテンでセンターというポジションを脅かす人間がいなくなって、安心しているんじゃないですか?」

山本「・・・そうなん。あんたの言いたいことはそれだけやな」

渡辺美「・・・はい」

山本「分かった。あんたがそういうつもりなら、それで言いわ。もう私の前に二度と顔を出さんと・・・」

仲川「そんなの駄目だよ!」



113 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:23:38.35 ID:2xGaNedl0
 ――険悪なムードになっていたところに、仲川が大声で叫び割って入る。

高橋「はるごん・・・?」

仲川「そんな、絶交なんて・・・そんなの駄目だよ。みるきーちゃんもきっとそんなこと思ってないよね? さや姉もちょっと怒ってるだけで、そんなこと思ってないよね?」

仲川「こんな短い時間で、全てが言えるわけないよ。だから、また時間を置いて違う機会に・・・」

山本「私がそんなこと思ってないって!? はるごんさんには悪いですけど、これでもまだまだ言い足りないくらいですよ! あれから、NMB48がどんだけ苦労したと思ってるんですか!」

 先輩――見た目では、山本の方が先輩に見えないこともないが――山本は仲川に臆さず怒号をぶつける。

山本「あの後、公演に出てどんだけ罵声を浴びたと。やっぱり難波の連中はビッチ集団、東京に男を漁りにいったわるきー、お前も東京行って男作った方がええんとちゃうか――そんな声」

山本「あれからNMBは叩かれ続けた。そして、それを受け止めるのが私の役目だった。といっても、別に私は良い、みんなも助けてくれるし他のメンバーに不満はない」

山本「しかし、みるきー! あんたは違う。あんたはこの罵声を浴びなかった。公演だけじゃない、握手会や何かのイベントでも、みるきーの事件はことある毎に出され続けた」

山本「あんたはずるい! 卑怯だ。仕事の決まりを破っても、違うチームでひょうひょうと選抜メンバーに入っている。本来、みるきーに向けられる罵声を私達に向けられ・・・」

渡辺美「あんた・・・私が罵声を浴びてない、と本気でそう思ってるん!?」



114 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:27:52.78 ID:2xGaNedl0
 山本に対抗するように、『みるきー』が声を荒げる。

渡辺美「さや姉なんかには分からない。私はファンのためにトップを獲らなければならない。確かに私はファンを裏切った・・・でも、それでも信じ続けてくれるファンのために立ち止まってはいけない」

渡辺美「もちろん、殆どのファンは私から離れてしまった。その離れたファンは、私のことを嫌いになり、乃木坂でも「帰れ」「死ね」と言われ続けた」

渡辺美「今回だって、そうだ。今回だって、いきなり七福神のメンバーに入ったことによって、ファン――私のことを嫌いな人間は色々なことを言ってきた」

渡辺美「でも、誰も守ってくれる人はいない。難波なら、さや姉が守ってくれるかもしれんけど、私はそれを一人で受け止めなければならなかった、そんな私の気持ちが――」

 身勝手すぎる――未だに山本はそう思っていた。
 これは全て『みるきー』の行動が発端で巻き起こった罵声なのだ。一度の過ちならまだ許されるかもしれないが、二度も。言い訳も出来ない。
 だから『みるきー』の言ってることは、全部言い訳にしか聞こえないし、身勝手すぎるとしか思っていなかった。
 もういい――ちょっと心にもやもやが残るけど、これ以上言い訳は聞きたくない――そう、山本が言いそうになると。



115 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:36:04.90 ID:2xGaNedl0
桜井「・・・そんなことありません。みるきーは私達が守ります」

 乃木坂のキャプテン桜井が、空気を切り裂くように声を出す。

渡辺美「えっ・・・?」

桜井「みるきーは、味方がいない、って思ってるかもしれないけど、そんなことない。みるきーには味方がたくさんいる」

白石「そうだよ・・・そんな一人で抱え込むのは止めて。確かに最初はあまり良い気持ちを抱いてなかったけど」

桜井「でも、みるきーの姿を見てそんな考え方も変わった。みるきーは思い切りマイナスからのスタート、でもそのマイナスを埋めようとして、努力し続けた」

桜井「私は見ていたよ。みるきーが居残りで、過呼吸になりながらダンスを踊っている姿を」

生駒「どんなに疲れていてもブログを更新し、ファンの人達のコメントを全部読んでいたことを・・・もちろん、見たくないことまで書いてあったと思うけど」

桜井「そんな、歯を食いしばりながら、過去を後悔せずに前を向き続けていたみるきーをメンバーは全員見ていた」

 私も、私も――私も――乃木坂のメンバーからそんな温かい言葉がかけられる。



116 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:43:58.94 ID:2xGaNedl0
渡辺美「みんな・・・」

桜井「確かに過去は絶対ついてくるものであって、目を背けてはいけないもの。でも、変えることは絶対出来ないもの・・・だからみるきーは過去から目を背けずに、未来を変えようとしていた」

渡辺美「・・・でも、私が七福神に入ったことによって、れいかさんは・・・」

桜井「私? 私は元々、七福神の器じゃなかったから。というか、みるきーは知らないと思うけど、今回の選抜メンバーには私達全員が納得している」

 乃木坂のメンバーが一人残らず首肯する。

渡辺美「・・・」

桜井「それに言ってたよね。「さや姉、NMBのメンバーには悪いことをした。どうにかして謝りたいけど、今更連絡を取るのも逆に迷惑だと思うし・・・」」

桜井「・・・みるきー、今日謝りにきたんだよね。山本彩さんに、ごめんね、と一言伝えたくて・・・」

渡辺美「・・・」

桜井「こんな別れ方でいいの? 過去は変えることは出来ないけど、未来は変えることが出来る――これから、ずっとNMBの人達とは交流を絶ったままでいいの?」

渡辺美「・・・ううん」



117 :地下アイドル 2012/06/19(火) 20:46:09.19 ID:2xGaNedl0
『みるきー』は首を振り、山本の方を振り返る。

渡辺美「ごめんなさい・・・」

山本「・・・」

渡辺美「私、あれからどうやって謝ろうか、ずっと考えてた。でも怒られると思って、なかなか謝ることが出来なかった・・・ごめんなさい・・・許されないかもしれないけど、迷惑かけました」

山本「・・・そうやな、許すことはできひん」

 山本は言う。

山本「みるきーのせいで、NMBは大迷惑やった。人気のあるみるきーが抜けて、CDの売上も下がり、NMBは一気に落ち目の集団だと言われることになった」

渡辺美「・・・」

山本「過去は変えることはできひん・・・だから、だからみるきー。これから乃木坂46で頑張れ。死ぬ気で頑張って、やっぱりみるきーは凄い、とみんなを見返してくれ」

山本「そうすれば、今まで「あの男を漁っているわるきーがいた集団」という目でNMBを見ていた人にも「あの凄いみるきーがいた集団」と思わせることが出来る」

渡辺美「・・・」



118 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:00:51.91 ID:2xGaNedl0
山本「だから・・・頑張れ。頑張って頑張って、そんな「凄いみるきー」であってくれ。それがNMBにとっても良いことだと思うから」

渡辺美「・・・うん!」

 過去は変えることは出来ない。
 確かに渡辺美優紀は、恋愛禁止条例という仕事上の決まりを破って、たくさんの人を裏切ってきたのかもしれない。
『みるきー』に大量の資金をつぎ込み、19位という順位を与えた人達は二度と戻ってこないかもしれない。
 しかし『みるきー』はまだ諦めなかった。いや諦めることは出来なかった。アイドル界で一番になる、という夢を――。
 だから『みるきー』は過去を振り返らずに、未来に向けて頑張ることにした。

スタッフ「あのー、AKBと乃木坂のみなさん? そろそろ本番始まるので、早く来てくださーい。後、5分で始まりますよ?」

高橋「いけない・・・よし、みんな急いでスタジオに行くぞ!」

 今まで緊迫していた空気が一気に解凍される。

仲川「よーし、はるか頑張るよー」

大島「頑張るぜー」

高橋「さや姉・・・行くぞ」

山本「・・・はい!」



119 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:03:04.59 ID:2xGaNedl0
 ~生放送、本番にて~

司会「では、次は乃木坂46のみなさんで3枚目の新曲をテレビ初披露してもらいましょう!」

 曲が開始され、生駒をセンターに『みるきー』等が脇を固めるポジション。
 そんな時、何処かで――超絶可愛い、みるきー――というコールが聞こえた。
 それは『みるきー』の聞き間違いだったのかもしれない。
 しかし『みるきー』には確かに聞こえた。
 確かに、自分のことを応援してくれるファンの声援を。



120 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:05:52.65 ID:2xGaNedl0
 ■ずっとずっと反省会■

山本「じゃあ、大阪に帰るね」

渡辺美「ホントにごめん・・・」

山本「もう謝らんといてや、もう怒ってないから」

 場所は変わって東京駅。
 山本は番組の収録も終わり、公演のため大阪に帰ろうとしていた。
 それを見送りに来た『みるきー』。

渡辺美「・・・」

山本「じゃあ、私はもう行くな・・・」

渡辺美「あっ、ちょっと待って!」
 
『みるきー』は自分のバッグからある物を取り出した。

山本「これは・・・」

渡辺美「私にはもう必要ないから・・・」

 バッグから取り出し山本に渡したのは一枚のCD。

山本「オーマイガー・・・」



121 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:09:57.95 ID:2xGaNedl0
渡辺美「・・・あの時、東京へ行く私のためにさや姉はこのCDを渡してくれた。私が選抜から外された、NMB48二枚目のシングル『オーマイガー!』――私はこの曲が嫌いやった」

山本「・・・」

渡辺美「だって、私が悪いことはいえ、センターどころか選抜から外されてしまったから・・・見たくなかった。でも、48グループをクビになった時、それを見つけた」

渡辺美「・・・私頑張るよ・・・もうあんな思いはしたくない。なんやって、私は負けず嫌いやから」

山本「・・・うん・・・それじゃあ、もう行くね・・・そうや!」

 今度は山本が自分のバッグからあるものを取り出す。

山本「これ・・・」

渡辺美「これは・・・」

山本「うん、NMB48の『ナギイチ』――私、この曲が一番好きなんや。何故ならみるきーとNMBのメンバーとして、最後に一緒に踊って歌った曲やから」

渡辺美「私も・・・この曲が一番好き!」

山本「だから、もし、乃木坂46の渡辺美優紀です、と胸を張って言える時になったら返して欲しい。それまでなくさんといてな!」

渡辺美「・・・うん、ありがとう!」

 手を振り、二人は背中合わせに別れた。
 ――こうして渡辺美優紀の物語は終わる。
 これは一人の恋愛禁止条例を破った少女の物語である。そして、新天地で過去を後悔せずに頑張り続ける一人の少女の物語である。
 ナギイチのジャケットでは山本彩と渡辺美優紀の楽しそうな笑顔が写っていた。



122 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:14:27.00 ID:2xGaNedl0
■初日■

 浦野一美、平嶋夏海、渡辺麻友、柏木由紀、多田愛華、佐伯美香――そして仲川遥香。
 ほんの一部であるが、このメンバーの名前を聞いて一体、何を思い浮かべるだろうか。
 今挙げたメンバー、組閣以前のチームB――通称旧チームBの中心メンバーである。
 当時、チームBは出来たばかりで最弱と言われ、所謂「二軍」というイメージを払拭できずにいた。
 しかし、彼女達は頑張り続け、とうとう3rd公演にて「パジャマドライブ」というオリジナル公演を手にすることになる。
 その公演で、最初の曲が「初日」という曲でこれは今まで頑張り続けて、ようやくオリジナル公演の「初日」を迎えるメンバー達の心情を歌った曲だと言われる。



123 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:18:11.79 ID:2xGaNedl0
 怪我をして休んだ時、悔しくて泣いた日もある――これは、当時怪我をして、舞台裏で泣いていた渡辺麻友の涙である。
 学校とレッスンの両立に諦めた日もある――これは、当時普通の公立高校に通っていて、一度は止めようとした平嶋夏海の魂である。
 そんな旧チームBの代表曲である「初日」は、ファン達が選ぶリクエストアワーセットリストベスト100にて、一位を獲得する。
 そんな、物語性に溢れた曲であるが、この曲をチームBのメンバーとして殆ど歌えなかった一人の少女がいる。
 彼女は当時にはなかったと推測される「恋愛禁止条例」を破り、オリジナル公演が出来てから、半年も経たない間に解雇されてしまった。
 当時の彼女は渡辺麻友の次くらいに人気があると言われ、言うなれば旧チームBの中心メンバーとしてこの曲を歌うはずであった。
 そんな自業自得とはいえ、不幸な少女の名前は――。



124 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:27:28.42 ID:2xGaNedl0
 ■愛すべきバカ■

仲川「きくぢー」

菊地「ん? 何、はるごん」

 菊地は振り向いてそう返すが、仲川は不機嫌そうな顔になり。

仲川「きくぢ。はるごんじゃないよ、は――」

菊地「はいはい、分かった、はるかはるか。はるかさん、何?」

仲川「一週間後に迫ったクリスマスだけど――彼に誘われちゃった」

 声を弾ませながら仲川は言う。

菊地「・・・そう」

仲川「もう、これってチャンスだよね? 夜景が見える、高級レストランで食事することになったし――もしかしたらプロポーズされるかも」

菊地「そうだね」
 
 仲川とその男の結婚は秒読みであった。
 夏くらいから交際を続けて、そろそろ半年――少し早いかもしれないが、クリスマスにレストラン――仲川が結婚を期待するのも無理はない話であった。
 デートになると走り回って、男を疲れさす仲川であったが、どうやら男はそんな仲川の無邪気なところに惹かれたらしい。交際はあれから順調に進んでいた。



125 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:36:26.38 ID:2xGaNedl0
菊地(それにしても・・・)

菊地「はるご・・・はるか、はるかはそれで良いの?」

仲川「どういうこと?」

菊地「いや、何でもない・・・」

 そう言って溜息をつく。
 この子は一体何処に向かっているんだ――。
 そう思うのは菊地だけではない。大半のメンバーがそう思っていたが「まあ、はるごんだから」と諦めていた。

菊地「・・・」

仲川「きくぢ! 応援してね。結婚式には絶対呼ぶから」

菊地「・・・うん」

 私の気持ちも分かって欲しい――そう思わざるを得ない菊地であった。



126 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:41:40.49 ID:2xGaNedl0
 ■愛は羽を失った飛べない鳥■

篠田「はるごん、別れた!?」

仲川「別れてないよー。一週間後に迫ったクリスマスに誘われちゃった。夜景の見えるレストランで食事みたいだし・・・はるか、期待していいのかな!?」

篠田「ちっ・・・せいぜい、頑張りな(やばいやばいやばいやばい)」

高橋(麻里子様・・・焦りすぎて、何だかよく分からない感じになっている):

 仲川の婚活は上手くいっているらしい。
 まさか、ここまで急ピッチに物事が進められるとは思わなかった。世の婚活事情がどうなっているのか、高橋には知り得ないが、半年でプロポーズを受けるかもしれないとは――、一般的に見て早いだろう。

高橋(これで良いのだろうか――)

 当然、良くないとは思うが、あまりにも仲川がぶっ飛びすぎてメンバー達は「はるごんだし、良いんじゃない?」という反応で、まともに向き合おうとはしない。
 特に年齢の高い、篠田と小嶋は毎日毎日、やけ酒をしているらしく、肌の調子が最近劣化している。

光宗「たかみなさん・・・ちょっと、ダンスの振り付けが分からないところあるので、教えて欲しいんですが・・・」



127 :地下アイドル 2012/06/19(火) 21:51:31.31 ID:2xGaNedl0
高橋「おっ、分かった」

 あれから――前田敦子は8月に卒業し、指原はHKTに飛ばされるとあって、代わりに光宗と平田がチームAに昇格した。
 前田にいたってはソロで番組にもよく出演しており、前田を見ない日はなく(本人は将来的にはペットショップになりたい、と言っていた)、
 指原にいたってはたまに電話で相談を受けたりしていたが――まあ、元気にやっているらしい。

光宗「それにしても、はるごんさん・・・本当に結婚するんでしょうか?」

高橋「分からん。まあ、はるごんのことははるごんに任せよう。もう一応、大人だし・・・」

光宗「・・・何でみんな突っ込まないのか、非常に疑問なんですが、これってバレたらスキャンダルですよね。何でマスコミにバレてないんですか?」

高橋「さあ? マスコミ的にも順位が低いはるごんのスキャンダルよりも、他の話題を探しているんじゃないか?」

 運が良い――といっては何だが、仲川と男が頻繁にデートを重ねている時、『みるきー』の事件があり、世間の関心はそっちに向かった。



128 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:19:28.95 ID:2xGaNedl0

高橋(まあ、結婚したら、いずれはバレるんだろうけど・・・)

仲川「たかみな!」

 高橋が雑談も交えながら、光宗にダンスを教えている場に仲川登場。

仲川「結婚式、誰呼んだらいいかな・・・もちろん、たかみなは呼ぶけど、やっぱり全員呼んだら入りきらないだろうし・・・」

高橋「・・・はあ、はるごんの好きな人、呼んだらどう? まあ、チームAは全員招待して・・・」

仲川「じゃあ、あっちゃんはもちろんで、麻里子様とこじはるさんと・・・」

高橋「悪いことは言わん。その二人は止めとけ」

仲川「えっ? 何で? じゃあ、シンディ呼ぶ!」

高橋「余計、止めとけ!」

 仲川は首を傾げるが、全てを説明する気にはなれない。

仲川「? まあ、いいや。じゃあ、結婚式楽しみにしといてね!」

高橋「お、おう」

 頭上に音符マークが踊っている仲川は、そう言って何処かに走り去ってしまった。



129 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:22:42.98 ID:2xGaNedl0
高橋(・・・はあ)

光宗「・・・それにしても、大丈夫でしょうか、はるごんさん。このまま変な方向に進んで・・・例えば、昔々AKBにいた、な・・・」

高橋「その名前は出すな」

 高橋の一変した声に、光宗は申し訳なさそうな顔になり。

光宗「すみません・・・少し軽率でした」

高橋「いや・・・私も、ちょっと怒鳴ってごめん。勘違いしないでね、別に怒ったわけじゃないから」

 光宗が名前を出しそうになった人物。これはAKBの裏の歴史の代表であり、その上でAKBの歴史を語る上では切っても切れない存在である。
 しかしその人物は、裏の歴史であるが上、語るのはまだ先のようだ。

高橋(はるごん・・・大丈夫だろうか)

 自然と溜息が溢れる高橋であった。



130 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:24:39.38 ID:2xGaNedl0
 ■楽しいのは■

○○「うんうん・・・はるごんが・・・」

××「うん。やっぱり食い止められない。デートが明日に迫ってて、何度男に警告のメールを送っても、全部無視される」

○○「はるごんに直接言っても、無理なの?」

××「・・・それとなくは警告してるけど、その度に「はるかは大人になるのです」とか、訳の分からないことを言われる」

○○「そう・・・」

××「プロポーズを成立させてしまったら、後はもうトントン拍子・・・明日が最後のチャンスだと思う」

○○「うんうん」

××「だから、私、明日はるごんの尾行してみようと思う。これは、もしあの二人が変なことをしたら止めるため。もう一つは、まだ止める術はあるかもしれないから・・・」

○○「それがいいかもね・・・はるごんは、言うなれば夢。指原も問題を起こし、ボロボロになった旧チームBの希望の欠片。そんな子を簡単に潰させるわけにはいかない」

××「・・・うん」

○○「まあ、私も人のこと言えないけど・・・じゃあ、頑張ってね、××。決して尾行バレたら駄目だよ。全部が台無しになるから」

××「分かった。じゃあ、切るね」

○○「うん、バイバイ」



131 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:25:47.57 ID:2xGaNedl0
 ■キャプテンとエース■

仲川「あっ、おはよー」

 ――時刻はもう18時を過ぎようとしているのに、男に対して「おはよう」と声をかける仲川。
 業界人っぽい仲川であった。

??「??りん。やっぱバレるよ・・・今回は店の中まで浸入するって」

??「大丈夫、だいじょーぶ! バレないって、?ゆゆ。はるごん、結婚前の最後のデートになるかもしれないから、心配でしょ?」

??「まあ、心配なことは心配だけど・・・」

??「というわけで・・・」

 今日も真っ黒の衣装に身を包んだ少女が。

柏木「今回も私、柏木由紀と!」

渡辺「渡辺麻友で、仲川遥香クリスマスデートの様子を中継させてもらいます。もちろん、尾行で」



132 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:27:26.91 ID:2xGaNedl0
 誰に説明することもなく、アイドルスマイルで自己紹介をする二人。

柏木「バレないって! ほら、バレないように、夜に溶け込むように黒の服着てきたし」

渡辺「いつも着てるでしょ、それ・・・」

柏木「うるさーい! あっ、はるごん動き出したよ。早く追いかけないと」

渡辺「うん・・・」

 あまり乗り気でないように見える渡辺であるが、実は柏木より面白がっている自信があるのであった。
 折角のクリスマスであるが、そんな夜に柏木と一緒に過ごすのも悪くない――そんなことを思い始めている。

柏木「あっ、18時に予約していた桜木です」

店員「お待ちしていました」

柏木「・・・前から約束していた通り、席は・・・」

店員「はい、こちらになります」

 店内に入り、柏木と渡辺が案内された席は、こちらからは仲川と男の様子が見える席。
 そして仲川と男からは柱に隠れて、ちょうど柏木達の様子が見えない席であった。



133 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:29:46.26 ID:2xGaNedl0
柏木「よし、準備満タン! とにかく、お腹減ったし料理頼もっ」

渡辺「ゆきりん・・・この、海老と唐辛子のソテーって何? というかメニューが全部、呪文にしか見えないよ・・・」

柏木「うーん、よく分かんないけど、海老と唐辛子のソテー頼もうか・・・すみませーん、店員さん!」

 柏木が料理を注文し、しばらくして「海老と唐辛子のソテー」が運ばれてきた。

渡辺「うわ・・・真っ赤。明かに嫌な予感するけど」

柏木「大丈夫! いただきます!」

 躊躇なく柏木が料理を口に運ぶと・・・。

柏木「辛―い! 辛い辛い辛い!」

 と立ち上がり、両手をバタバタとさせ「激辛ダンス」を披露した。

渡辺「ゆきりん! バレるって。もう少し静かにしよっ」

柏木「水水・・・あっ、ごめん」



134 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:36:10.61 ID:2xGaNedl0
 いつも柏木がお母さんのような役割をしているのだが、今回は渡辺がおかあさんのような役割をしていた。

柏木「モグモグ・・・うーん、話の内容まではやっぱり聞こえないね」

渡辺「うん・・・」

 ――たまに仲川の方に視線を移すが、基本的には料理に集中する二人。
 2,3時間経過してからであろうか、その時。

渡辺「あっ、男の人。指輪みたいなの取り出したよ!」

柏木「ホントだ・・・やっぱり、プロポーズだ!」

 一気にテンションが上がる二人。
 仲川は両手に口を当て、満面の笑みを浮かべている。

渡辺「やっぱり、はるごん嬉しそうだね」

柏木「そりゃそうだよ。あれだけ、男の人の話してたんだから。嬉しくないわけないよ」

渡辺「・・・はるごん、遠くにいっちゃわないかな」



135 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:41:16.40 ID:2xGaNedl0
 結婚。
 AKBの現役メンバーの中で初の結婚(当たり前だが)。
 大人になりたい、と当初は意味の分からない動機から始まった仲川の婚活であったが、事態は佳境を迎えている。
 子どもみたいな仲川。いつも泣いていた仲川。走り回っていた仲川――そして、どんなことにも諦めなかった仲川。
 そんな仲川が、今結婚しようとしている。
 その光景に、一抹の寂しさを覚えるのも無理はない話であった。

柏木「・・・大丈夫。はるごんは結婚するだけで、決して私達から遠くへ行ったりしないよ。はるごんは大丈夫」

渡辺「・・・うん、そうだよね!」

 男の人が仲川に指輪をはめようとした――。
 瞬間。

??「ちょっと、待ったー!」



136 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:42:28.03 ID:2xGaNedl0
 柏木と渡辺は一瞬、公演をしていると錯覚してしまった。
 それ程、声の通った――レストランの人達が全員、声のする方向に振り向くような大声。
 仲川と男の前には一人の少女が仁王立ちしていた。

柏木「あれは・・・」

菊地「はるごん! やっぱ駄目! 結婚なんか、絶対しちゃダメだよ!」

渡辺「あやりん・・・」

 ――そう、菊地あやかが仲川と男の前に立っている。

仲川「きくぢ・・・何しに来たの?」

菊地「はるごんの結婚を止めに来た」

仲川「はぁ?」

菊地「とにかく! 結婚なんて絶対ダメ! 私が許さないんだから!」

店員「お客様・・・申し訳ございませんが、他のお客様の迷惑になりますので・・・」

菊地「・・・ここじゃ迷惑だから、外に出よ」



137 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:43:38.70 ID:2xGaNedl0
 そう言って、出口へ向かって歩き出す菊地。

男「・・・仲川さん。あの人、AKBの人ですよね」

仲川「・・・」

男「それにしても失礼すぎる。仲川さん、あの人の言う通りにする必要はありませんよ。食事を続け」

仲川「きくぢは」

 仲川は男の言葉を無視してすっと立ち上がり。

仲川「大切な仲間だから・・・」

 菊地の後を追うように歩き出した。

柏木「まゆゆ、私達も追いかけるよ!」

渡辺「うん! それにしても、あやりん何で・・・」

 渡辺の頭の中にはたくさんの疑問が浮かんだが、ひとまず飲み込み菊地と仲川を追いかけた。



138 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:52:38.77 ID:5Qn1EmkN0
菊地△
仲川△



139 :地下アイドル 2012/06/19(火) 22:58:54.93 ID:dtV0QL2k0
男の名前は出ないんだな
適当にりんたろうとかにしとけばいいのに



140 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:00:24.86 ID:2xGaNedl0
 ■私はあなたを愛すのみ2■

仲川「・・・きくぢ、何しに来たの? 結婚止めにきたって。私、きくぢに何言われようか結婚するつもりだから」

菊地「はるごん・・・」

 ――場所はレストランから少し離れた公園。
 といっても、鉄棒や滑り台などの遊具がある公園ではなく、ベンチがありカップルも多いような公園。
 そんな場所で菊地と仲川は対面していた。
 そして仲川達を見守っている男と――。

仲川「というか、何でゆきりんとまゆゆも!?」

柏木「偶然偶然! 偶然、おんなじ場所で食事してただけ!」

渡辺「そうそう! いやー、ビックリしたなー(棒)」

仲川「・・・まあ、いいや」



141 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:01:56.79 ID:2xGaNedl0
 納得していない表情であったが、何とか誤魔化せたようだ。ほっと胸をなで下ろす柏木。

菊地「はるごん・・・本当に結婚するの?」

仲川「きくぢは分かってるでしょ? 私は大人になるのです。そして、幸せな家庭を築くのです」

菊地「AKBはどうするの!? ファンの人は悲しむよ」

仲川「――知らないよ――」

 そう男の方を振り向いて言う。

仲川「それにファンの人達だって分かってくれるはず。はるかを幸せにしてくれる人なら別にいっか。って。はるかも年頃の女の子だし、恋愛しても別に問題が――」

菊地「問題あるよ! こんなことで、今までの頑張り全て無駄にしっちゃってもいいの?」

 声を張り上げる菊地。

仲川「無駄になんかならないよ・・・」



142 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:03:29.62 ID:2xGaNedl0
菊地「いーや、全部無駄になる! はるごんは分かってない!」

仲川「はるごんじゃない! はるか!」

菊地「うるさい! ・・・もし、これがファンの人に見付かったら、大パッシングを受ける」

仲川「それはそうだけど・・・だからって、今までの頑張りが全て無駄になるわけじゃ」

菊地「2006年12月――私は、少しお休みを挟んだけど、3期生の私達がデビューしてからちょうど6年が経つ。その6年間、色々な思い出が詰まっている」

 菊地は柏木と渡辺の方を一瞥し、すぐに仲川の方に視線を戻した。

菊地「厳しいレッスンの連続だった。チームA、チームKの先輩達と比べて、私達は年齢も若くダンスの経験もなかったため、練習は熾烈なものとなっていた」

菊地「怪我をして休んだとき、悔しくて泣いた日もある――これは、まゆゆの涙。学校とレッスンの両立に諦めた日もある――これは、なっちゃんの魂」

菊地「そして、一人だけ踊れずに帰り道泣いた日もある――これは、はるごんの悔しさ――こんな日々を忘れたの? 先輩達に負けないように、頑張った日々を忘れたの?」

仲川「それとこれとは話がつながらな」



143 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:06:59.16 ID:2xGaNedl0
菊地「リクエストアワーベスト100。2009年、私達旧チームBの代表曲である「初日」が見事1位を収めた。でも、私はそれをあの壇上で踊ることが出来なかった」

仲川「・・・」

菊地「私はあまりの、悔しさ、というか自分の不甲斐なさに泣いた。あんなことしてなければ、今頃私もこの壇上で笑顔で踊ることが出来たのに――本当に本当に、過去の自分を後悔した」

菊地「・・・恋愛禁止条例を敷いているAKBにとって、恋愛とは致命的なスキャンダルとなり、恋愛とは過去の練習を全て否定することになる」

仲川「でも、でもさ!」

 仲川は焦っているのか、少し声量を上げて続ける。

仲川「私のやっていることは間違いだとは思わない! 私は大人になるために婚活を始めた・・・だけど、今は男さんは私のことを幸せにしてくれると思っている」

仲川「恋愛禁止条例は破っていることになるけど、ファンの人達は私の幸福を祈ってくれる。きっと、誠心誠意説明したら」

菊地「・・・はるごんが、そこまで言うならもう止めない。けど・・・恋愛禁止を破った際、最適な対応というものは存在しない」

仲川「えっ・・・」



144 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:13:14.93 ID:2xGaNedl0
菊地「指原の例を見てよ。今まで指原は頑張ってきた、ヘタレで根性がなくても、歯を食いしばって頑張ってきた――これは事実。でも、過去の恋愛スキャンダルが暴かれて一気に変わった」

菊地「ファンの人達は、過去の指原の努力も否定した。努力していたことは事実なのに、その事実は全て嘘にすり替わった・・・これが良いことか悪いことかはともかく、これが現実」

仲川「でも・・・」

菊地「私・・・私も、あの事件があった時、過去の努力の全てを否定された」

 菊地は苦しそうに続ける。

菊地「・・・私は誰にも負けないくらい、努力してきた。でも、その努力が全てぱー。最初から存在しなかったものと扱われ、0からのスタートとなった」

仲川「・・・」

菊地「いや、0からのスタートどころか、マイナスからのスタートだった。選挙では圏外ばかり、やっと圏内に入れたのは4回目の総選挙・・・AKBにとって恋愛とはそういうもの・・・」

仲川「・・・分かってる、分かってるよ」

菊地「分かってないよ!」

仲川「分かってるよ! 私は旧チームBできくぢの姿を見てきた。きくぢがどういう目に遭ったのかも全部見てきた!」

仲川「でも! 私と同じくらいの年齢の子は、恋愛して楽しんでいる。人生は一回きり、何で一番恋愛したい年頃に、女の子が恋愛しちゃ駄目なの。可笑しいよ、そんなの・・・」

菊地「・・・はるごんがそこまで言うなら、分かった。じゃあ、辞めろ」



145 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:20:23.67 ID:2xGaNedl0
仲川「えっ?」

菊地「結婚なんてしたら、絶対週刊誌が新聞にバレる。そうなったら、流石にはるごんはクビになる・・・クビになる前にAKB辞めろ。それが一番、傷口が少なくなる方法だから」

仲川「そんなの・・・」

柏木「・・・菊地だったのね。今まではるごんと男の人の恋愛を邪魔してたのは」

 菊地と仲川が話し合う――いや、喧嘩しているところに口を挟む柏木。

菊地「・・・」

柏木「そう、あの遊園地だって、ミッ●ーの被り物をして、はるごんにプリクラ機の故障だって伝えたのは菊地だったんだね。そして、あの帰りの道で男の人に何かを言った男――あれも、菊地だったんだね」

渡辺「騙された・・・胸がないから、男の人って勘違いしてしまった・・・だって、あやりんは最初から胸が」

菊地「私は・・・」



146 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:24:05.85 ID:2xGaNedl0
 菊地は続ける。

菊地「私は・・・旧チームBの絆を潰したくなかった。旧チームBのメンバーは、もう残り少なくなっている。なっちゃん、米ちゃん、美香ちぃ、みきポム、シンディ・・・」

菊地「これは、ほんの一部だけど、辞めた人は決して良い辞め方をしたとは言えない」

菊地「最強チーム、旧チームB。いや、あの努力だけは決して他のチームだけに負けない・・・そして今回、指原。今、旧チームBは崩壊の危機にある。過去の努力が全て否定されようとしている」

仲川「そんな大げさな・・・」

菊地「鏡の中のジャンヌダルク――これは元々、私がセンターだったけど、私が恋愛見付かってクビになってから、誰が代わりに務めたと思う?」



147 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:28:56.90 ID:2xGaNedl0
仲川「さっしー・・・」

菊地「そう――指原がいつ恋愛してたのかは分からない。けど、どうやらこの旧チームBに所属していた時期かと思われる」

菊地「今、旧チームBは崩壊の危機にある。あまりにも問題者が多すぎて、あの頃旧チームBは恋愛してた奴ばっかりじゃないのか、そんな目で見られている」

菊地「・・・はるごんは、旧チームB、3期生の希望の欠片・・・もちろん、ゆきりんもまゆゆもだけど、私はそんな子に変な辞め方して欲しくない」

仲川「で、でも! もしかしたら、結婚してもバレないかも! 結婚してもバレずにAKB続けられるかも!」

菊地「・・・待ってたんだよ、君の帰りを」

仲川「えっ?」



148 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:31:59.97 ID:9DqrP5SKO
仲川「えーまずそのーリズムパターンに於いて、もちろん、

ハットと、キックとスネアで、

ベージュが織り成すギターのリフにこう、絡みつくような、

フィルともリズムパターンともどっちともつかないような、特徴的なリズムパターンを生み出すのが好き。


えー続いて御存知の通りやたらと、シングル、シングルバスドラで、26の癖に途轍もない速さで足がよく動く。


そこらへんも絡みつつそのフレーズの構成自体が3連符であったり6連符であったり、また1拍半フレーズが非常に好き。


えー、ここら辺が大体、ボンゾの好みなんではないかと遥香は見ている。そこらへんのフレーズを、いくつか実際に演奏してみたいと思う!」



149 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:33:05.61 ID:2xGaNedl0
菊地「私が恋愛をして、辞めさせられて、もう一度AKBに渡り廊下走り隊に戻ってきた時、はるごんは私にそう言ってくれたよね? 決して歓迎出来ない私に、そんな優しい言葉をかけてくれたよね?」

仲川「・・・」

菊地「私・・・私、はるごんとまだまだAKBを続けたいよ・・・上手く伝えられないかもしれないけど、はるごんの努力をみんなに否定してもらいたくない」

 ――菊地あやか事件。
 それは当時、旧チームBの中心メンバーとして、絶頂期を迎えていた菊地あやかがファンと交際中であることを暴かれ、解雇となってしまった事件。
 普通のメンバーなら、ここで諦めるだろうが――菊地は諦めなかった。菊地は何と7期生のオーディションの参加し、見事合格するのだ。
 しかし、いきなり正規メンバーとして活動できるわけではなく、研究生からのスタート。つまり、ゲームでいうと「はじめから」の状態になってしまったのだ。
 ――恋愛禁止条例。
 そしてAKB、渡り廊下走り隊として戻ってきた時、多田や渡辺が大反対をしていた中で、仲川は「待ってたんだよ、君の帰りを」と言い、菊地を歓迎した。
 それから、菊地は仲川をずっと大切な仲間だと思っていた。もちろん、多田や渡辺も仲間であるが、それ以上に、仲川を大切な仲間だと思っていた。



150 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:35:49.35 ID:dtV0QL2k0
ワロタ復帰にははるごんも反対してたと補足しておく


151 :地下アイドル 2012/06/19(火) 23:46:32.31 ID:2xGaNedl0
仲川「きくぢ・・・」

菊地「ねえ、はるごん、もう一度考え直してみない? 恋愛バレてでも、AKB続けられるっていうのは間違ってるよ。それだけは、しちゃいけない考え方――私が分かる」

仲川「・・・」

菊地「結婚するのは、AKB辞めてからでも良いじゃん・・・私、はるごんと一緒にAKB、そして渡り廊下走り隊として活動したい!」

 誰よりも分かっている、そのつもりだった。
 あの時、あんなことをしていなければ、もしかしたら今回も選抜メンバーに入ることが出来たかもしれない。それくらい力と人気のある子だった。
 だから、恋愛によって、どれだけファンが離れるのかを、菊地は知っていた。
 しかも結婚となって――今までと変わらず、続けられると思うのは甘い甘すぎる考え方のように思えた。



152 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:02:19.61 ID:2xGaNedl0
仲川「・・・分かった・・・」

菊地「はるごん?」

仲川「男さん!」

 仲川は男の方を振り向いて、頭を下げ。

仲川「ごめんなさい・・・私は、まだもう少しAKBを続けたいんです。だから、このプロポーズの返事・・・もう少しだけ、待ってくれませんか?」

男「・・・」

仲川「そして、私がAKBでやり残したことがなくなった時、その時に返事をしたいと思います・・・身勝手だと思います、捨てられるのも仕方ないことだ思います。もし! 良かったらもう少しだけ・・・」

男「・・・私は、仲川さんのそういうところに惹かれてプロポーズしたんです・・・分かりました、少し辛いですが、今回の返事は取り敢えず保留ということで」

仲川「は、はい! ありがとうございます!」

男「なーに、結婚なんていつでも出来ます。だから、今しかやれないことを全力でやってください。その時に、返事を聞きたいと思います」

柏木(この人・・・)



153 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:03:10.32 ID:2xGaNedl0
 あまりにもイケメンすぎる。
 というかこんな人を射止めるなんて――少し羨ましくなるような気がする柏木であった。

柏木「とにかーく! 一件落着ね!」

仲川「ゆきりん!」

渡辺「はるごん。渡り廊下走り隊としても頑張っていこうね! 何か、変なおばちゃんがセンター狙ってるらしいし」

仲川「うん! まゆゆ」

菊地「男さん・・・本当にすみません・・・実は、薄々気付いていると思いますが、別れるように警告メールを送ったのも全部私です」

男「・・・良いですよ。それにしても、本当に仲川さんは良い友達を持った。羨ましいばかりです」

仲川「男さん! 違うよ!」

 最後に仲川はこう言う。

仲川「きくぢは友達じゃない! 仲間! 共に助け合って前に進む仲間!」



154 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:03:53.46 ID:2xGaNedl0
 ■蛇足なのは■

○○「そう・・・はるごんの結婚はひとまず、保留ってこと」

菊地「うん、まさかゆきりんとまゆゆも尾行しているとは思わなかったけど・・・とにかくハッピーエンド? ってことかな」

○○「男の人の凄い良い人だったね。普通、怒るよ」

菊地「うん・・・それも好材料だった、っていうことで」

○○「とにかく、ボロボロで死に体の旧チームB・・・何とかなったかな、お疲れ様、あやりん」



155 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:04:37.40 ID:2xGaNedl0
菊地「・・・○○はこれからどうするつもりなの? そもそも私がはるごんと男の人の結婚を邪魔しようとしたのは――」

○○「私? 私はもう戻れないから・・・そうだね、専門学校通いながら花嫁修業、かな?」

菊地「そう・・・頑張ってね」

○○「ありがとう、あやりん」

菊地「それじゃあ、バイバイ」

○○「うん、バイバイ」

○○(ひとまず、良かった・・・)

 穏やかな表情のまま、そっと菊地からの電話をきる――平嶋夏海。
 奇しくも、一人だけ踊れなかった仲川にダンスを教えていた張本人であった。



156 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:05:16.00 ID:2xGaNedl0
 ■叶わないこの恋を、許してね■

高橋「あっ、久しぶり」

 高橋みなみは、とある喫茶店に来ていた。
 都内で仕事を退職した夫婦が、ひっそりとやっている喫茶店。だからかもしれない、客は高橋しかいなかった。
 そんな喫茶店に入ってくる一人の女性。その女性に高橋は手を振った。

??「久しぶり」

高橋「・・・久しぶりだね、りなてぃん」



157 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:05:51.40 ID:0b98pqLh0
 そう――喫茶店に来た女性は中西里菜。
 AKBで不幸の歴史を歩み、不幸を受け止めた一人の女性である。
 そして高橋みなみの大親友でもある。

中西「よいしょ・・・あっ、かなり遅れちゃったけど、6位おめでと。メールでも言ったと思うけど」

高橋「ありがと・・・それで、話って何? りなてぃんから呼び出すって、珍しい――」

中西「・・・大体、分かってるでしょ。これ」

 そう言って、中西はバッグから新聞を取り出し高橋の前に広げた。

高橋「・・・」

中西「仲川遥香、熱愛発覚・・・これってどういうこと?」



158 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:07:17.65 ID:2xGaNedl0
>>1です。
 
本当に申し訳ないんですが、明日も早いので今日はこれで終わりにします。
多分、明日は深夜に投稿すると思います・・・本当にすみません。
なお、明日で最後まで投稿するつもりです。

では。



159 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:08:37.45 ID:YC22ycfO0
乙!


160 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:13:22.93 ID:rJYck0iq0
乙!
色々なメンバー出て来るしサイドストーリーも面白い。
あとは自分の推しが出てくればOK
頑張ってください。



161 :地下アイドル 2012/06/20(水) 00:36:06.17 ID:C/MwbnDf0
旧B好きとしてはたまらんわ
NMBが絡んでたのも面白い



162 :地下アイドル 2012/06/20(水) 01:56:57.41 ID:0Ew52Vl8O
保守


163 :地下アイドル 2012/06/20(水) 04:43:01.07 ID:01ZHC+2I0



164 :地下アイドル 2012/06/20(水) 06:57:25.29 ID:ngvHjF320
3期みんな出てきてほしいな


165 :地下アイドル 2012/06/20(水) 08:06:49.71 ID:YzlVKxQ10
出かける前に上げ


166 :地下アイドル 2012/06/20(水) 09:31:08.99 ID:ivFnWIYa0
てs


167 :地下アイドル 2012/06/20(水) 10:27:12.03 ID:C/MwbnDf0
はるか保守


168 :地下アイドル 2012/06/20(水) 12:28:21.77 ID:2Igry/yL0
保守


169 :地下アイドル 2012/06/20(水) 15:05:41.87 ID:YC22ycfO0
ほす


170 :地下アイドル 2012/06/20(水) 19:22:43.38 ID:YC22ycfO0
へい


171 :地下アイドル 2012/06/20(水) 21:22:03.01 ID:YzlVKxQ10
あげとこか


172 :地下アイドル 2012/06/20(水) 21:43:20.33 ID:+FFPVX7A0
あげあげ
これ読むと菊地ってすごいと実感する



173 :地下アイドル 2012/06/20(水) 21:52:48.45 ID:mCc56xJG0
みるきーはぶっ倒れるまでダンスの練習をしたのに、そのあと男と密会したのですか
体力ありますね
密会したってうそでしょ



174 :地下アイドル 2012/06/20(水) 23:16:53.46 ID:e1jp+Ao6O
どうなったん


175 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:11:53.40 ID:Z2esNjKE0
はよ!


176 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:34:38.45 ID:c2x894230
>>1です。
遅くなりました、すみません。
なお、ここからストーリーの関係上、中西里菜さんのキャラ崩壊が著しいのでご了承ください。


 ――流石に一目のつくレストランで、二人食事していたのはまずかったらしい。
 しかも菊地の阿呆が、大声を上げて仲川のことを「はるごん!」って言っちゃうから、こうなった。

高橋「話の通り・・・まあ、もう別れた・・・というか、保留にしてもらっているわけで、実質上別れた形になっているだけらしいけどね」

中西「・・・私は偉そうなことを言えない。けど、現実なら語ることが出来る。AKB48の恋愛禁止条例の現実をね」

高橋「・・・」

中西「まず、AKBにとって恋愛とはどういう意味を持つのか、それを少し喋らせてもらおうかな」

 そう言って、中西はゆっくり口を開いた。



177 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:42:53.58 ID:c2x894230
 ■握手の数だけ強くなれるね■

 ――明かに仲川は憔悴しきっていた。
「仲川、熱愛発覚」という記事が新聞上を踊ってから、仲川は殆ど寝ていない。目の下にはクマが出来、歩く時にも足が覚束ない。

渡辺(はるごん・・・)

 ギリギリのところで仲川の結婚を食い止めることが出来たが、やはり人がたくさんいるレストランで「はるごん!」と叫んだことが駄目だったらしい。
 やはり菊地は格好良いことをしようが、菊地だな。と渡辺は思った。

渡辺「はるごん・・・そろそろ時間だよ。行かなきゃ」

仲川「行きたくない・・・」

渡辺「よくないよ! 握手するの嫌だって、気持ちは分かるけど、折角ファンの人達が来てくれたんだから! ここまで来て中止なんて」

仲川「・・・」



178 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:46:59.29 ID:c2x894230
 あの事件があってから、仲川の処分は保留となっている。
 そしてまた運営は何を考えているか分からないが、仲川をそのまま握手会に参加させることにした。

渡辺(なっちゃん、よねちゃん、さっしー・・・この3人も、恋愛が発覚してから握手をしたが・・・果たして今回はどうなるんだろ)

浦野「仲川遥香!」

 部屋の隅で座っていた仲川の腕を掴んで、無理矢理経たせる浦野。

浦野「早く行くよ! ファンの人達が待ってるよ!」

仲川「う、うん・・・」

 仲川の背中を叩き、送り出す浦野。

小森「流石、シンディさんですね。格好いいです」

浦野「いやー、私も渡り廊下走り隊のメンバーだしね・・・やっぱり、はるごんには頑張ってもらいたいし」

渡辺(ざんでぃーのくせに、この人は何でこんな偉そうなんだ)



179 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:49:27.51 ID:c2x894230
 ■恋愛禁止条例■

中西「シュレティンガーの猫、ってたかみなは知ってる?」

高橋「いや・・・」

中西「私も頭良くないから、あんまり知らないんだけどね。シュレティンガーの猫っていうのは、量子力学の話なんだけどね、例えば箱の中に一匹の猫がいるとするじゃん」

 中西はレモンティーを口に運びながら続ける。

中西「その箱は中を開けるまで、決して中の様子を見ることが出来ない。そしてその箱を開ける前に、二分の一で箱の中に毒ガスが発生するボタンを押すとする」

高橋「・・・」

中西「その毒ガスで可哀相に、猫は必ず死ぬんだけど――二分の一の確立でしか、毒ガスが発生しないから、箱を開けるまでは猫が生きているか死んでいるかは分からない。

中西「箱を開けないと、猫がどうなっているか分かんないからね。つまり開けるまでは、箱の中では【生きている猫】と【死んでいる猫】の二つが存在することになる。これがシュレティンガーの猫、っていう奴」



180 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:51:40.39 ID:c2x894230
高橋「そんなの、詭弁だよ。だって、何で一匹の猫なのに、そんな生きている猫と死んでいる猫の両方が存在することになってるの? 毒ガスで分裂するわけじゃ、あるまいし」

中西「ここが、話のミソ。つまり、猫の生死は観測者によって決定するわけ。ここでAKBの恋愛の話が持ち上がってくる」

高橋「どういう・・・」

中西「例えば、とあるメンバーが恋愛しているとする。そのメンバーがバレないように恋愛をしていたとして、ファンの前でも「付き合ったことがない」と言っている」

中西「こうなると、ファンという観測者はメンバーが付き合ってない、と判断する。しかし、実際はメンバーは男と恋愛しているわけ・・・つまり箱を開けるまで、恋愛しているのかしていないのか分からない」

高橋「・・・」

中西「ファンの人達、観測者はそんなあやふやな存在を愛している。箱を開けるまで、決して恋愛しているかしていないのか、分からないアイドルという曖昧なものを応援する」

高橋「それと、シュティッガーの猫? とどういう関係があるの?」



181 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:52:39.66 ID:c2x894230
中西「・・・私が言いたいのは、バレなけりゃ恋愛なんて問題にならないわけ。恋愛だけじゃない。この世の法律に「してはいけない」という決まりはなく、「したらこうなる」という決まりはある」

高橋「・・・?」

中西「恋愛禁止条例――箱を開けるまでは、恋愛をしているかしていないか、分からないんだから、恋愛していたとしてもファンの人に箱を開けさせなければいい」

中西「それがアイドル・・・つまり、極論だけど、アイドルは恋愛をしても何の問題もない」

 レモンティーがなくなり、中西は店主にお代わりを要求する。



182 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:53:26.49 ID:c2x894230
 ■人は誰も一生の内、何回愛せるのだろうか■

 ――握手会はやはり大荒れ。戸賀崎は思う。
 いつも秋元康に振り回されている。あの報道があって、何の処分もないまま仲川を握手会に参加させるのは自殺行為だ。平嶋や米沢、指原だって処分が発表されてから握手会に参加した。
 戸賀崎は仲川レーンの所謂「剥がし役」をしていた。

戸賀崎(やはり、辛辣なお言葉が多い・・・仲川・・・何で、こんなことをしてしまったんだ・・・)

 具体的な内容は伏せるが――何で、俺達を裏切ったんだ、がっかりした、今までの努力は全部まやかしだったのか、選挙につぎ込んだ金を返せ――大体、こんな感じの内容だ。

戸賀崎「仲川、大丈夫か?」

仲川「はい・・・」

 仲川はそう言うが、明かに表情は苦しそう。
 これは途中で中止にせざるを得ないかもしれない――戸賀崎はそんなことも考え始めていた。



183 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:54:46.84 ID:c2x894230
 ■恋愛禁止条例2■

高橋「そんなの・・・極論すぎる・・・だって、バレようがバレまいが、決まりは決まり。守らなければいけないもの・・・」

中西「違うね。恋愛っていうのは、いや犯罪っていうのはバレなければいいの。恋愛だけに話を絞るけど、アイドルが恋愛してても一生バレなければファンに夢を供給し続けることが出来る」

高橋「いや、だからバレようがバレまいが、恋愛をしていることには代わりないじゃん。つまりファンの人を裏切り続けている、ってことだし、それはいけないことじゃ・・・」

中西「だから、そこでシュレティンガーの猫」

高橋「箱を開けるまでは、恋愛をしているアイドルと恋愛をしていないアイドル、二つが存在する・・・例え箱の中には恋愛をしているアイドルが入ったとしても」

中西「そう、箱の中身を開けるまでは、その二人が存在している。だから、箱さえ開けなければ、ファンの人は絶対、「アイドルが恋愛している」と言い切ることが出来ない。言い切ってしまったらそれは宗教」

中西「知ってる? 科学って、反証可能性がある奴が科学って認められるんだよ。つまり、反論の余地があるのが科学で、反論の余地がないのが宗教。極論だけどね」

中西「だって、モノが飛んでいたとしても「いや、これは神の力です」とか言えば反論の余地がないからね」



184 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:55:42.53 ID:BqcLq6GF0
はるごん…


185 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:55:48.67 ID:c2x894230
高橋「・・・」

中西「ごめん、話が逸れた・・・つまり、はるごん、なっちゃんであったり、指原の罪っていうのは「アイドルなのに、恋愛がバレた」つまり、そういうこと」

高橋「分からない・・・だって、バレようがバレまいが、恋愛をしていることにはかわりない・・・」

中西「まあ、それは箱を開けるまでは分からないからね。つまり私が言いたいのは、アイドルっていうのは恋愛をしてもいい。だけど、アイドルである限りバレないようにしろ、これが最低限の礼儀であり決まりだ」

高橋「でも、このネット世界で、バレないようにするのは至難の業。全員が情報を発信できる世の中では、アイドルの恋愛を少しでも知っている人は情報を発信することが出来る」

高橋「それがもし、ツーショットプリクラであったり、決定的な証拠であるなら、もう言い逃れは出来ない」

中西「――そう。このネット世界では、隠すことは至難の業・・・まあ、ここからは個人的な意見も混じってくるんだけどね」



186 :地下アイドル 2012/06/21(木) 00:57:37.74 ID:c2x894230
 中西は続ける。
 続ける。

中西「まず素人の人と恋愛、これは駄目。昔なら、一般の人とアイドルが恋愛したら「夢があるな」とか「飾らない性格だな」と、ギリギリ好印象を与えることが出来たかもしれない」

中西「でも、AKBは違う。メンバーと手を触れる、握手をするためには、CDを買わなければならない。長時間話す場合は、それこそCDを何枚も買わなければならない・・・つまり大量の資金が必要になってくるわけ」

中西「だから、ファンにとって、アイドルが芸能人と付き合うなら「仕方ない」となるかもしれないが、ファンとアイドルが付き合ってしまっては、その信頼を崩すことになってしまう」

中西「だから、AKBっていうのは一般の人との恋愛を悼み嫌う。何度も公演に通って、握手をして、メンバーに覚えてもらう――認知してもらうためには多大の努力が必要だ」

中西「――つまり、その過程をぶっ飛ばして、ファンの人達が大量に資金を投入したアイドルが一般人と付き合うことを、夢のあることだと捉えず、ずるいことだと判断する」



187 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:00:07.79 ID:c2x894230
高橋「・・・そうかもしれないね」

中西「こうなってくると、よく秋元康さんが言う「彼女達は、AKBとしてのルールを破ったわけで、法律を破ったわけではない」――笑っちゃう。あまりにも頭の良い、言い回し」

中西「極論を言おう。AKBにとって、恋愛とは法律違反である」



188 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:03:44.50 ID:c2x894230
高橋「・・・いや、そりゃあAKBの中では恋愛してはいけない、となっているかもしれないけど。だからといって法律を違反しているわけじゃないと思うんだけど・・・」

中西「だから極論――AKBには他のアイドルと明かに違うものが存在する。それは総選挙。そして、総選挙につぎ込まれる資金があまりにも多額だ、ということ」

高橋「・・・」

中西「ファンの人達は、「年頃で、恋愛もせずに夢に向けて頑張っている少女」に向けて、見返りもなしに投資をする。ただ、アイドルの人に喜んでもらいたいが為に」

中西「AKBは恋愛禁止条例、という今までアイドル界の暗黙の了解であったものを、目に見える制度として、しかもそれを商売のウリにしてしまった。これは禁断の果実に手を出してしまうことと同義である」



190 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:09:39.13 ID:GTG+SUfj0
ここのりなてぃんの言ってる事は、
ヤングタウンてで、さんまさんが言っていた事と同じ。
「恋愛しても良いけど、隠せ。」
秋元康も、よく隠し通したな。



191 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:11:39.23 ID:c2x894230
高橋「禁断の果実・・・?」

中西「恋愛禁止条例を作ることによって、AKBのアイドルは恋愛禁止を絶対条件とされる。その前提条件があるために、ファンはそのアイドルにお金をつぎ込む――なのにファンと付き合っていることが判明したら」

高橋「そりゃあ、恋愛禁止、という前提条件を破っていることが分かっていれば、最初からお金をつぎ込まない。だから金返せ――という話になってくる」

中西「うん。そういうこと。だから、恋愛をしたAKBはアイドル集団ではなく、只の詐欺集団だ。絶対儲かります、と言われてお金を集めてお金を返さない、詐欺集団と構造的には同じだ」



192 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:14:58.05 ID:c2x894230
高橋「・・・」

中西「だから、AKBにとって恋愛とは最大のタブー。もし、してしまったら、それこそ時効――AKBを辞める時まで――逃げまどい、隠し通さなければならない」

中西「それを、AKBの人達は何も分かっていない。いや、麻里子ちゃんや、陽菜は分かっているかもしれないけど、若いメンバーが多い、特に研究生の人達は、AKBの構造を理解していない」

高橋「でも、それでも!」

 高橋は言う。

高橋「一度の過ち・・・アイドルが恋愛してしまったら、もう挽回不可能なの? どんなに後悔して、反省しようが、恋愛してバレてしまったらお終いなの?」

中西「・・・さあ、それは分からない」



193 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:29:43.52 ID:c2x894230
 時計を見る中西。

中西「・・・ごめん、そろそろ仕事があるから」

高橋「りなてぃん、今何のお仕事をしてるの?」

中西「・・・ただ、一つ。恋愛禁止を破った詐欺師が挽回出来る方法が一つだけある」

高橋「活動を辞退・・・つまり辞めること?」

中西「違う。それは責任を取っていない。もっと、辛い道。それを詐欺師は獲らなければならない」



194 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:30:54.91 ID:c2x894230
 中西は立ち上がり。

中西「さようなら、たかみな。もう私達は二度と逢わない方がいいかもしれない」

高橋「・・・かもね」

中西「私はAKBによって、AKBの毒にやられてしまった。けど、たかみなは毒にやれていない・・・私の好きなAKBを守って。潰さないで」

高橋「分かった・・・」

中西「じゃあ、さようなら。たかみな」

高橋「ば・・・さようなら」

 それが永遠の別れになることを分かってでも、高橋は手を振らざるを得なかった。
 高橋は、自分の愛したAKBを守らなければならなかった。
 あまりにも残酷で、救われない、中西里菜の物語であった。



195 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:36:10.15 ID:c2x894230
 ■この世界のグラウンドに、君は一人きりじゃないんだ■

 ――握手会。
 何とか長い長い握手会も終了し、ほっと溜息をつく渡辺。

渡辺「はるごん・・・大丈夫?」

仲川「う、うん・・・まゆゆ・・・」

渡辺「うん、何?」

仲川「・・・ファンの人って何だろ」

渡辺「え?」

仲川「ファンの人達って、私達にとってファンの人って何だろ」

渡辺「うーん・・・難しい質問だね・・・言うなれば、信頼かな?」



196 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:41:26.51 ID:c2x894230
仲川「?」

渡辺「ファンの人達は、私達を信じて応援してくれている。私達が活躍出来るように、夢を叶えることが出来るように、温かい言葉をかけてくれれる・・・そんな存在」

渡辺「あっ、ごめん・・・ちょっと調子乗ったこと言ってしまって」

仲川「・・・そうだよね。ファンの人は敵じゃなくて、味方だよね・・・私!」

渡辺「はるごん!?」

 そう言って、仲川は走った。
 場所は音響の機材が並べられている場所。
 そこで仲川は一つのマイクを取って――。

仲川「みなさん――」

 会場中に仲川の声が響き渡る。

仲川「もう一度、言います。迷惑かけて、本当にすみませんでした!」



197 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:45:21.32 ID:c2x894230
 会場中がどよめく。
 すぐに仲川の行動に気付いたスタッフが止めようとするが、戸賀崎がそれを静止する。

仲川「私は・・・私は、大人になる、っていう馬鹿な目標のために恋愛禁止条例を破ってしまいました。本当にすみませんでした!」

仲川「ファンの人達は、私を信じて応援し続けてくれているのに、私を信じて選挙でも投票してくれているのに、それを裏切ってしまい本当に本当にすみませんでした!」

渡辺「はるごん・・・?」

 突然の行動であった。
 謝罪の言葉は、握手会が始まる前に正式に一度あったが――それでも、仲川は何か良い足りなかったかもしれない。
 独特のハスキーボイスが会場中に響き渡っている。

仲川「今日の握手会。ファンの人達から、色々なお叱りを受けました。AKB辞めた方が良いんじゃないか、金返せ――そんな声が」

 会場がより一層どよめく。



198 :地下アイドル 2012/06/21(木) 01:46:24.28 ID:c2x894230
仲川「ただ! それは一部のファン! 殆どのファンは私に対して、大丈夫? まだまだ応援するから、頑張ってね――そんな温かい言葉をかけてくれました」

仲川「私は間違ったことをしてしまったかもしれません。ファンの人達を裏切ってしまった――確かに、迷惑をかけた責任として辞めることも考えました」

仲川「ただ、もし! もしファンの人達がまだ私のことを応援してくれるなら、続けさせてくれるなら! もう一度、やらせてくれませんか? もう一度、夢に向かって走り続けても良いですか?」

 仲川は――AKBの最大のタブーである、恋愛禁止を破ってしまった。
 恋愛なんかせず、頑張り続けている仲川に対して想いやお金をつぎ込んだ人は確かに怒るかもしれない。そしてそんなファンはもう二度と戻ってこないかもしれない。
 だが――仲川は走り続けることにした。
 自分の未来を期待してくれている、そんなファンの信頼を、一度崩れてしまったファンの信頼を取り戻すために、仲川は走り続けることにした。
 これは、お金をだまし取った詐欺師が、それ以上のお金を出資者に返す行為のように思えた。
 詐欺師の唯一の挽回方法であるように思えた。

渡辺(でも、ファンの人達は怒っている・・・それなのに、こうやって言うのはもしかしたら間違いなんじゃ・・・)



199 :地下アイドル 2012/06/21(木) 02:00:05.00 ID:c2x894230
 会場は水を打ったような静けさになっている。
 しかし、何処からかポツポツと、拍手の雨が降り注ぎそれは豪雨となって仲川に降り注いだ。

ファンA「はるごん! それこそ、はるごんだ! 次は頑張ってくれよ」

ファンB「確かに、はるごんはいけないことをしてしまった。それはもう消せない。だけど、もう一度心を入れ替えて頑張るつもりがあれば――俺ははるごんをまだまだ応援し続けるから!」

ファンC「はるごんことを叩く奴もいるかもしれない。しかし、俺は味方だ。今までと変わらず選挙でも投票するし、握手会に来る。だから頑張って!」

 ――もちろん、拍手をせずに、呆れ返って会場から立ち去ってしまった人もいる。
 しかし、それでも――恋愛禁止を破ってしまった仲川に対して、それでも応援し続ける、と言ってくれる温かいファンがいる。
 これは甘いのかもしれない。二度と仲川が裏切らない、と考えているファンは甘すぎるのかもしれない。
 しかしファンの人は信じることにした。箱の中の猫が、生きていることを信じ続けた。
 拍手の雨はまだ鳴りやまない。



200 :地下アイドル 2012/06/21(木) 02:00:45.96 ID:c2x894230
 ■待ってるよ、君の帰りを■

 ――握手会が終わって数日後。

菊地「はるごん・・・」

仲川「うん、色々迷惑かけてごめんね」

菊地「研究生になっても、絶対戻ってくるんだよ」

 温かい握手会。
 といっても、殆どの人が否定的な意見の持ち主であって、やはり仲川の処分を求める声が大きかった。
 そこで運営側は仲川の研究生降格と、渡り廊下走り隊7の脱退を命じた。

菊地(はるごん、大丈夫かな・・・)



201 :地下アイドル 2012/06/21(木) 02:01:46.64 ID:c2x894230
 もしかしたら最後になるかもしれない――そう思ってしまう菊地。
 菊地の時は年齢も若かったため、戻ってくることが出来たが、仲川の場合はもう成人でアイドルとしての時間がない。
 もしかしたら研究生のままAKBを辞めることになるかもしれない。
 それは菊地が痛い程、よく分かっていた。

仲川「・・・じゃあ、今から研究生の子と初めてのレッスンがあるから、行ってくるね」

菊地「はるごん・・・」

仲川「私・・・」

 仲川は空を見て言う。

仲川「はるごん、間違ってた・・・大人になるっていう意味を・・・名前変えたり、結婚するだけじゃ大人にはなれない。そんなこと当たり前のことなのに」



202 :地下アイドル 2012/06/21(木) 02:02:36.15 ID:c2x894230
菊地「・・・」

仲川「この責任の取り方が、大人なのかよく分からないけど。今度、きくぢと逢う時は立派で素敵な大人の女性になって帰ってくるね! きくぢを驚かせてやるんだから!」

菊地「うん!」

 そう言って、仲川と菊地は握手をし。

仲川「じゃあ、行ってくるね・・・」

菊地「うん・・・待ってるよ、君の帰りを」

仲川「うん! 絶対、戻ってくるからね!」

 こうして二人は別れた。
 ――こうして仲川遥香、真の大人化計画は始動するわけであるが、これからについては神様にしか分からない。
 ただ、これがハッピーエンドになるか、バッドエンドになるかは、これからの仲川の行動次第であるだろう。
 二人は手を振り別れた。もう二度と逢えないかもしれない。
 しかし一番、大きくて小さい素敵な別れであった。

                    《Happy or Bad end》



203 :地下アイドル 2012/06/21(木) 02:05:13.02 ID:Z2esNjKE0
乙!



204 :地下アイドル 2012/06/21(木) 02:06:09.92 ID:c2x894230
>>1です。
というわけでこれで終わりです。長い間、お付き合いいただきありがとうございました。
最後に、この物語――仲川遥香の物語は「Bad end」です。ただ、年齢的に若くないのに恋愛バレて研究生降格なって、と良いことは一つもありません。
しかし、これから平嶋夏海や中西里菜のように「Bad」になるのか、それとも菊地あやかのように「Happy」になるのかは仲川次第――というわけで、Happy or Bad endです。
そして、これが一指原推しとして、今回の事件の僕の見解です。

最後の最後に、本当にありがとうございました! 



205 :地下アイドル 2012/06/21(木) 02:09:58.98 ID:GTG+SUfj0
GJ!
あなたの考えるAKBの本質というものが、このSSで分かったような気がします。
そしてその説明役を、りなてぃんに置き換える・・・とても感慨深いものです。
あなたのアイドルに関する考えが見えて、とても良い物を読ませて頂きました。
だからこそ・・・火曜曲での、あの指原を見ると、いくら本人がHKTで再スタートをきりたいと思っていても、
とてもじゃありませんが応援できないし、文春側に付いてしまう自分がいます。



206 :地下アイドル 2012/06/21(木) 03:35:20.62 ID:FaP2QCNz0
おつでした


207 :地下アイドル 2012/06/21(木) 03:40:21.27 ID:vygdkzPd0
乙です!
途中たなみんにスポットが当たるかと思ったがそんなことなかったぜ!、



208 :地下アイドル 2012/06/21(木) 04:11:41.50 ID:vvlqFiGii
面白かったです

次回作に期待しています



209 :地下アイドル 2012/06/21(木) 07:42:08.71 ID:K9voO2Vi0
おつ!
いい終わり方
面白かったです



210 :地下アイドル 2012/06/21(木) 09:57:18.33 ID:/cswidui0
指原も研究生からやり直すが良い


211 :地下アイドル 2012/06/21(木) 10:32:42.88 ID:P5e4WCTO0
面白かったです!

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